JAL&ANAがタッグ “国産新燃料商用化の有志団体” 「数値目標ナシ」…ではどんな意義が?

JAL&ANAがタッグ “国産新燃料商用化の有志団体” 「数値目標ナシ」…ではどんな意義が?

左がANAの平子裕志社長。右がJALの赤坂祐二社長(2022年3月2日、乗りものニュース編集部撮影)。

将来、年間「東京ドーム1杯分」の新燃料が必要です。

国内航空会社だけの問題ではなく…

 日揮ホールディングス、レボ・インターナショナル、JAL(日本航空)、ANA(全日空)などが2022年3月2日(水)、新たな有志団体「ACT FOR SKY」を設立しました。空の脱炭素化を目指した新スタイルの航空燃料「SAF(持続可能な航空燃料)」の国産化にむけ、業界の垣根を超え“オールジャパン体制”で、商用化および普及・拡大に取り組む団体とのことです。

「SAF」は化石燃料以外を原料として用いるジェット燃料で、たとえば動植物油脂や廃食油、都市ゴミなどを原料に製造されます。従来の燃料と同等のクオリティや規格を維持しながらも、原料がエコなぶん、二酸化炭素排出量の削減効果が加わります。日揮ホールディングスの秋鹿正敬常務は”国産SAF”の必要性を次のように話します。

「中大型機(ジェット旅客機など)には現在と同じように使えるSAFが必要です。SAFは液体燃料のため、既存の空港設備やインフラに対応できるのがポイントです。将来的には、自国のためだけではなく、日本に往来するすべての機体にSAFに提供しなければならなくなるでしょう。これは日本だけではなく、各国それぞれでSAFを提供しなければならないということです。そういった理由から各国が今後、生産に躍起になると予想されます」(秋鹿常務)

 一方で、国産SAFの商用化はまだ実現していません。そのようななか、いわゆる”環境先進国”では、SAF不使用の航空便の乗り入れを制限するといった動きも見られます。「航空にとってSAFはCO2削減のための切り札。サプライチェーンに関わる企業が横断的に対応する必要がある。企業が協業し市民・企業の意識改革、行動変容にむけ動き出すことが必要だ」――秋鹿常務は、次のように話します。

「数値目標ナシ」…ではなにをやるのか?

 有志団体「ACT FOR SKY」では、「数字的な目標はなく、団体がSAFを直接製造するわけではない」というものの、今後は参加企業のネットワーキングや、セミナーやイベントの実施のほか、「タイアップで一般商品向けの商品を提供することで、(一般市民に)SAFの重要性を知ってもらえれば」(ともに秋鹿常務)と話します。

 そしてこの団体には、JAL、ANAも参加します。2社の社長は、この取り組みの意気込みを次のように話します。

「航空業界が持続可能な成長をするにはSAFが必要で、日本発着の航空機を絶やさないためにSAFが必要です。団体では数値目標こそもたないものの、航空業界としては2030年には10%をSAFに置き換えることが必要で、これは数量的に120万〜130万キロリットルに相当します。東京ドームの容積に相当するイメージです。この量をつくるとなると膨大な原料が必要なので、いろいろな原料を組み合わせないといけません。ある意味で、この取り組みは非常に夢のある話で、航空業界も全力でサポートしていきたいです」(JAL赤坂祐二社長)

「急速に進む温暖化を目の当たりにし、地球を守り、子どもたちに”ツケ”を残さないのが責務です。島国である日本では、航空は重要な交通インフラで、SAFの安定供給は大きな意味を持ちます。SAFは”地産地消”が重要であると考えています。2050年には22兆円の市場規模となると見込まれており、共通の危機意識をもって行動することが大切です」(ANA 平子裕志社長)

 一方で課題も。とくにSAFの価格は現行のジェット燃料と比べ、3〜4倍高くなると見込まれており、「燃費の良い新型機の導入をはじめとする航空機の省燃費化と、SAFの使用を組み合わせることが重要だ」(JAL赤坂社長)とコメントしています。

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