もはや操作レスも!? 電動車いすの進化が止まらない ポスト自家用車として注目も「踏切は避けて」

もはや操作レスも!? 電動車いすの進化が止まらない ポスト自家用車として注目も「踏切は避けて」

羽田空港の自動運転モビリティとして使われているウィルの電動車いす(乗りものニュース編集部撮影)。

運転免許を返納し、自家用車を手放す高齢者が増えるなか、その受け皿になっている移動手段のひとつが「電動車いす」です。他の電動モビリティと同様、この分野も驚くべき進化を遂げていますが、その一方で課題も顕在化しています。

電動車いすが免許返納後の受け皿に

 高齢者の運転免許返納の動きは全国各地で進んでいます。2022年5月からは、過去に一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに運転技能検査(実車試験)が義務付けられました。これに合格しなければ免許が失効することになるため、移動手段を再考する高齢者がさらに増えることが予想されています。
 
 そうしたなかで注目されているのが「電動車いす」です。免許を失効、返納した高齢者の受け皿となっていて、様々なメーカーが開発、販売に注力しています。

 そもそも電動車いすは、最高速度が6km/hで、道路交通法上は歩行者として扱われます。歩道を走れる安全性や気軽さでも注目されますが、それだけではありません。従来の“福祉用”のイメージを覆すようなデザイン性にこだわったものなど、自家用車を卒業した高齢者をターゲットにした新たな商品が次々に登場しているのです。

 たとえばスタートアップのウィル(WHILL)は、ソニーや日産で働いていた技術者やデザイナーが開発に携わり、デザイン性に富んだ機体で注目を集めます。羽田空港を皮切りに、世界の空港でターミナル構内の自動運転モビリティとして採用されるなど、シェアを伸ばしています。

 座席の前にハンドルがある、いわゆる「セニアカー」も電動車いすの一種。これを販売している大手自動車・バイクメーカーのスズキは、電動車いす市場で約5割のシェアを占め、電動車いすで日本最大手のメーカーにもなっています。

 同じくバイクメーカーとして知られるヤマハ発動機は、福祉器具としての電動車いすのメーカーでもあります。そして同社はいま、セニアカーのようなハンドル形電動車いすに、オフロードテイストを盛り込んだようなデザイン性の高い「YMF-01」や「NeEMO」といった一人乗りモビリティのコンセプトモデルも打ち出しています。

運転操作がまったく必要ない車種まで登場!

 2022年5月に東京都内で開催された「バイシクルシティ・エキスポ」では、電動アシスト自転車や電動キックボードなどのほか、電動車いす領域の新作も多数出展。日邦電機のブースでは、アタッチメント式のハンドバイク「SAVER」が注目を集めていました。こちらは一般の手動の車いすに取り付けることで、電動車いすになるというもの。

 もう一台、会場で存在感を放っていたのが、配送ロボットなどを手掛けるZMPが開発した歩行速モビリティ「RakuRo」です。こちらは、ハンドルもジョイスティックもなく、タブレットに表示された地図上で場所を指定すれば、自動でその場所に連れて行ってくれるの。道交法上では電動車いすに含まれるため、公道(歩道)を走れるほか、搭載のカメラが信号を認識し、停止や発進の判断もしてくれます。

 自動車を卒業後の高齢者の移動手段として、今後も進化が楽しみな電動車いすですが、課題もあります。数のうえでは少ないとはいえ、電動車いすは高齢者が使用する他の製品よりも死亡事故の割合が高いことが明らかになっています。

 とりわけ事故が多いのが「踏切」です。独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)によると、レールとレールの間に車輪が挟まれたり、脱輪したりして立ち往生する事故が相次いでいることから、同機構は踏切の通行を避けるよう呼び掛けています。また、道路の側溝に脱輪、坂道でバランスを崩して転倒、あるいは道路横断中における自動車との衝突事故などが多く発生しています。

 こうした事故を防ぐため、各地で安全講習会も実施されています。前述のスズキでも、2022年から直営以外の販売店も含め電動車いすの安全講習を行っているそうです。

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