これぞ令和の陸自ヘリ 待望の新型「UH-2」スバルから引渡し UH-1から格段進化 フレア撒けます

これぞ令和の陸自ヘリ 待望の新型「UH-2」スバルから引渡し UH-1から格段進化 フレア撒けます

2022年5月、宇都宮飛行場で初飛行した際のUH-2量産初号機(画像:SUBARU)。

陸上自衛隊が待ち望んだ最新ヘリコプターUH-2の量産型が納入されました。現用のUH-1Jとパッと見よく似ていますが、中身は別モノとも。外観からはわかりにくい性能向上の一端を見ていきます。

見た目似てても全くの別機UH-2

 2022年6月30日(木)、栃木県のSUBARU(スバル)宇都宮製作所において、陸上自衛隊向けの新たな多用途ヘリコプターUH-2量産初号機の引渡式が行われました。

 UH-2は現在の主力多用途ヘリコプターであるUH-1Jの後継として約30年ぶりに新造されたヘリコプターです。UH-1Jは陸上自衛隊で最も機数の多い主力多用途ヘリコプターとして、数多くの飛行隊で運用されています。

 一見すると、UH-1JとUH-2は似た形状をしており、実際、位置づけとしてはUH-1シリーズの派生型であるベル412の最新型ベル412EPXの自衛隊仕様がUH-2なので、UH-1シリーズの進化版がUH-2と言えなくもありません。しかし、その中身はフルモデルチェンジというより、全く別のヘリコプターといえるほど変化しています。

 まず外観ですが、メインローターブレードは2枚から4枚に増えました。これによって飛行中の騒音を低減させ、機内の振動もマイルドになるほか、UH-1Jでは危険が伴うような急な動作をしても、問題なく飛び続けられるようになりました。

 さらにエンジンも1発(シングル)から2発(ツイン)になっています。1発あたりの出力は抑えられましたが、合計出力ではUH-1Jよりもパワーアップしており、特に洋上飛行時には万一エンジンの片方が停止しても、もう1発のエンジンを使って安全に着陸場所を探すことができます。

 また、実用上昇限度も向上しており、より高高度での山岳地帯などでの救助活動や山林火災にも対応できるようになっています。

自衛装置も標準装備

 さらに、UH-2はコックピット周りも大きく進化しました。

 UH-1Jは全ての操縦機能がマニュアルで、何一つ自動化されている部分はありませんでした。しかし、UH-2のコクピットにアナログ機器はほぼ存在せず、大きな液晶画面が4つも付いたグラスコックピットとなっています。

 このため、パイロットは飛行情報、エンジンやローター、電気系統や燃料系統などの状況を容易に確認できるようになりました。さらには、自動操縦機能も搭載していることから飛行中のパイロットの負担を軽減することにも成功しています。

 この他にも、UH-2にはUH-1Jとは異なる装備が多々あります。

 たとえばチャフ・フレアディスペンサーの装着です。これまでUH-1Jには機体を防護するためのチャフ(ミサイルが照射するレーダーをかく乱させるために空中に散布するおとり)やフレアー(熱源を空中に投射して赤外線誘導ミサイルをかわすおとり)を投射することはできませんでした。その代わりとして、敵の対空ミサイルを発見したら、可能な限りの回避行動を取ることを推奨されていましたが、現実問題として、敵の対空ミサイルを視認した段階で手遅れです。

 しかし、このチャフやフレアーを使うことができれば、もしかしたらミサイルを回避することができるかもしれません。

 さらに、このチャフやフレアーを使うためのミサイル警報装置も取り付けられました。そのため、パイロットは警報音が鳴り響いたと同時に回避行動をとりつつチャフとフレアーを投射しながら退避することで、自機の生残性を高めることができるのです。

すでに始まっているシミュレーターでの学生訓練

 こうした装備を取り付けたことで、UH-2はようやく21世紀にふさわしいヘリコプターへ仲間入りを果たしたともいえるのですが、こうした進化を喜ぶ声がある一方で、完全にマニュアルなUH-1Jを愛するパイロットや整備員がいることも事実です。

 なぜなら、仮に何かトラブルがあったとしても現場で対応できる要素が大きいからです。コンピューター制御の部分がかなりの割合を占めるUH-2の場合、現場で応急対応できる部分が少なくなっているのは否めないでしょう。

 いずれにせよ、陸上自衛隊の多用途ヘリコプターはUH-2の登場で新時代を迎えました。陸上自衛隊に引き渡されてからは、三重県にある明野駐屯地に所在する陸上自衛隊航空学校で習熟訓練が行われ、本格的な訓練が開始されると思われます。

 なお、すでに航空学校内にはUH-2のシミュレーターが設置されており、それを使った学生教育は行われているため、UH-2に搭乗予定のパイロットたちは、実機の操縦桿を握る日を心待ちにしているのは間違いないと言えるでしょう。

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