議論呼ぶ「安倍晋三国際空港」、海外版は多数存在 “人名の空港”はどう誕生していったか

議論呼ぶ「安倍晋三国際空港」、海外版は多数存在 “人名の空港”はどう誕生していったか

羽田空港(乗りものニュース編集部撮影)。

「成田や羽田を安倍晋三国際空港に…」という芸能人のSNS投稿が大きな反響を呼びました。こういった法則で命名された空港は、海外だと結構存在します。どのようなものがあるのでしょうか。

神田さんも触れた「ホノルル」「JFK」

 タレントの神田うのさんが2023年1月、「日本でも羽田国際空港や成田国際空港という名前から安倍晋三国際空港にして欲しいな~」と公式SNSに投稿。この発言をめぐり、SNS上などでは多くの反響を呼び、さまざまな賛否両論の意見が寄せられました。

 神田さんは、この発言の前段で「アメリカでは素晴らしい政治家さんの功績を称えて、いつまでもみんなが忘れないように、その方のお名前を国際空港につけています。凄く素敵な事だと思います」と、今回の発言の背景について投稿しています。

 では、海外にはどのような“安倍晋三 国際空港”的な名前、つまり「著名な政治家や偉人を冠した空港」があるのでしょうか。まず神田さんも「安倍晋三 国際空港」投稿で触れている、次の2空港について見ていきます。

●ハワイ・ホノルル「ダニエル・K・イノウエ空港」

 日本からハワイ観光に行く際の玄関口は「ホノルル国際空港」として知られていますが、同空港の正式名称は「ダニエル・K・イノウエ空港」というものです。現在4本の滑走路と水上機用2本の滑走路を運用しており、日本からはJAL、ANAなどが就航しています。

 空港名となっているダニエル・K・イノウエ氏は、ハワイ出身の政治家で、アメリカ合衆国の上院議員を約50年間勤めるなど、同地域の歴史で突出した功績を残したことで知られてます。空港名の改称は、2017年に実施。同氏の政治家としての業績にちなんで実施されました。なおハワイには、空港だけではなく、大学や通りなどに、同氏の名前を冠した施設が残されています。

 ちなみにこの空港は、1927年に「ジョン・ロジャース空港」として開港。このジョン・ロジャース氏は、第一次世界大戦の海軍将校とのことです。つまり、この空港は歴史上、2人の人名が空港名に盛り込まれた歴史をもつということです。

●ニューヨーク「ジョン・F・ケネディ空港(JFK空港)」

 アメリカ合衆国・ニューヨークへの空の玄関口のひとつであるメガ空港、JFK空港は1948年に開港。4本の主滑走路を運用しており、日本からはJALとANAが就航しています。

 空港名の「ジョン・F・ケネディ」は多くの方がご存知のとおり、1963年に暗殺されたアメリカ合衆国の元大統領です。実は同空港は開港当初、アイドルワイルド・ゴルフ場の敷地を利用し空港としたことから、「アイドルワイルド空港」という名称がついていました。同空港にジョン・F・ケネディ氏の名が冠されたのは、暗殺事件のあった約1ヶ月後の1963年12月。同氏の功績をたたえたものとされています。

JFK空港にそばにあった“安倍晋三 国際空港”的な空港

 続けて、神田さんが触れていない「著名な政治家や偉人を冠した空港」の一例をチェックしていきましょう。

●ニューヨーク「ラガーディア空港」
 ニューヨーク周辺には、国際線むけのJFK空港のほかに、米国・国内線むけの基幹空港である「ラガーディア空港」が存在しています。

 現「ラガーディア空港」は1929年に開設し、その直後に「アメリカの航空機産業の創設者」とされるグレン・カーチス氏になぞらえ「グレン・カーチス飛行場」を起源とします。

 その後ニューヨーク市では、この飛行場をベースにニューヨークに民間空港を作ることとし、1940年代前後から「ニューヨーク市営空港」として開港。規模を拡大していきます。この陣頭指揮に立ったのが、当時のニューヨーク市長、フィオレッロ・ラガーディア氏で、空港名も同氏の名前にちなんでいます。

 なお、ニューヨーク市内には、ラガーディア通り、ラガーディア高校、大学、ラガーディア公園、ラガーディア切手、ラガーディア石碑など同氏の名前を冠した施設が多々あるそうです。

欧州にある “安倍晋三 国際空港”的な空港

●フランス・パリ「シャルル・ド・ゴール空港」

 多くの日本人にとって憧れの渡航地、フランス・パリに旅行する際の玄関口は、パリ郊外にある「シャルル・ド・ゴール空港」です。

 1960年代、旅客機のジェット化に伴い、それまでの空港では手狭となった一方で、パリには既存の空港では拡張が困難なことから、パリ郊外のロワシー地方に新たな空港建設が始まりました。この空港は1964年から建設工事を開始し、1974年に新たな国際線用空港シャルル・ド・ゴール空港として開港しました。現在は計4本の滑走路を運用し、日本からはJAL、ANAなどが就航しています。なお、地元では空港の存在する土地の名称からロワシー空港とも呼ばれているのだそうです。

 名前が冠されたシャルル・ド・ゴール(本名:シャルル・アンドレ・ジョセフ・マリー・ド・ゴール)氏は、第一次世界大戦には陸軍に所属し、第二次世界大戦中には自由フランス軍を樹立してナチス・ドイツに対抗し、後にフランス大統領を務めた人物で、フランスの独自性を打ち出した政治家です。空港のほかにも、フランス海軍の空母にも同氏の名が冠されるなど、同国を代表する偉人の一人といえるでしょう。

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 なお、このほかに特定の人名がついた空港は、まだまだ存在します。テキサス州のジョージ・ブッシュ・ヒューストン空港、ヴァージニア州ワシントンのロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港など。

 一方日本では、人名を冠した空港はまだ、高知龍馬空港ぐらいしかありません(その一方でアニメキャラや「おいしい」など謎の形容詞がついた空港はどんどん増えていますが……)。「安倍晋三 国際空港」はともかくとして、これから日本にも、こういった「著名な政治家や偉人を冠した空港」が増えることがあるのでしょうか。

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