かつての経済対策「高速道路休日1000円」結局どうだったのか? その効果と懸念

かつての経済対策「高速道路休日1000円」結局どうだったのか? その効果と懸念

「高速道路休日1000円」は経済効果をもたらしたが、渋滞も激化した。写真はイメージ(画像:photolibrary)。

かつて土休日のETC利用に限り、高速道路の通行料金を上限1000円にする施策が実施されました。新型コロナウイルスによる経済への影響を緩和する策として、高速道路の料金引き下げや無料化は有効なのか、当時の施策を振り返ります。

費用対効果は確かに高かった「高速道路休日1000円」

 新型コロナウイルスの感染拡大にともなう経済対策の一環として、流行収束後に高速道路の料金引き下げ、あるいは無料化が検討されていると、複数のメディアで報じられています。およそ10年前、2010(平成22)年前後には「高速道路休日1000円」という似たような施策が実施されましたが、その結果はどうだったのでしょうか。

 この施策は、ETC利用の普通車および軽自動車、自動二輪車を対象に、休日における地方部の高速道路の通行料金を上限1000円にするというもので、リーマン・ショック後の2009(平成21)年3月から、2011(平成23)年6月まで実施されていました。

 国の「高速道路のあり方検討有識者委員会」が2011(平成23)年にまとめた資料によると、この施策による観光消費の拡大効果は年間およそ3600億円、間接効果を含めた経済効果は同8000億円と試算されています。「休日1000円」実施後5か月間(2009年4月から8月)における日帰り旅行の回数は、前年同期と比べて約1.3倍、宿泊旅行は約1.2倍に増えたそうです。

 対して高速道路の割引に要した額は、並行して実施された「休日5割引(1回の利用距離が普通車で71km未満、軽自動車で89km未満の場合に適用)」と合わせても、年間1500億円ほどだったといいます。

毎週末が「GW並みの渋滞」に

 しかし、この「休日1000円」が実施されたことにより、高速道路では毎週末のようにゴールデンウイーク並み、あるいはそれ以上の渋滞が発生したとのこと。2009(平成21)年度における東名高速の渋滞時間は、休日の平均で前年度の約2.6倍、名神高速では約3.5倍に急増したそうです。

 それだけでなく、自家用車の利用が急増したことで、公共交通機関は鉄道、高速バス、フェリーと、軒並み利用者数が減少しました。高速バスでは、2009(平成21)年度の休日における利用者数が前年度の92%に、フェリーでは81%にまで落ち込んでいます。本州と四国を結ぶ本四高速3路線も「休日1000円」の対象だったこともあり、瀬戸内海のフェリーを中心に、航路の廃止や減便が相次ぎました。

 高速道路のあるべき料金制度を検討した公益財団法人 高速道路調査会の委員会は、2018年に発表した「高速道路の料金制度に関する研究」の最終報告書で、この「休日1000円」を「高速道路を無料化した状態に近い運用」として、「社会全体として好ましくない状態になる」「高速道路が無料となることは、必ずしも私たちの生活にプラスになることばかりではない」と評価しています。

 というのも、渋滞の激化により、高速道路が提供するサービスである速達性と定時性が損なわれ、たとえば高速バスの定時運行ができなくなったり、物流の定時性が阻害され、流通段階におけるコストが増加したりする、というわけです。

 そのうえで、同報告書は高速道路の料金制度について、「通行料金を支払うことにより、一般の道路と比較して、より速く、より時間に正確に移動できるという選択肢を残しておく必要がある」とまとめています。

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