東急・相鉄新横浜線のダイヤを予想してみた 前代未聞の9路線直通 期待と懸念

東急・相鉄新横浜線のダイヤを予想してみた 前代未聞の9路線直通 期待と懸念

相鉄21000系(左)と東急目黒線の3020系(右)(画像:相模鉄道、東急電鉄)。

相鉄・東急新横浜線の開業が迫ってきました。6社局9路線にまたがる直通ダイヤはどうなるのでしょうか。2022年2月時点の公開情報から、東急東横線・目黒線への乗り入れパターンを推理してみました。

6、8、10両編成が走る東急新横浜線

 相模鉄道など7社局は2022年1月、羽沢横浜国大〜新横浜〜日吉間で建設中の相鉄新横浜線・東急新横浜線を2023年3月に開業すると発表しました。

 今回の発表で注目すべきは運行形態の概要が示されたことです。新横浜線を介した直通運転は、相鉄(本線・いずみ野線)、東急(目黒線・東横線)に加え、東京メトロ(南北線・副都心線)、埼玉高速鉄道(埼玉スタジアム線)、東京都交通局(三田線)、東武鉄道(東上線)の6事業者の9路線に渡って行われます。

 これまで第1種鉄道事業者による相互直通運転は、副都心線を介した5事業者(東京メトロ・東急・横浜高速鉄道・東武・西武)が最多でしたが、それを上回る規模になります。相鉄沿線から都心への直通ルート拡大のみならず、相互直通運転を行う各線と新横浜が直結されることによる東海道新幹線へのアクセス向上も期待されています。

 では各路線からどの程度の本数が設定されるのでしょうか。今回は概要のみの発表で細かいダイヤは公表されていませんが、どのような変化があるか、公開情報から一足先に推理してみましょう。

 発表によると、東急新横浜線には8両と10両、一部6両編成の車両が走りますが、相鉄新横浜線は8両と10両のみの運行です。東急は目黒線の全編成を8両化しますが、南北線と埼玉高速鉄道、三田線には6両編成が残るため、これら路線の所属車両も新横浜までは乗り入れることが分かります。

 東急・相鉄新横浜線は事実上、日吉(横浜市港北区)から目黒線を延伸する形の路線ですが、同駅から東横線への直通列車も設定されます。ただ、目黒線各駅と東横線の優等列車通過駅は8両分しかホームがありませんので、10両編成は必然的に、東横線内は優等列車として運転されることになります。

朝ラッシュ時は想像しやすい?

 では目黒線直通と東横線直通の内訳はどのようになるのでしょうか。発表によると東急新横浜線の運転本数は朝ラッシュ時14本/時、その他の時間帯は6本/時、相鉄新横浜線は朝ラッシュ時10本/時、その他の時間帯は4本/時です。差分の朝ラッシュ時4本/時、その他2本/時は、東急側から来た列車が新横浜で折り返すことを意味します。

 現在、目黒線は朝ラッシュ時間帯に、ピーク1時間で20本(うち急行8本)の運転です。そのうち半分の10本を東急新横浜線直通とし、残る東急新横浜線の4本を東横線直通とすれば、すんなり収まります。

 実際、東横線には朝ラッシュ時間帯に4本、日吉より横浜寄りの菊名(横浜市港北区)を始発とする各駅停車が設定されているので、このダイヤを優等化して列車を組み込めそうです。

 今回、新横浜〜渋谷間の所要時間は約30分とも発表されているので、種別は急行になると思われます。東急の狙いは同区間の速達だけではなく、沿線の価値を上げることです。そういう意味からしても、適度に停車駅のある急行が最適でしょう。場合によっては通常の急行と区別するために、(Fライナーのような)特別な名称が付けられる可能性もあるかもしれません。

 問題は日中です。目黒線は日中12本/時、うち急行が4本です。朝と同様に半分の6本が新横浜へ行くとなれば分かりやすいのですが、そうなると東横線直通が設定できなくなります(0本)。新幹線アクセスという性質上、日中に設定がないということはあり得ないでしょう。

 相鉄沿線から都心に出る比較的足の長い利用者との相性を考えると、目黒線急行4本を直通列車とし、東横線直通2本を新横浜折返しとするパターンも考えられます。東横線直通を相鉄に入れてしまうと、相鉄新横浜線は4本/時ですから、残る目黒線直通2本がその先の南北線・三田線直通で毎時1本ずつの設定となり、従来からの直通の意義が揺らぎます(東横線直通1本、目黒線直通3本というのはバランスが悪すぎます)。あくまでも東横線沿線のアクセス向上が目的と割り切るのであれば、日中は新横浜折返しとするのも選択肢です。

最大で16路線のネットワーク 懸念も

 ただ、相鉄にしても沿線から新横浜までの速達輸送は必須です。新横浜で相鉄側に折り返す列車が設定されない以上、相鉄からの優等列車と東急への優等列車を繋ぐ必要があります。相鉄が10両編成と8両編成を合計16編成導入予定であることを踏まえれば、両路線にまたがる優等列車が設定されることは確実で、両数や本数の差といった制約をどうクリアしていくのか注目です。

 利便性向上だけではなく懸念もあります。現在でも東武、西武、東急のいずれかでトラブルがあった場合に、副都心線を介して各路線に遅延が波及しがちです。今回は従来をはるかに超える9路線、既存の相鉄・JR線直通系統や東横線・みなとみらい線直通系統などすべて含めれば最大16路線です。輸送障害発生時には迅速に直通運転を中止し、折返し運転に移行する体制を整えなければなりませんが、頻繁に直通運転を中止するのならせっかくの新線の意味がありません。運行の安定度が路線の成否を決めるといっても過言ではないでしょう。

 もうひとつ気になるのが運転形態です。東急に問い合わせたところ、目黒線と直通する列車はワンマン運転を、東横線と直通する列車はツーマン運転を予定しているとのことでしたが、東急は2023年度までの中期経営計画で東横線のワンマン化を掲げています。ツーマンからワンマンに転換するには時間を要すので、2023年3月から徐々に、東横線でもワンマン化が行われる可能性もありそうです。

 これだけの数の路線と直通するとなると、まさに、あちら立てればこちらが立たぬという状態で各社の苦労がしのばれます。色々と予想してみましたが、今年末にも答え合わせができるはずです。何かと暗いニュースの多い鉄道界で久々の大型新線。開業まであと1年ちょっと。どんどん盛り上げていきたいものです。

※一部(相鉄の新車導入本数の箇所)修正しました(2月16日10時00分)。

関連記事(外部サイト)