“空飛ぶホワイトハウス”もうすぐ交代 米大統領専用機「エアフォースワン」3年ぶり来日

“空飛ぶホワイトハウス”もうすぐ交代 米大統領専用機「エアフォースワン」3年ぶり来日

「エアフォースワン」来日へ

“空飛ぶホワイトハウス”もうすぐ交代 米大統領専用機「エアフォースワン」3年ぶり来日

「エアフォースワン」の通称で知られるアメリカ大統領専用機VC-25(画像:アメリカ空軍)。

東京に日米豪印4か国の首脳が集まります。アメリカ大統領が乗ってくるのは「空飛ぶホワイトハウス」の異名を持つ大統領専用機VC-25。通称「エアフォースワン」の名で知られる同機は、一体どんな性能を有しているのでしょう。

30年選手の現行「エアフォースワン」

 2022年5月24日から行われる日米豪印4か国(クアッド)首脳会議。羽田空港やアメリカ空軍横田基地には、22日ごろから普段は見ることのできない特別機が飛んでくると予想されます。

 バイデン大統領の来日に伴って運航される米大統領専用機「エアフォースワン」が日本に飛来するのは実に3年ぶり。さらにインドのモディ首相を乗せた「エアインディアワン」として、インド空軍が新たに導入したボーイング777-300ERも初めて飛来する可能性があります。

 特に「エアフォースワン」は、ボーイング747-200Bをベースにした現行の機体「VC-25A」から、2025年までにボーイング747-8をベースにした新型機「VC-25B」へ置き換えることが決まっているため、いつまで現役で飛び続けるか、ますます目が離せない存在になりつつあります。

 そもそも「エアフォースワン」とはコールサインであり、型式名は前出のとおりVC-25Aです。同機は、冷戦期のアメリカ外交を支えたVC-137C(ボーイング707ベース)の代替として、1990(平成2)年9月にデビューしました。

 機体はテールナンバー「28000」と「29000」の2機あり、メリーランド州のアンドルーズ空軍基地に拠点を置く第89空輸航空団の大統領空輸群が運用・整備を行っています。外遊時には本務機と予備機の2機で目的地の空港に移動することもあれば、大統領を乗せた本務機だけが飛来し、予備機は近くのアメリカ空軍基地などで待機するような運用も行われます。

大統領が乗っていないときは違う呼称に

 たとえば2020年1月のダボス会議にトランプ前大統領が出席したときは、「28000」と「29000」の両方がスイスのチューリッヒ国際空港に降り立っていますが、前年2019年に大阪でG20サミットが開かれた際に伊丹空港に飛来したVC-25Aは1機だけでした。

 ちなみに大統領が搭乗していないときは「エアフォースワン」とは呼称されません。訓練や回送時、退任後の元大統領が移動する際のコールサインは「SAM(Special Air Mission)」が使われます。

 VC-25Aに乗ることができるのは大統領とその関係者に限られており、乗員乗客の定員は100人程度に抑えられています。そのため300人以上が乗る旅客用のボーイング747-200と比べると、さまざまな相違点があります。

 まず機体前方には、「空飛ぶホワイトハウス」となるだけの大統領専用エリアが用意されています。移動中でも大統領としての職務が行える執務室や会議室に加え、プライベートな空間として寝室や浴室、トレーニング室なども設けられています。時には国務長官などの閣僚も同乗するため、機内で安全保障を始めとした国家の重要事項に関わる会議を行うこともあります。

 これに加えて、大統領補佐官をはじめ上級スタッフ用のオフィスや手術も可能な医務室、ホワイトハウスのスタッフ、報道関係者、運航に携わる空軍クルーのための作業スペースや休憩室、そして一度に100人分の食事を提供できるギャレー(調理室)2室が備わっています。

電磁パルス攻撃にも対応

 ほかにもVC-25Aは飛行中にも地上と同じように情報を集め、アメリカ軍の指揮や連邦政府の運営が行えるよう空対空、空対地、衛星通信に対応した多周波無線機が搭載されています。また航続距離は7800マイル(約1万2550km)ですが、空中給油装置を装備しており、緊急時には他機から燃料を受け取ることで滞空時間を延ばすことができます。

 機体は核攻撃が発生しても通信を維持し飛行を継続するため、電子機器には電磁パルス対策が取られていることに加え、ミサイル警報装置やチャフ、フレア、IRジャマーといった欺瞞装置などを搭載。また、専用のタラップなどが用意できない飛行場への着陸も想定し、収納式のエアステアや荷物ローダーも装備しています。

「エアフォースワン」の飛行では、随行機としてボーイング757をベースにした要人輸送機C-32Aや、非常時にアメリカ軍の指揮を行う国家空中作戦センターE-4B「ナイトウォッチ」といった珍しい機体の飛来も期待できます。

 コロナ禍では止まっていた外国要人の来日が増えるなか、今回の「クアッド」は飛行機ファンにとっても大きなイベントになりそうです。

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