山がないのに「○○山口」駅 32年経って復活した駅も!? 全国調べてみた

山がないのに「○○山口」駅 32年経って復活した駅も!? 全国調べてみた

JR山口線の山口駅(2015年4月、安藤昌季撮影)。

日本全国には「駅の設置目的」を名称に入れている駅が多くあります。例えば高尾山の登山客が多く利用する、京王電鉄・高尾山口駅です。ただ全国の「○○山口」駅が必ずしも登山口を指すわけではなく、中には山ですらない例もありました。

「山口」駅の近くにはどんな山が?

 数ある駅の中でも「○○山口」はわかりやすい名称だと、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は思っていました。「要するに、登山したい人の玄関口でしょ」。しかしそう思った時こそ調べてみるもの。先入観を自覚した時が、調べる機会だからです。

 全国で「山口」が付く駅名は22駅存在するようです。文字数(漢字)の少ない順に、なぜ「山口」駅となったのかを取り上げて行きましょう。

 最初はそのものズバリ、JR山口線「山口」駅。山口県の県都である山口の代表駅です。そもそも「山口県」はなぜ「山口」なのでしょうか。

 山口と言う地名自体は、鎌倉時代中期から見られる地名で、山口駅の北北西に位置する東鳳翩山(標高734.2m)の入口となるから「山口」という地名になったようです。

 所変わって愛知環状鉄道にも「山口」駅(愛知県瀬戸市)は存在します。こちらは駅の近くに山口町という地名があることが、駅名の由来でしょう。猿投山への入口を表す地名ですが、駅の近くに山はなく、東に約5kmの場所に位置します。

 次に3文字駅。JR山陰本線には「大山口」駅(鳥取県大山町)があります。近くにある伯耆富士こと大山(だいせん)に由来する駅名でしょう。大山口駅からは大山の中腹にある大山寺行きのバスが出ています。なお同駅から4つ東に「中山口」駅がありますが、こちらも大山由来でしょうか。

 山陽新幹線が停車する「新山口」駅は有名です。ほかにもJR在来線の山陽本線・山口線・宇部線が乗り入れます。長らく「小郡」駅でしたが、平成の大合併で旧小郡町と、山口市の合併が具体化していたことから、2003(平成15)年に現在の駅名となっています。ちなみに山口駅とは鉄道キロで12.7km離れています。

 JR山口線には「上山口」駅(山口市)もあります。上山という山は近くにないので、山口駅の上(北)だからというのが由来と思われます。

32年ぶりに復活した「山口」駅

 なお、かつて西武鉄道狭山線にも「上山口」駅(埼玉県所沢市)が存在しました。こちらは1929(昭和4)年に武蔵野鉄道山口線の駅として開業し、1944(昭和19)年に戦争のため休止に。路線は西武鉄道に買収され狭山線となったものの、駅は復活しませんでした。

 駅名の由来は狭山湖(山口貯水池)に近いというもので、一時「山口貯水池」駅に改称されたこともあります。

 この上山口駅の東隣(狭山湖から見て1駅遠ざかる)にあるのが「下山口」駅です。駅の開業・休止時期は「上山口」駅と同じですが、この駅は沿線の宅地開発を受け、休止から32年後の1976(昭和51)年に営業再開。現在では列車交換も行われる駅に発展しています。

 秩父鉄道には「浦山口」駅(埼玉県秩父市)があります。浦山という山は近くにありませんが、浦山川という川が存在し、浦山川橋梁は鉄道の撮影スポットとして有名です。

 名古屋鉄道犬山線にあるのが「犬山口」駅(愛知県犬山市)です。犬山という山はありませんが、近隣には小高い丘の上に国宝・犬山城が経っています。ただし、アクセスは犬山駅か犬山遊園駅の方が便利です。

 和歌山電鐵貴志川線には「西山口」駅があります。これも西山という山が駅の近くにあるわけではなく、駅の北にある西山集落への入口が由来のようです。

 JR福知山線には「篠山口」駅があります。ここも、篠山という山はありません。当初は「篠山」駅でしたが、同駅から分岐する形で国鉄篠山線が開業した時に「篠山口」駅となり、篠山線が廃止された今でもそのままとなっています。ちなみに駅がある自治体名は2019年に「丹波篠山」市へ改称していますが、これを受け駅名も同じ「丹波篠山」駅への変更を模索しているようです。

文字数が増えると登山口駅が増える

 続いて4文字駅名を紹介します。京王電鉄高尾線の「高尾山口」駅(東京都八王子市)は、高尾山に向かうケーブルカー・高尾登山電鉄への接続駅です。以下、「登山口」関連の駅が多く登場します。

 近畿日本鉄道信貴線と西信貴鋼索線には「信貴山口」駅(大阪府八尾市)があります。こちらも信貴山に登るケーブルカー(西信貴鋼索線)の接続駅です。

 水間鉄道水間線には「三ヶ山口」駅(大阪府貝塚市)があります。近くに三ヶ山という地名はありますが、そうした名前の山は見当たらないようです。

 JRには、長崎本線と佐世保線の分岐駅「肥前山口」駅(佐賀県江北町)があります。こちらも肥前山という山があるわけではなく、旧国名「肥前国」と同地名「山口」の合成です。なお2022年秋に「江北」駅に改名され、近く消滅します。

 一方、2022年3月12日に開業したばかりの新駅に、あいの風とやま鉄道の「新富山口」駅があります。駅名の由来は「富山駅からほど近く、新駅周辺で新しいまちづくりが展開されることから、富山市中心市街地への新しい玄関口(ゲートウェイ)として、新駅とその周辺がこれからますます発展することを期待」する、というものです。

 5文字駅名は四国から。四国ケーブルには「八栗登山口」駅(香川県高松市)があります。八栗ケーブル線の麓側にある駅です。

 北九州高速鉄道には「徳力嵐山口」駅(北九州市小倉南区)があります。「徳力」は地名。小嵐山という山がありますが、標高90mのこぢんまりとした丘です。

 最長の6文字駅名は3駅あります。いずれも登山道などに隣接しています。

・会津鉄道「七ヶ岳登山口」駅(福島県南会津町):標高1635.8mの七ヶ岳の登山道に隣接。
・叡山電鉄叡山本線「八瀬比叡山口」駅(京都市左京区):標高848mの比叡山に向かう京福電気鉄道鋼索線(叡山ケーブル)への乗換駅。
・JR五能線「白神岳登山口」駅(青森県深浦町):世界遺産のである白神岳(標高1235m)への登山道に隣接。

 以上、22の「○○山口」駅を紹介しました。「そんな山は近くにない」山口駅が半数を超え、「やまぐち」と読むか「さん/ざんぐち」と読むかも相まって、興味深い結果となりました。

※一部(新富山口駅を追記)修正しました(4月12日11時55分)。

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