「移動オービス」の神出鬼没ぶり本領発揮? 春の交通安全運動 一斉取締りの「通学路」
2022年04月09日 09時42分乗りものニュース

移動オービスを用いた通学路での取締まり。従来のような物々しさはない(中島みなみ撮影)。
春の全国交通安全運動で重点が置かれているのが、通学路の安全対策。そこで、いわゆる「移動オービス」が活用されています。よくよく見ないと、オービスと気づかなさそうです。
移動オービスを設置する通学路とは
2022年4月15日までの10日間、春の全国交通安全運動が全国展開されています。警視庁では7日、児童、生徒の多い地域を中心に警察官を動員。「通学路における管下一斉取締り」を実施しました。
ここで活用されているのが、いわゆる「移動オービス」です。
新入学児童、生徒が通学を始める春、重点テーマの第一は「子供をはじめとする歩行者の安全確保」です。
東京都江東区越中島の越中島小学校付近でも午前7時から8時の通学時間帯に、警視庁深川署と交通執行課による取締りが実施されました。小学校には中学校が隣接、さらに高等学校や大学キャンパスもある文教住宅地ですが、臨海部であることから、幹線道路では大型トラックなどの交通量も多い地域です。
この日、移動オービスが設置されたのは、幹線道路から住宅地に入った生活道路。制限速度30km/hの一方通行です。スクールゾーンやゾーン30の指定を受ける可能性のある地域ですが、それら規制はかかっていません。
取締り場所は、運河に隣接した「調練橋公園」の前で、公園に入るための横断歩道の先に測定機器がありました。道路には徐行の文字が表示されています。付近はこの日も子供たちの集合場所になっていました。
可搬式の移動オービスによる速度取締りは、通常の取締りと違い車両をすぐに検挙せず、後日に通知を行います。そのため、測定機器のそばにはスピードをモニターするノートパソコンと、その表示を確認する警察官が1人いるだけです。
通過車両の運転者は、よくよく近づくとレンズが車両に向いているため取締りに気付くかもしれませんが、灰色に塗られた機器は目立たず、警察官の制服に注意を向けただけかもしれません。スピードをかなり落として、遠巻きに通り過ぎていきます。
移動オービス軽い? 設置・撤去は素早く
可搬式の移動オービスは、計測と記録をするためのヘッドの重さが約30kgほどあると言われています。この測定機器を三脚に取り付けるだけで、ほかに機材は不要です。手軽といえるほどではありませんが、設置も撤去も素早くできます。このため、速度取締りの実施できなかった生活道路を巡回して、スピード違反を抑える効果が多いとされています。
「重点通学路や町内会で要望のあった区間で実施する」と、警視庁関係者は語ります。
通学路の違反は通行禁止違反がほとんど
警視庁はこの日、通学路のない丸の内署と東京空港署を除く100署で、警察官670人を動員して通学路での管下一斉取締りを実施しました。
道路交通法違反は554件。その大半は通行禁止違反(466件)でした。次いで速度超過(24件)、歩行者妨害違反(16件)でした。
通行禁止違反は、通学時間帯に進入禁止に指定された区間を通行した行為などが違反に問われたものです。学校、幼稚園、保育園を中心として半径500mの通学路があるエリアはスクールゾーンとして指定され、通学時間帯で歩行者専用道路になっているのが通常です。
また、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいても、一時停止をして道を譲らない場合、歩行者妨害に問われます。
通学路の安全に注意が向けられるようになりましたが、違反件数や違反の態様といった傾向は近年変わっていません。例えば、2017年4月12日に行われた同様の取締りでの違反件数は600件で、多い順に通行禁止違反(478件)、一時不停止(13件)、歩行者妨害違反(3件)でした。2017年は無免許運転が3件検挙されているものの、今回は特異な違反はありませんでした。
2022年4月7日の一斉取締りにおける主な違反内訳は以下の通りです。
●道路交通法違反 554件
・通行禁止違反 466件
・速度超過 24件
・歩行者妨害違反 16件
・駐車違反 12件
・信号無視 7件
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