「天空の駅」は九州にも! 塔を上ってようやくホーム 廃止された"元祖"との共通点は?

「天空の駅」は九州にも! 塔を上ってようやくホーム 廃止された"元祖"との共通点は?

地上15mの橋梁上に駅がある筑前山手駅(乗りものニュース編集部撮影)。

かつて「天空の駅」として名を馳せたJR三江線の宇津井駅。この駅は廃止されましたが、似た構造の駅が、福岡県にあります。なぜこのような高い位置に駅ができたのでしょうか。

地上15mの橋梁にある細いホーム

 地上から遥か見上げる橋のど真ん中にあり、「天空の駅」として知られた、JR三江線の宇都井駅(島根県邑南町)。同駅は2018年の路線廃止により、列車で訪問することはできなくなりましたが、似たような「天空の駅」が、九州にもあります。

 そこは福岡県篠栗町、JR篠栗線(福北ゆたか線)の筑前山手駅です。福岡市周辺部の筑後平野から嘉穂盆地へ抜ける長い峠越えの途中にあります。

 筑前山手駅のホームは、高さ約15mの高架上にあり、簡素な鉄筋コンクリートの「塔」のような施設で地上と繋がっています。

 4か所の踊り場を含む計70段の階段で、ホームへ上がる必要があります。エレベーターはありません。線路1本にホーム1本の簡素なのりばで、高架の両脇から街が遥か下に見えます。これらの特徴は、廃止された宇都井駅とそっくり。宇都井駅の地上20m、階段116段に比べると一回りおとなしめですが、インパクトは引けをとりません。

宇都井駅の"兄弟" 生まれた背景は同じだった

 なぜこのような特異な駅が誕生したのでしょうか。実はその背景は、今はなき”元祖・天空の駅”の宇都井駅と共通しています。それは、どちらも国鉄末期に、日本鉄道建設公団によって建設された、比較的新しい区間であることです。筑前山手駅を含む区間は1968(昭和43)年、宇都井駅を含む区間は1975(昭和50)年の開業です。

 その頃には土木技術も進歩し、長大トンネルや長大橋梁を建設できるようになっていました。そのため、地形にあわせて急勾配・急カーブで線路を通す必要がなくなり、高速運転も念頭に、街と街を最短距離でむすぶルートが採られたのです。現在第三セクター鉄道に移管した三陸鉄道、鹿島臨海鉄道や井原鉄道、土佐くろしお鉄道など、山間部を高架とトンネル主体で抜けていくローカル線が各地で見られます。

 そうすると、「山から谷へ抜け、また山へ入っていく」という場合に、以前は谷の上流を迂回しながら山の斜面を昇り降りしていたのが、1960年代には谷を一本の橋で跨いでいけるようになりました。

 もしその谷間に集落があり、十分な鉄道需要がある場合、駅が設けられます。しかし勾配設計の都合上、谷を越える橋の多くは地上からかなり高い位置にあります。苦肉の策として生まれたのが、宇都井駅や筑前山手駅のような、「地上とホームをつなぐ塔」だったのです。

 三陸鉄道の恋し浜駅をはじめ、同じ理由でホームが橋や築堤上の高い位置にある例はいくつか見られます。その中でも筑前山手駅は、宇都井駅の「天空の駅」と同様の姿をもって、頭ひとつ抜けた存在感があります。

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