鉄道ないのに「新駅」って?横浜のテーマパーク整備で“宙ぶらり新線計画” の再始動なるか

鉄道ないのに「新駅」って?横浜のテーマパーク整備で“宙ぶらり新線計画” の再始動なるか

テーマパークへの輸送の一旦を担う相鉄線(画像:写真AC)。

横浜市が「旧上瀬谷通信施設」に誘致を目指すテーマパーク計画が具体化しました。事業予定者の三菱地所は、鉄道新線の整備を前提とした計画を市に提案しています。

横浜の「テーマパーク」は鉄道新線の整備が前提か

 横浜市は2023年9月14日(木)、「旧上瀬谷通信施設」に誘致を目指すテーマパークの事業予定者を三菱地所に決定したと発表しました。
 
 計画地周辺は、鉄道路線も駅も近接していない、いわゆる「鉄道空白地帯」。しかし、市が今回公表したテーマパークの配置図には「新駅」や「駅前ゾーン」の位置など、鉄道新線の整備を前提とした記載があります。このエリアには一旦白紙となった新交通システム「上瀬谷ライン」の構想がありますが、再始動するのでしょうか。

 旧上瀬谷通信施設は、2015年6月にアメリカから日本へ返還された在日米軍の跡地です。横浜市はこの土地を、「農業振興地区」「観光・賑わい地区」「物流地区」「公園・防災地区」に分けて整備する方針。テーマパークは「観光・賑わい地区」に誘致する計画です。2028年頃に着工し、2031年頃の開業が予定されています。

 新たなテーマパークは、「ジャパンコンテンツと最先端のジャパンテクノロジーを活用した次世代型テーマパーク」となる見通しで、全体の敷地面積は約70万6500平方メートルにおよびます。年間1500万人超の来場者が見込まれています。

 テーマパークのほか、関連するグッズショップなどを整備する「駅前ゾーン」、自然をコンセプトとした商業施設を導入する「公園隣接ゾーン」、バスターミナルや将来の開発用地で構成される「環4西ゾーン」なども整備される見通しです。施設の配置図では、新駅の位置まで示されています。
 
 鉄道が通っていない地域にも関わらず、「新駅」や「駅前ゾーン」とはどういうことなのでしょうか。横浜市によると「今回、事業者(三菱地所)側が鉄道新線の整備を前提とした提案を行い、その内容を公表した形になります」とのこと。そのうえで、「市としては今回の提案を踏まえ、来街者の需要を見通して、導入する輸送システムを検討していきます」(都市整備局 上瀬谷整備推進課)と話します。
 
 新駅の位置などは、あくまで三菱地所側の提案内容によるもので、市として鉄道整備を決定したわけではないそうですが、今後の動向が注目されます。

新交通システム「上瀬谷ライン」計画が再始動?

 この地区には、相鉄の瀬谷駅付近と上瀬谷地区の約2.6kmを結ぶ新交通システム「上瀬谷ライン」構想があります。この構想をめぐっては、事業着手の前段階である環境アセスメントの手続きも実施されました。しかし、その事業予定者と目されていた、横浜市臨海部で新交通システム「金沢シーサイドライン」を運営する「横浜シーサイドライン」が参画に難色を示したため、いったん白紙となっています。
 
 ただ、鉄道新線の整備に向けた検討そのものが中止されたわけではなく、事業スキームから再検討が行われています。市は2022年12月、「旧上瀬谷通信施設周辺における新たな交通の事業スキーム検討業務」の委託企業を選定。この業務では、「新たな交通の設計・建設から維持管理、運営までの最適な事業スキームの選定にむけて、関係者へのヒアリングや事業スキームの概略検討を行う」としています。
 
 市の2023年度予算には、上瀬谷地区の「新たな交通の導入検討」費用として8000万円が計上されており、引き続き検討が進められる予定です。

 ちなみに旧上瀬谷通信施設では、テーマパーク着工前の2027年に、国際園芸博覧会が開催されます。その際は会場へのアクセス輸送として、相鉄本線の瀬谷駅と三ツ境駅、JR横浜線の十日市場駅、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅からシャトルバスが運行される予定です。

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