昔あった「蒲蒲線」!? 廃止された短絡線5選 実はつながっていた私鉄と国鉄&私鉄どうし

昔あった「蒲蒲線」!? 廃止された短絡線5選 実はつながっていた私鉄と国鉄&私鉄どうし

高架線になっても、空港線がほぼ直角に本線から分かれる京急蒲田駅(2021年11月、児山 計撮影)。

少し離れた路線どうしを結ぶ「短絡線」。中にはすでに役割を終えて廃止されたものもたくさんあります。なぜ建設され、そして廃止されたのでしょうか。痕跡を探しつつ、5路線を紹介します。

ニョロっと枝分かれ「短絡線」

 2つの鉄道路線が直交していたり少し離れて並行していたりする場合、その間に短い線路を建設し、列車が行き来できるようにすることがあります。その線路は往々にして短絡線と呼ばれます。用途は様々ですが、すでに役目を終えて廃止となった短絡線もたくさん存在します。

 ここではそのような短絡線を5つ挙げ、現在どうなっているのかも紹介します。今ではすっかり風景の一部に溶け込んだ短絡線がある一方、その痕跡をしっかりとたどれる場所など、その姿はまちまちです。

連合軍羽田空港専用線

 東京都大田区にある東急電鉄の蒲田駅と、同じく至近にある京急電鉄の京急蒲田駅を結ぶ通称「蒲蒲線」計画が各方面から検討されています。両線はこれまでつながったことはありませんが、実は「蒲蒲線」に相当するものは、ずっと昔に存在しました。

 それは蒲田駅近辺で、国有鉄道と現在の京急線を結ぶ短絡線です。第二次世界大戦が終わった頃に突貫で建設されました。

 目的は、連合軍が接収した羽田空港へ資材や燃料を運搬するためです。東急だった穴守線(現・京急空港線)上りの線路幅を1435mmから国有鉄道と同じ1067mmへ改軌し、貨物列車を乗り入れ運行。現在の京急本線とは直角に平面交差していました。

 ただし京急本線、空港線とも現在は高架化されており、当時とは風景が一変しています。

わずかに広いトンネルに痕跡あり

 私鉄どうしの短絡線もかつて存在しました。場所は名古屋駅です。

名鉄・近鉄短(連)絡線

 現在は線路の幅が異なる名鉄名古屋本線(1067mm)と近鉄名古屋線(1435mm)ですが、どちらも1067mmだった時代、名鉄と近鉄は短絡線を介して団体列車の直通運転を行っていました。

 運転期間は1950(昭和25)年から1952(昭和27)年のわずかな期間ですが、近鉄からは犬山・豊川方面、名鉄からは伊勢方面と、両社の沿線にある観光地へ列車が運行されていました。

 近鉄が1435mmに改軌された上に名鉄名古屋駅も大きく改良されたため、現在短絡線の痕跡を確認するのは困難ですが、近鉄名古屋駅1番線のホーム先端からは、わずかにトンネルの幅が広くなった短絡線の跡を見ることができます。

登戸短(連)絡線

 JR南武線がまだ私鉄の南武鉄道だった1936(昭和11)年、同鉄道の宿河原〜登戸間から小田急線の登戸〜稲田登戸(現・向ヶ丘遊園)間に短絡線が設けられました。多摩川で採れた砂利の輸送や、南武鉄道沿線の競馬場への観客輸送などに活用されていたそうです。また戦後は、戦争により南武線の車両が不足していた際、車両の融通にも使われていました。

 1950年代には短絡線は使われておらず、現在その痕跡をたどるのは困難ですが、登戸駅(川崎市多摩区)の南側には、弧を描くように湾曲した道路があり、この部分がわずかに、かつての短絡線を偲ばせます。

新造車両の搬入路としても活用

 東急電鉄が新造車両などをJR線から自社線に引き込む際、現在は長津田駅(横浜市緑区)がその連絡駅となりますが、かつて菊名駅(同・港北区)がその役割を担っていた時代がありました。

東急菊名短(連)絡線

 これは1927(昭和2)年、国有鉄道の横浜線と東京横浜電鉄(現・東急東横線)を直通する貨物列車用に建設された短絡線です。旅客列車は基本的に運行されておらず、末期は東急電鉄の新造車両をメーカーから搬入する線路として活用されていました。しかし、上述の通り連絡駅が長津田駅に変更されたため、1966(昭和41)年に廃止されました。

 横浜線の菊名駅は地上駅から盛土駅に、東横線もホーム延伸などでその姿を大きく変えており、短絡線の痕跡はあまり残っていませんが、横浜線の八王子方面のホーム至近に、施設の一部が残っています。

西武池袋線の短絡線

 最後に「短絡線の未成線」を紹介します。

 西武池袋線の飯能駅(埼玉県飯能市)では歴史的な経緯から、列車の進行方向を変えるスイッチバックを行いますが、貨物列車の場合は機関車の付け替えが必要となり、運行上手間がかかります。

 そこで飯能駅を通らない短絡線を建設すべく、元加治〜東飯能間の用地買収が進められましたが、短絡線を必要とした貨物列車は1996(平成8)年に廃止。旅客列車においては市の中心ともいえる同駅をスルーするメリットも小さく、計画は休止となりました。

 現在も買収した複線分の用地がほぼそのまま残っています。

 鉄道趣味のジャンルに「廃線跡巡り」がありますが、短絡線は距離も短く、ビギナーには最適でしょう。かつてそこにあった線路の跡を探しながら、当時の姿を思い浮かべるのもまた楽しいものです。

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