「蒲蒲線」なぜいま動いた? 空港直通よりまず“分断”解消へ 区の思いとは

「蒲蒲線」なぜいま動いた? 空港直通よりまず“分断”解消へ 区の思いとは

東急の蒲田駅。東急多摩川線と池上線が乗り入れるが、多摩川線の駅のみ地下へ移設する計画(乗りものニュース編集部撮影)。

東急の蒲田駅から京急蒲田駅をつなぐ「蒲蒲線」こと新空港線の整備が具体化してきました。東急線からの羽田空港乗り入れがゴールではあるものの、まずは「2つの蒲田駅」の分断解消を目指します。

大きく具体化した「蒲蒲線」構想

 蒲田駅と京急蒲田駅をつなぐ通称「蒲蒲線」構想が大きく前進します。東京都と大田区が2022年6月6日(月)、「新空港線(矢口渡〜京急蒲田)」整備事業について、整備スキームや事業費負担のあり方などについて合意しました。

 新空港線(蒲蒲線)は、東急多摩川線の矢口渡〜蒲田間で地下線に入り、東急蒲田駅、京急蒲田駅を経て、京急空港線に大鳥居駅手前で合流する計画の路線です。その名の通りゴールは東急線からの羽田空港直通ですが、線路幅の違いをはじめとした様々な課題があります。

 それだけでなく、大田区ウェブサイトの新空港線に関するQ&Aには、「大田区として新空港線が本当に必要ですか? 区のメリットはなんですか?」といった項目も。計画が大きく動いた背景について、大田区鉄道・都市づくり課は次のように話します。

「区にとって“2つの蒲田駅”による東西分断の解消は、1982(昭和57)年に策定した基本構想以来の悲願でした。蒲田駅周辺は戦後復興期のまちづくりであり、機能更新が必要です。蒲田駅周辺地区のグランドデザインを改訂するタイミング(2022年度〜)でもあることから、新空港線の整備をひとつの起爆剤にすることで、両駅周辺のまちづくりを一体的に進めていきたいと考えています」

 まずは、東急の蒲田駅から京急蒲田駅までをつなぐ「一期整備」を周辺の再開発とともに推進し、その後に大鳥居駅までをつなぐ区間を整備する見込み。計画では、東急多摩川線の蒲田駅は地下駅になるほか、京急蒲田駅の地下にも駅ができ、そこで東急線と京急線の列車を乗り換えることになります。

“直通”でなく乗り換えであっても、これにより区内における東西移動の利便性は大きく向上し、「羽田空港と渋谷・新宿・池袋などの拠点や和光・所沢・川越などの埼玉方面へのアクセスが拡充されるなど、東京圏全体の鉄道ネットワークが強化されます。さらに、災害時の代替ルートとしての役割も担います」とのメリットを区は説明しています。

空港つながるの? そもそも東急多摩川線は3両だけど…

「フリーゲージトレインなんて待っていたらいつまでも進まない」。大田区の担当はこうも話していました。

 前出の通り、東急線と京急線は線路幅が違うため、そのままでは直通できず、その解決策として、異なる線路幅に対応する「フリーゲージトレイン」などの導入も検討されています。大田区の担当者は、「空港乗り入れ計画も昔からあったので、当然つなげていく」としつつも、一期と二期に整備区間を分けたうえで、フリーゲージトレインなどの「開発動向を見ながら」検討するということでした。

 ただ東急線だけを見ても、東急多摩川線は3両編成のため、東横線などで走る地下鉄直通の8両や10両編成が乗り入れるには課題もあります。そこは今後の調整になるとのこと。東急多摩川線の全線にわたって施設改良が行われるのか、それとも、東横線などから京急蒲田への“直通”は後回しとして、多摩川駅で乗り換える形態でも蒲田〜京急蒲田の分断解消を優先するのか、現時点では見通せません。

 新空港線の事業費は現時点の概算で1360億円。「都市鉄道等利便増進法」のスキームを活用し、その3分の1の費用を東京都と大田区がそれぞれ3:7の割合で負担するという内容で、今回合意しています。

 この割合の根拠は、「新空港線の利用者のうち、区は空港アクセスを除く大田区発着に関する旅客分を、都は空港アクセスに関する旅客等その他の旅客分を、それぞれ負担することとしたため」とされています。

 大田区は今後、詳細な事業費を算出したうえで、事業主体となる第三セクターを速やかに設立していきたいといいます。さらに、「特別区都市計画交付金制度」の対象事業とするよう都と区で調整し、区の負担分を低減したい構えです。

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