伊豆大島「風待ちの港」にまさかのジェットフォイル集結 非旅客港で避難救助訓練のワケ

伊豆大島「風待ちの港」にまさかのジェットフォイル集結 非旅客港で避難救助訓練のワケ

伊豆大島南端にある波浮港に到着したジェット船「セブンアイランド友」(2021年10月7日、乗りものニュース編集部撮影)。

伊豆大島で地震が発生し住民の孤立が生じたという想定で、東海汽船のジェット船「セブンアイランド結・友」の2隻による避難・誘導訓練が行われました。旅客船が発着しない小さな漁港にジェット船が集まるという珍しい光景となりました。

「島で地震、住民を本土へ避難移送」というミッション

 東海汽船は2021年10月7日(木)、高速ジェット船を使用し地震発生時の離島からの避難・誘導訓練を実施しました。

 今回の訓練は、東京都大島町の伊豆大島で地震が発生、道路損壊などで大島最南端の波浮(はぶ)地区周辺の陸路が寸断され、住民約400名が孤立状態になったという状況を想定。波浮港から高速ジェット船で島の外へ避難させるという訓練となっています。

 避難訓練に使用される船舶はジェットフォイル「セブンアイランド結」「セブンアイランド友」。11時に緊急要請を受けて東京を出航した2隻は、13時に大島へ到着。連なってゆっくりと波浮港に入港します。

 救援物資の積み下ろしに続き、避難住民のジェット船への乗り込みが行われます。一般住民のほか、波浮保育園とつつじ小学校の児童も、港への避難経路の確認も兼ねて参加。拡声器を持った指揮系統の指示に従って、各自きびきびと避難を進めました。港での訓練終了後、避難島民を東京本土へ移送するという設定で、2隻は東京港へ向け再び出航していきました。

島民も注目 小さな漁港にジェットフォイル集結

 さて、この訓練はちょっとした”事件”ともなりました。訓練が行われた波浮港は、本来は定期旅客船が発着しない、小さな漁港です。奥深く入り組んだ湾にあり水深も浅いことから、大規模な船舶が寄港するには向かないためです。しかし、今回はそんな波浮港に、「海面を飛んで走る船」ジェットフォイルが初めて、それも2隻も入港するというのです。

 珍しい光景をひと目見ようと、島民が岸壁や展望台に集まっていたほか、訓練に参加した児童たちも、見慣れた漁港に突如やってきたジェットフォイルを指差したり手をふるなど、興奮を隠しきれていない様子でした。

 実は東海汽船は、これまでも波浮港に旅客船が発着できるかの実証試験を行うため、ジェットフォイルで入港したことがありました。住民への事前告知は特に無いままの実施でしたが、やはり明らかに「非日常」な風景だったのか目に止まり、「あれはなんだったのか」といった問い合わせもあったそうです。

 現在、若者のリゾート地として波浮は脚光を浴びており、島内の中心地である元町に比べて「島っぽい」風景に惹かれる人々とともにゲストハウスも増えているそうです。2021年9月からテレビ東京で放映中のドラマ「東京放置食堂」はここ波浮港が舞台で、主人公が店の手伝いを行う「風待屋」も港裏の路地のカフェでロケが行われています。

 そんな波浮の大きな課題が島内アクセスで、元町に滞在し波浮方面へ観光に向かう人が、時間の制約上、途中の観光スポット「地層断面」で引き返すなど、心理的な距離感が遠いのが実情だそうです。そうした背景から、波浮港が元町港、岡田港に続く島内3つ目の旅客港になることで、観光客増加につながるという地元の期待はあるといいます。

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