京王バス新路線「渋谷発“新宿経由”新橋行き」に乗車 まさに東京観光な不思議ルート

京王バス新路線「渋谷発“新宿経由”新橋行き」に乗車 まさに東京観光な不思議ルート

新橋駅停留所に停車する京王バスの「052系統」。車両は燃料電池バス「SORA」(2021年10月2日、蜂谷あす美撮影)。

京王バスが渋谷駅〜新宿駅〜新橋駅間に新規バス路線を開設。JR山手線を横断する長距離路線は、まるで都心を観光するかのようなルートです。往路と復路で異なる車窓を味わってきました。

やって来たのは燃料電池バス「SORA」

 2021年10月1日(金)、京王バスが渋谷駅から新宿駅西口を経由して新橋駅に至る「052系統」を開設しました。運行本数は1日あたり3往復で、運賃は他の都区内路線と同様に大人210円(現金・ICとも)です。どんな路線か実際に乗車してきました。

 乗車したのは午前10時35分に渋谷駅を発車する第1便です。渋谷駅の停留所、2番乗り場(編注:京王バスウェブサイトでは0番とも案内されている)には、時刻表とともに「祝開業」のポスターが掲出されていました。この乗り場は吉祥寺駅北口行き、府中駅行きの深夜急行バスの停留所も兼ねていますが、現在両線は新型コロナの影響で長期運休中。商業施設「渋谷マークシティEAST」の真ん前という絶好のロケーションながら、発着するのは「052系統」のみです。

 おそらく新規路線のお祝い乗車であろう雰囲気の方が9人ほど待機。午前10時33分、方向幕に「新橋駅」と表示した燃料電池バス「SORA」が到着し、ちょっとした撮影会になりました。

 バスは定時の35分に発車し、神南一丁目、渋谷区役所を経由しながら新宿駅西口を目指します。各停留所では、待っている方たちに対して運転士さんが「新宿駅行きでーす」とアナウンス。渋谷駅から新宿駅西口は同社の「宿51系統」も運行されていますが、見慣れぬバス、行先ゆえに乗車を躊躇される方もいるのでしょう。途中の参宮橋駅停留所では、いったんバスに近づき、そして離れかけたものの、運転士さんの「新宿行きますよ」に安堵しながら乗り込む方も見られました。

 午前11時1分、新宿駅西口に到着。途中の停留所からの利用者はほぼ全員が下車します。発車時刻の11時5分まで小田急百貨店の真ん前で停車している間、「これはなに?」と係員に尋ねたり、写真に収めたりする通行人を目撃しました。

 新宿駅西口を発車すると、いよいよ「052系統」の本領発揮、JR山手線の内側に入り込みます。ちなみに終点、新橋駅まで途中の停留所はたった3つ。まずは新宿御苑に停車します。ピカピカの案内表示板には「新橋駅」とのみ書かれていました。

“屋根付き”で観光!? お濠脇を行く路線バス

 バスは国道20号(新宿通り)を走っていきます。車窓に四谷三丁目駅の出入り口が見えますが、停留所はないので当然のごとく通過。ちなみに直下には、東京メトロ丸ノ内線が走っています。地下鉄で移動していると、なかなか知る機会のない駅間の様子がわかる点はバスの魅力かもしれません。

 午前11時18分、四谷一丁目停留所を発車。次なる停留所は「大手町グランキューブ」ですが、所在地は皇居の向こう側です。どうやって向かうのか気になっていたところ、バスはにわかに速度を上げ、皇居の半蔵門が見えたところで左折し、半蔵濠沿いの内堀通りを進みます。さらにイギリス大使館前の千鳥ケ淵交差点で右折、お濠を渡り、代官小路へと歩みを進めていきました。両側に桜の木が茂り、お花見シーズンには2階建てオープントップ(屋根なし)バスによる周遊観光コースも組まれる一帯です。「052系統」は屋根付き、ガイドなしではあるものの、景色を楽しむ一時となりました。

 皇居を抜けたのちは竹橋へ。神保町、神田方面の神田警察通りを経由して、午前11時31分、大手町グランキューブに到着しました。ここを11時35分に発車すると「次は新橋駅」とアナウンスが流れます。

 大手町のオフィス街を走り抜け、さらに東京駅丸の内駅舎も左手にばっちり見えました。東京名所ですが、路線バスなので減速などはしません。

 日比谷公園の向こうに法務省はじめ霞が関の官公庁街を見せたのちは、有楽町を過ぎて銀座へ。他社の観光用オープントップバスに紛れながら、渋谷駅発の路線バスは銀座のど真ん中を走り抜けていきます。

 やがて、「お待たせしました。まもなく終点新橋駅です。車内にお忘れ物ないようご注意ください。またのご乗車をお待ちしております」のアナウンスとともに、午前11時48分、終点の新橋駅に到着しました。ただし、「052系統」の旅は完結しません。というのも渋谷駅発と新橋駅発では、一部区間のルートが異なるためです。

経由地は往復で異なる なぜこのようなルートに?

 12時5分、利用客を15人ほど乗せた渋谷駅行きの「052系統」は、停留所をまっすぐ発進し、ゆりかもめの高架下を潜り抜けながら次の「四谷一丁目」をアナウンスします。のっけから渋谷駅発と違うコースを歩み始めるのです。復路では大手町グランキューブに立ち寄らなければ、皇居にも向かいません。代わりに虎ノ門、溜池といったエリアを走っていきます。

 赤坂御所の横を通り過ぎたところで四ツ谷駅が見え、往路と同じコースに戻り、12時22分、四谷一丁目停留所に到着しました。ちょうど、四谷一丁目〜大手町〜新橋〜四谷一丁目と一周してきたといえます。ただし、この先も微妙にルートは違っており、往路が新宿御苑沿いの「新宿御苑」停留所を経由するのに対し、復路はそこから少し北に位置する新宿通り沿いの「東京メトロ新宿御苑前駅」停留所を経由します。

 12時27分、東京メトロ新宿御苑前駅停留所を発車し、12時36分、新宿駅西口26番乗り場に到着しました。ここでも、往路とは少し離れたところに停車です。

 最後は往路の景色をおさらいするような行程で、13時10分、渋谷駅に到着。こうして渋谷→新橋17km、新橋→渋谷13.8kmの「052系統」の旅は終了です。所要時間はおよそ2時間半、往復運賃は420円でした。反転した「の」の字のような形で都心を走るのは、京王グループが持つバス停どうしを最短でつないだルートだからだそうです。

「路線バス」の利用目的としては逸脱していますが、気軽な東京観光におススメの路線だと感じました。またルートには代々木公園や新宿中央公園、新宿御苑、それに皇居など緑も多く、ちょっとした森林浴気分にも浸れます。

 余談ですが、新橋駅停留所近くには公衆トイレがあるため、渋滞などによる遅延がなければ、お手洗い休憩も確保できますのでご安心を。

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