航空自衛隊C-2輸送機「空飛ぶICU」による初の緊急患者空輸を実施 千歳~羽田

航空自衛隊C-2輸送機「空飛ぶICU」による初の緊急患者空輸を実施 千歳~羽田

北海道の航空自衛隊千歳基地で患者を引き継ぐ、機動衛生ユニット搭載のC-2輸送機(画像:航空自衛隊)。

「運用上問題なし」という確認をとるのが大変なんです。

鳥取配備の空自機が北海道から東京へ患者搬送

 防衛省・統合幕僚監部は2022年8月6日、航空自衛隊のC-2輸送機による初の機動衛生ユニットを用いた患者搬送が行われたと発表しました。

 実施日は8月3日。同日7時に北海道知事から航空支援集団司令官(東京都府中基地)に宛てて緊急患者空輸に係る災害派遣要請があったとのこと。これに対し、鳥取県美保基地所在の第3輸送航空隊からC-2を派遣することとなり、愛知県小牧基地所在の航空機動衛生隊と、同隊が所有する機動衛生ユニットを機内に搭載して千歳基地へ出動、同日14時46分、無事羽田空港へ患者1名を搬送したといいます。

 機動衛生ユニットは、別名「空飛ぶICU(集中治療室)」ともいわれる航空自衛隊の装備です。C-2またはC-130H輸送機の機内に搭載可能な、可搬式シェルターコンテナの内部に様々な医療機器や酸素ボンベ、医療行為を行える照明装置(最大2万ルクス)や洗面台を備えているのが特徴です。

 なお、ポイントは離着陸時ふくめ、どのような時でも安全に電子医療機器などを使用できる電磁波遮蔽性能や、機内騒音を医療行為が可能なレベルまで低減することができる防音性能(80デシベル以下)などを備えている点にあります。ほかにも、医療機器についても稼働時間の制約を受けないよう常に電源を確保するための周波数変換装置やUPS(無停電電源装置)も装備しています。

 人員は、医官(医師)1名、看護師・救急救命士2名、管理要員1名からなる機上医療班4名が基本編成で、今回の緊急患者空輸では、C-2輸送機の機長を始めとした運航要員合わせ計14名が派遣されたとのこと。

 ちなみに、通常の災害派遣に基づく重症救急患者の搬送では、1床(患者1名)の仕様で搬送にあたりますが、大規模災害など大量傷病者が発生した場合には、最大3床(3名)まで搬送可能です。

 機動衛生ユニットは、前出したような電磁波の影響や騒音、照度、電源確保などの確認が必要であったため、C-2は設置・運用できることが確認されていたものの、これまで実任務に就いたことはありませんでした。今後は、既存のC-130H輸送機に加えてC-2輸送機も加わるため、より一層、運用の幅が広がると考えられます。

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