旅客機の正確な駐機 いつもどうやっているの? パイロットの技量だけじゃない工夫

旅客機の正確な駐機 いつもどうやっているの? パイロットの技量だけじゃない工夫

駐機状態のエアバスA350型機。停止位置を示す横線にピッタリ止まっている(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。

空港に着陸した旅客機は駐機場へと向かいますが、ほとんどのケースで駐機場の所定の停止位置へピタリと止まります。パイロットの技量だけではなく、空港側にもプロの技術者がいて、またそれ専用の装置もありました。

一般的なのはマーシャラーを用いた方法

 目的地の空港に着陸した旅客機は、それぞれ定められた駐機場へと向かい、そこで乗客を降ろし次のフライトを待つ、というのが一般的です。

 この駐機の際、多くの駐機場の路面には、たとえばボーイング777型であればこの位置、737型機であればこの位置、といったように、モデルことに停止位置が定められ、一般的に黄色い線でそれが記されています。駐機する位置が定められているのは理由があり、乗り降りに使う搭乗橋(ボーディングブリッジ)や電源設備などを機体に装着するとき支障が生じないようにするためです。

 そして、そこにピタリと止めるのは、もちろん卓越した技術をもつパイロットの職人技もありますが、それだけはありません。旅客機のコックピットは死角が多く、多くのモデルでは停止する際、コックピットから停止位置がほぼ見えない状態が一般的です。そのようななか、円滑に駐機できるよう、空港側にもそれを助ける工夫が備わっています。

 2020年現在、もっとも一般的なのは、マーシャラーという地上支援スタッフが、旅客機に対して停止位置を指示する方法「マーシャリング」です。

 旅客機が駐機するとき、停止位置の延長線側に専用車「マーシャリングカー」などを停め、そこから、マーシャラーがしゃもじのようなパドルや、サイリウムのようなマーシャリングライトを使って、パイロットに対しスピードや左右のずれ、停止位置などを指示します。

デジタル化が進む駐機支援も一部では不採用 なぜ?

 マーシャラーは地上支援スタッフのなかでも、3か月から4か月の実技訓練を受けたうえで、さらに社内試験などに合格することが必要な、プロフェッショナル職とされています。

 パイロットへ指示を出す身体の動かし方は、国際基準であるICAO(国際民間航空機関)によって定められており、たとえば直進の合図は、肩から水平に伸ばした両腕の肘先を内側に曲げ伸ばしする、といったように、ほぼ世界共通のものです。なかには動きに細かい規定がされているものもあるそうで、それを旅客機の状況を見ながら繰り出すには、パイロットと同様、熟練の技術が必要となります。

 そして日本では近年、駐機場を多数備える成田空港や羽田空港、中部空港などの一部エリアにおいて、このマーシャリングを機械にさせる動きも進んでいます。その代表的なものが「VDGS(ビジュアル・ドッキング・ガイダンス・システム、駐機位置指示灯)」というもので、赤外線などを用いて旅客機の位置を特定し、電光表示部に所定の位置へ停止するまでの指示を出し、誘導するものです。

 ちなみにこの「VDGS」、一部の旅客機では反応しづらいことから、かつては設置されている駐機スポットでも、マーシャラーが誘導していたこともあったようです。

 たとえば九州に本拠を構える航空会社、スターフライヤーの旅客機がそうでした。機体の塗装が真っ黒であることから、赤外線による位置特定がうまく機能しなかったといいます。同社によるとその後、空港側のVDGSの改修や、機体の塗装を塗り直したことなどで、徐々に反応が良くなったことにより、2020年現在はVDGSを用いた駐機が一般的に行われているそうです。


※誤字を修正しました(5月26日13時33分)。

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