イタリアも入るの? 空自の次期戦闘機開発への参画に関心のワケ さらに多国籍に?

イタリアも入るの? 空自の次期戦闘機開発への参画に関心のワケ さらに多国籍に?

2018年7月に開催されたファンボロー・エアショーに展示されたイギリスの次期戦闘機「テンペスト」のコンセプトモデル。日本の次期戦闘機と多くの部分を共有すると目されている(竹内 修撮影)。

イタリアの国防相が日本の次期戦闘機の開発に参画する意欲を示しています。アメリカ、イギリスの参画はほぼ確実となっていますが、さらに多国籍になる可能性も。ただ、イタリアの参画はある意味必然ともいえます。

次期戦闘機の共同開発国 アメリカ、イギリスときて…イタリア?

 2022年4月12日、来日したイタリアのロレンツォ・グエリーニ国防大臣が岸信夫防衛大臣との会談の席で、航空自衛隊の次期戦闘機の開発に、イタリアも共同開発国として参加することに関心を示したと時事通信が報じました。

 政府は2018年12月18日に閣議決定された現在の中期防衛力整備計画で、次期戦闘機を「国際協力を視野に、我が国主導で開発する」ことを決定しています。

 その国際協力に関して、日本を支援する企業の候補として2020年12月18日にアメリカのロッキード・マーティンが選定されています。戦闘機と電子機器やコンピューターなどの「ミッション・システム」の統合、コンピューターによるシミュレーションを駆使した設計、運動性能とステルス性能の両立という3分野の設計においてです。

 また、次期戦闘機にはアメリカ軍との高い相互運用性も求められていることから、防衛省は2020年8月からアメリカ空軍などとの間で、次期戦闘機とアメリカ軍機が高いレベルで相互にデータをやり取りするためのネットワーク構築に向けた話し合いも行っており、この領域においてもアメリカ企業の支援を受けることが確実になっています。

 防衛省はアメリカとの協力を進める一方でイギリスとの間でも開発協力に向けた話し合いを行っており、2021年12月22日にエンジンの共同実証事業、2022年2月15日には次世代レーダー(RF)センサーシステムの共同技術実証事業の取り決めを、イギリス国防省との間で締結しています。

 ここへきて、新たにイタリアが次期戦闘機の開発へ参画する場合、どのようなことが考えられるのでしょうか。

イタリアの参画はむしろ当然?

 同盟国であるアメリカと、近年アジア太平洋地域への関与を強め、事実上の準同盟国となりつつあるイギリスと次期戦闘機の開発で協力することは、何ら不思議ではありませんが、イタリアは友好国ではあるものの、こと防衛面での協力に関してはそれほど濃密とは言えない関係です。その国防相が次期戦闘機の開発参加に関心を示したことに、驚かれた方も少なくないかと思いますが、筆者(軍事ジャーナリスト:竹内 修)はある理由から、むしろ当然であると感じました。

 その理由は、イギリスが開発計画を進めているFCAS(将来航空戦闘システム)と、その中核となる有人戦闘機「テンペスト」の開発方針にあります。

 イギリスはFCASとテンペストの開発にあたって、日本と同様に自国主導で開発する方針を打ち出していますが、その一方で開発費と開発に伴うリスクを低減するため、開発計画の発表時から外国に対して、共同開発への参画や技術協力を求めていました。

 イタリアは2020年12月にイギリスとの間で、現在両国が運用しているユーロファイター・タイフーンを後継する戦闘機(航空戦闘システム)について、対等な立場で研究や開発を機協力していくための覚書に調印しています。

 イタリアがどのような形でFCASとテンペストに参画していくのかは、まだ具体的には決まっていませんが、共同開発への参画ということになった場合、おそらくエンジンやレーダーなどでテンペストと共通化が図られる可能性が高く、次期戦闘機とも自ずから関係性が生じるというわけです。

別の国も? 技術協力の数珠つなぎで多国籍に

 防衛省が4月12日に発表した日伊防衛(国防)相会談のお知らせには、グエリーニ国防相が「戦闘機等の装備品分野での協力の可能性について」発言したと明記されています。

 この一文を見る限り、グエリーニ国防相はイタリアがいきなり次期戦闘機の共同開発に参画するのではなく、次期戦闘機に搭載される装備品などの分野で、イギリスを介して協力する可能性について発言されたのではないかと筆者は思います。

 イギリスでFCASとテンペストの研究開発を主導する産業チーム「チーム・テンペスト」は2020年に、イタリアの重工業メーカーのレオナルド、エンジンメーカーのアビオ・エアロ、ミサイルメーカーMBDAのイタリア法人MBDAイタリア、電子機器メーカーのエレクトロニカの4社と、将来の戦闘機の開発に向けたパートナーシップの締結に合意しています。イタリアが本格的にテンペストの共同開発に参画した場合、おそらくこの4社がイギリスを介する形で、次期戦闘機とテンペストに搭載される共通装備品の開発に関与することになると考えられます。

 さらにイギリスはスウェーデンとの間でも、イタリアと同様の覚書に調印しています。イタリアと同様、スウェーデンもどのような形でFCAS、テンペストの開発に協力していくのかを決定していませんが、本格的に開発へ参画することになれば、サーブやGKNエアロスペースといったスウェーデン企業もイギリスを介する形で、次期戦闘機とテンペストに搭載される共通装備品の開発に関与する可能性があると筆者は思います。

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