「また『ホヌ』で飛べる!」 ANA巨大機「A380」24か月ぶり復活 パイロット&CAに聞く一大フライトの裏側

「また『ホヌ』で飛べる!」 ANA巨大機「A380」24か月ぶり復活 パイロット&CAに聞く一大フライトの裏側

初便である7月1日成田発のNH184便としてホノルルに降り立ったANAのA380(2022年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

ANAが約2年4か月ぶりに定期便へ定常投入を再開した超大型旅客機、エアバスA380「フライングホヌ」。担当するパイロット・CAは並々ならぬ思いでこのフライトに挑んだようです。その裏側を聞きました。

2020年3月から定期便運用を外れ…

 2022年7月よりANA(全日空)が、「ウミガメ」デザインが特徴の超大型旅客機、エアバスA380「フライングホヌ(FLYING HONU。“空飛ぶウミガメ”を意味する)」を再び定期便へ定常投入しました。約2年4か月ぶりの復活初便を担当したパイロット・CA(客室乗務員)は、どのような心境でこのフライトを迎えたのでしょうか。その裏側を聞くことができました。

 ANAでは、2019年に成田〜ホノルル線の専用機としてA380を3機導入。A380は「世界最大の旅客機」として知られており、ANA機では計520席を配します。そして同社ではこの機を「フライングホヌ」と名付け、それぞれ異なったデザインとトレードカラーをもつ「ウミガメ」の特別塗装を施しています。これは「ウミガメ」がハワイで神聖な動物とされることにちなんでとのことです。

 ANAホノルル線の“切り札”として華々しくデビューした「フライングホヌ」でしたが、就航から1年たたずに、航空業界を新型コロナウイルス感染拡大が襲いました。これにより、同型機は2020年3月に定期便運用から外れ、その間は成田空港で羽を休めながらも、不定期で地上イベントや遊覧チャーターなどに活用されてきました。

「『フライングホヌ』が再びホノルルへ向け飛び立つ事は、私達が日常を取り戻し元気になった事の象徴になるだろうと思っていましたので、ようやくこの日を迎えることができて嬉しいです。運休中もANA頑張れ、ホヌ頑張れと応援していただいた皆様に心からのありがとうを伝えたいです」。復活初便となる1日成田発のNH184便の操縦桿を握った古川 理機長は、こう話します。

担当乗員に聞く「自分が初便担当」と知ったときの心境

 ANA「フライングホヌ」の復活初便を担当したパイロット、CAは自分の乗務が決まったときの感想を次のように話します。

「ホノルル線への復活は我々にとって『待ちに待ったビックニュース』ではありましたが、週2便という規模もあり、最初はこんなに注目されるフライトになるとは思っていませんでした。就航が近づくにつれ、一気に盛り上がってきたように思います。注目されるフライトを担当するという事で改めて身が引き締まる思いでした」(古川 理機長)

「『ホヌ』が運航できない期間、ANAをはじめ航空業界は長く厳しい時期を過ごしてきました。その期間中も粘り強く準備を続けたからこそ、この初便が実現できたのだと思います。実現に関わった全ての方々に、心から感謝したいです。その皆さんの思いが詰まった運航便ですので、普段以上にしっかりと、そして丁寧に運航したいと感じました」(迎 圭一機長。古川機長とともに操縦を担当)

「『ホヌ』の再就航は、ANAとして大事な局面だと思っていました。乗務が決まったときは、お客様の期待も大きいので、それに責任を持って業務に当たらなければいけないと感じました。前日は久しぶりの『ホヌ』乗務ということで、非常に緊張しましたが、マニュアルをしっかり読み込むなど基本的なことを着実に準備しました」(同便の客室を担当した千代 希さん)

 ちなみに千代さんは「客室が大きく、CAの数も多いので、情報共有の方法を工夫・意識しなければならない飛行機です」と、CAから見た「フライングホヌ」について説明します。

「復活初便」運航してみてどうでした?

 乗員それぞれが特別な気持ちで迎えたともいえる、ANA「フライングホヌ」の復活フライト。それぞれの立場からのフライトの感想を、同便のパイロットとCAは次のように話します。

「離陸の時、加速の弱さと共に離陸まで走る距離がずいぶん長く感じました。もちろん、離陸のための推力は充分確保しているのですが、機体が重いために遊覧飛行など国内のフライトとは動きが異なるのです。『この感じ久しぶり!』と国際線仕様の操縦を楽しんでいました。そしてフライトが終わった後も、今月また『ホヌ』でのフライトがあるという感覚が何よりも嬉しいですね」(古川 理機長)

「自分はMFF(他機種での兼乗制度。迎機長はこの制度でA320シリーズの乗務も担当)で実運航から遠ざかっているという感覚はありませんので、特に緊張することなくフライトを迎える事が出来ました。ただ、セレモニーでANAファンの方々に直に接し、あたたかい言葉を頂きました。今回のフライトは一つのマイルストーンではありますが、今後もANAのフライトは続いていきます。フライトを通じて得られたANAファンの熱い思いをしっかりと胸に落とし込み、真摯に業務に向き合っていきたいと思います」(迎 圭一機長)

「お客様からも『コロナが始まってから初めての旅行だった』という声もいただきましたし、出発前に機外で手を振っている係員を見て、涙ぐまれているお客様もいらっしゃって、お客様の期待感を感じました。機内ではコロナ禍ということもあり衛生を気にされている方が多いと考えていたので、お手洗いのこまめな清掃や、座席周りのゴミ回収などを積極的に行いました」(客室担当の千代 希さん)

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古川機長は、搭乗した乗客に向けても、次のようなメッセージを発しました。

「『フライングホヌ』は客室も広く、着替えや授乳などが出来る独立した部屋などもあります。エンジンの振動も少なく機内が静かなので、お客様には到着までゆったりお過ごしいただける飛行機だと思います。我々が責任を持って安心と信頼の運航をお届けしますので、『ハワイに行くならフライングホヌだね』と思っていただけると最高に嬉しいですね」。

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