東京の民間バス終点5選 農園はない「都民農園セコニック」 スポーツ施設がターミナル

東京の民間バス終点5選 農園はない「都民農園セコニック」 スポーツ施設がターミナル

都民農園セコニックバス停(2019年3月、中島洋平撮影)。

東京都心部の都営バス営業エリアから外側、大手私鉄系など民間バス事業者の営業エリアにも、特徴的なバスの「終点」が多数あります。どのようなところへ行くバスなのか、行先名からは想像しづらい終点を5つ紹介します。

「都民農園」は都内 「都民農園セコニック」は都外

 東京都心部の都営バス営業エリアから外側は、おもに西武や東急、小田急といった大手私鉄系などの民間バス事業者が路線バスを運行しています。今回はそのなかから、行先名だけではやや想像しづらい、あるいは特徴的な終点を5つ紹介します。なお、その場所を発着するバスについては、おもな系統、および運行区間を記載しています。

【西武バス】都民農園セコニック(埼玉県新座市)

●発着するバス
・吉61-1:吉祥寺駅〜大泉学園駅北口〜都民農園セコニック〜新座栄
・泉35-6:西武車庫前〜大泉学園駅北口〜都民農園セコニック
・泉32:都民農園セコニック〜緑ヶ丘〜朝霞駅南口

 東京23区で最も西に位置する練馬区大泉学園町から、埼玉県新座市へ30mほど入ったところにあるバス停が「都民農園セコニック」です。西武池袋線の大泉学園駅から北、西武バスの営業エリアでも、特に多くのバスが走る大泉学園通りの終端部にあたり、バス停の横にはバスの折返所があります。

「都民」の名を冠しつつ埼玉県にあるばかりか、周囲に農園も見られず、大きなショッピングセンターの前にあるというこのバス停について、コラムニストの泉 麻人さんは「想像と大きく異なっていた」という旨の手記を残しています。「都民農園」は東京都がこのあたりに計画したレクリエーション農園の構想に、「セコニック」はショッピングセンターの2階にオフィスを構える精密機器メーカーの社名に由来します。ショッピングセンターは、このセコニック社がかつてこの地に構えていた工場の跡地に造られました。

 なお、大泉学園駅方面からのバスはここから2つ南、練馬区内の「都民農園」バス停で分かれる便もあるため、都民農園セコニックへ向かうバスは行先表示器に「セコニック」と表示されます。

バスが着いてもすぐには降りられない終点とは?

「バスが着いてもすぐには降りられない」という終点もあります。

【関東バス】南善福寺(東京都練馬区)

●発着するバス
・荻36:荻窪駅〜井草八幡宮〜東京女子大北〜南善福寺

 荻窪駅の北西、住宅街のなかにある終点で、車両の向きを変えるためのターンテーブルが地面に埋め込まれた折返所があります。なお「善福寺」は杉並区の地名ですが、バス停自体はそこから道路を挟んだ練馬区に位置しています。

 ターンテーブルを備えた折返所は珍しくありませんが、ここは、その運用が特徴的です。多くの場合、ターンテーブルは回送のバスが使うところ、ここへ到着したバスは、「客を乗せたまま」180度転回し、そのあとで乗降が行われます。バスが終点に到着しても、ターンテーブルでの転回が終わるまでは降りられないわけですが、狭い敷地内で客を降ろしてから転回するよりも、このほうが安全なのだそうです。

【東急バス】砧本村(東京都世田谷区)

●発着するバス
・玉06:二子玉川駅〜吉沢〜砧本村

「砧本村(きぬたほんむら)」は、東急田園都市線と大井町線が交わる二子玉川駅の北西、多摩川沿いの低地にある東急バスの終点です。バスが数台停まれる広いスペースの一画に、レトロな木製ベンチと上屋からなる待合所がありますが、そこに掲げられた広告類もこれに合わせたかのように古風な点が目につくでしょう。

 ここは、1969(昭和44)年に廃止された東急砧線の終点、砧本村駅があった場所です。かつては渋谷〜二子玉川間と二子玉川〜砧本村間、そして三軒茶屋〜下高井戸間を路面電車タイプの車両が結んでおり、「玉電」と呼ばれていました。これら路線は三軒茶屋〜下高井戸間、現在の東急世田谷線を残して廃止され、渋谷〜二子玉川間には地下を走る現在の田園都市線ができた一方、二子玉川〜砧本村間の砧線はバスに代替されました。上述した砧本村バス停の待合所は、砧線時代のものが転用されています。

「タウンホール」「スポーツランド」がバスのターミナル

 公共施設が終点というケースもあります。

【小田急バス】北沢タウンホール(東京都世田谷区)

●発着するバス
・下61:北沢タウンホール〜三軒茶屋〜上馬〜駒沢陸橋

 北沢タウンホールは、演劇や格闘技の公演もできるホールなどを備えた世田谷区の文化施設で、下北沢駅から徒歩およそ5分のところにあります。1階はバス3台ぶんの車庫を備えた折返所で、ここが実質的に「下北沢駅のバスターミナル」になっています。三軒茶屋方面から到着した下61系統のバスはここに到着すると、誘導員のホイッスルとともに、路上でバックして車庫へ入っていきます。

 小田急線と京王井の頭線が交わる下北沢は、両線ともに利用者の多い駅ではあるものの、付近に発着する路線バスは小田急バスの下61系統しかありません。駅のすぐ近くまで商店などが密集しており、バスターミナルを設けられるようなスペースは見られません。北沢タウンホールや、そのひとつ南の「下北沢駅前」バス停も、駅から坂を下りた茶沢通り沿いにあります。

 なお、北沢タウンホールは1990(平成2)年の開業ですが、それ以前から「下北沢引返所」と呼ばれる折返所があり、当時のバスの行先表示は「下北沢駅」となっていました。

【京成バス】江戸川スポーツランド(東京都江戸川区)

●発着するバス
・小72:小岩駅〜江戸川病院〜新道口〜ポニーランド〜江戸川スポーツランド
・小73:小岩駅〜鹿骨三丁目〜瑞江駅〜王子マテリア〜江戸川スポーツランド
・小76:小岩駅〜二枚橋〜瑞江駅〜王子マテリア〜江戸川スポーツランド
・新小71:新小岩駅〜松本弁天〜篠崎駅〜江戸川スポーツランド
・篠01:新小岩駅東北広場〜江戸川区役所〜鹿骨区民館入口〜篠崎駅〜江戸川スポーツランド
・瑞75:江戸川スポーツランド〜今井〜南行徳駅〜ハイタウン塩浜〜新浦安駅

 江戸川区のJR総武線より南側や、旧江戸川を隔てた千葉県市川市および浦安市内では、「江戸川スポーツランド」行きのバスを多く見かけます。これは旧江戸川のほとりにある運動施設「江戸川区スポーツランド」のことで、これに隣接して、京成バスの大きな車庫(江戸川営業所)があります。

 京成バスのウェブサイトで公開している路線図には「江戸川営業所 江戸川スポーツランド」と併記してあるものの、バスの行先表示や現地のバス停には、「江戸川スポーツランド」とだけ示されます。ちなみに江戸川区スポーツランドは、東京23区内の区立運動施設としては唯一のアイススケート場を有し、全日本選手権なども開催されます。

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