「首都高とKK線“止めてみた”」そしたら大盛況! 空のホコ天「銀座スカイウォーク」出現 新幹線がめっちゃ近い!
2023年05月04日 18時12分乗りものニュース

KK線土橋入口付近のカーブ。新幹線が間近を通る(乗りものニュース編集部撮影)。
首都高の一部とKK線こと東京高速道路を通行止めにし、銀座に“空のホコ天”を作り出すイベント「銀座スカイウォーク」が開催されました。KK線の緑道化という近い未来を先取りした形ですが、人々の期待はかなり大きいようです。
首都高とKK線とめて銀座に出現「空のホコ天」
ゴールデンウイーク中の2023年5月4日から、首都高八重洲線と銀座の「KK線」こと東京高速道路が48時間の完全通行止めに。そのうえで、高架道路であるKK線を多くの人々が歩きました。KK線を歩行者天国にする前代未聞のイベント「銀座スカイウォーク」が実施されたのです。
KK線は、商業施設「銀座インズ」や「銀座ナイン」などの屋上を通っている自動車専用道で、首都高とは3か所で接続しています。その歴史は首都高よりも古いですが、近い将来、このKK線は廃止されることが決まっています。
現在、日本橋をまたいでいる首都高C1都心環状線を地下化する工事が進んでおり、今後、C1のルートが八重洲線と新設の「新京橋連結路」経由へと付け替えられるため、いま八重洲線やC1と接続しているKK線は役目を失います。そこで、銀座の再開発計画とあわせて、KK線を廃止し、「スカイコリドー」と呼ばれる高架緑道に造り替えるのです。
その“近い未来”をゴールデンウイークの2日間だけ先どりして体験しようというのが今回のイベントです。
こんなところ都内にない! 超ド迫力「電車見スポット」出現
今回は抽選で選ばれた一般参加者とともに銀座スカイウォークのガイドツアーへ参加。新橋入口から西銀座JCTを経て新京橋出口まで約2km、“空のホコ天”を歩きました。
開始早々に現れる土橋入口付近の急カーブでは、東海道新幹線の列車が、ほぼ“目線の高さ”で通過。新橋方面からクルマで通るときも、新幹線に突っ込んでいくかのような感覚もあるスポットですが、歩いてみると列車が極めて近く、参加者からは歓声が上がりました。
ここから400mほどの直線区間は、高架のJR在来線、東海道新幹線とピタリ並走し、目線よりやや低い位置を列車がひっきりなしに行き交う姿が見られました。「こんなスポット、都内のどこにもない」と、東京都都市整備局の担当者は話します。実際の緑道整備にあたっても、この鉄道並走の景観を活かしていきたいということでした。
道路標識の下で寝そべる人々 銀座のど真ん中に出現した珍景
道路が線路から離れると、いよいよ銀座のど真ん中に突入です。多くの人が行き交う数寄屋橋交差点を見下ろし、その先にある“地価日本一”の銀座四丁目交差点を望むことができました。
ここから銀座一丁目付近にかけては今回、「再生モデルエリア」として、特設ステージやイベントスペース、売店、次世代モビリティの試乗コーナーなどがKK線上に設けられました。
人工芝マットの上にはサマーベッドも並べられ、人々はそこに寝転んだり、団らんしたりと思い思いに過ごしていました。ただ、そこは案内標識の真下で、遠くには料金所が見えるという、何とも珍妙な光景。KK線の再生後の姿をイメージできるスポットでもありました。
特設ステージでは小池百合子都知事とゲストによるトークセッションも開催。今回の緑道化のモデルである、ニューヨークの「ハイライン」とその効果について話し合われました。ハイラインは、廃止された都心の高架鉄道を緑道化したもので、いまや同地を代表する観光スポットになっているとか。知事も直接視察をしたことがあるそうです。
都はこのKK線跡地を、都会の貴重な緑道空間とし、歩くだけでなくイベントやアートを楽しんだりする場にしたいと考えています。
「ハイラインは、“再開発”というより“再活性化”がテーマでした。ニューヨークはコンクリートジャングルと呼ばれ、人々の貧富の差も拡大したことで治安も悪化していました。そこで考えられたのが、まずは『緑』を増やすこと。そして、格差を“多様性”に変えるため、誰でも滞在できる、誰もが活力を受け取れる公共空間として整備したのです」
こう話すのは、トークセッションに参加したグローバルタレントのモーリー・ロバートソンさん。整備主体となる都に対しては、このKK線跡地について「大資本も個人事業主も、みんなにチャンスのある場にしてほしい」と注文を付けました。
実は“プラチナチケット”だった今回のイベント 競争率9倍!
今回のイベントを主催した東京都都市整備局は、「KK線が生まれ変わることがあまり知られていない、もっと多くの人に知ってほしい」という思いから、「銀座スカイウォーク」を企画したそう。
しかし、蓋を開けてみると……2日間で計3000人の募集枠に対し、なんと2万7000人もの応募があったとか。実に「東京マラソン」並みの競争率になったといい、人々の感心の高さが浮彫りとなりました。
現在の計画では、KK線の「スカイコリドー」化の事業着手は2027年頃の目標で、それまでにKK線は全線廃止になる見込みです。さらに、接続先を失う首都高八重洲線もいったん通行止めになります。2035年には、首都高C1都心環状線の代替路として、C1と八重洲線を地下でつなぐ「新京橋連結路」が完成する予定で、「スカイコリドー」の完成はおおむね2040年ころまでが目指されています。
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