発車時刻と標準時刻 列車の閉扉 発車はいつなのか 最近は到着までの「時間」案内も

発車時刻と標準時刻 列車の閉扉 発車はいつなのか 最近は到着までの「時間」案内も

東京メトロ銀座線の赤坂見附駅ホームにある旅客案内装置。列車が到着するまでの時間が表示される(2018年8月、伊藤真悟撮影)。

時刻表に「10時00分」と記載された列車に乗ろうとし、発着する駅のホームへ10時ちょうどに到着した場合、乗れるのでしょうか。結論は、乗れるときとそうでないときがありますが、なぜ差が生まれるのでしょうか。

「発車時刻」ではなく「到着までの時間」を表示する旅客案内装置

 最近(2020年6月現在)、JR山手線や東京メトロ銀座線で、ホーム上の旅客案内装置の表示が、発車時刻から「あと〇分」という表示に変わっています。

 東京メトロ銀座線では2018年から、始発駅を除き、平日は午前7時から21時、土休日は午前8時から20時30分まで、次の列車が到着するまでの時間を「あと2分」などと表示しています。

 またJR山手線も2019年11月から、列車本数の少ない早朝・深夜時間帯を除き、同じように「約3分後」のような表示に切り替えました。

 実は海外では、このような案内方法が一般的で、中国や台湾の地下鉄では、あと何分何秒で到着するかカウントダウン形式で表示しています。

 なぜ発車時刻ではなく、次の列車が到着するまでの時間を案内するようになったのでしょうか。その背景には、これまで使われてきた時刻表の表示ルールのややこしさがあるようです。

 鉄道を利用する上で、最も基本的な情報のひとつが運転時刻です。鉄道事業運営の基本事項が定められた鉄道事業法の第17条には、「鉄道運送事業者は、国土交通省令で定めるところにより、列車の運行計画を定め、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」とあり、具体的な届け出内容として、列車の運行区間、最高速度、列車の発着時刻などが定められています。

「10時00分発」ドアが閉まるタイミングはいつなのか

 また、鉄道輸送の具体的なあり方を規定する鉄道営業法の関連省令「鉄道運輸規定」の第8条には、鉄道事業者は「当該停車場ニ於ケル旅客列車ノ出発時刻表ノ摘要ヲ掲示スベシ」と定められています。私たちが駅で目にする時刻表は、この法令に従って設置されています。

 しかし、時刻表に記載されている情報の読み方については、あまり知られていないのが実情です。

 時刻表に記載されている時刻とは、列車が到着する時刻ではなく、列車が発車する時刻を指しています。また、列車が発車する時刻とはドアが閉まる時刻ではなく、列車が動き始める時刻を意味しています。当然、ドアは列車が動き始める前に閉まりますので、発車時刻にホームに到着しても、その列車には乗れないということになります。

 もうひとつ重要なのは、時刻表に記載されている発車時刻は秒を切り捨てた分単位で表記されているということです。鉄道のダイヤは、実際には秒単位で決められているため、駅員や乗務員は秒単位で列車を運行していますが、時刻表には秒まで書かれていないのです。

 つまり時刻表に「10時00分発」と書かれていても、それは「10時00分00秒発」なのか「10時00分50秒発」なのか、乗客は区別することができません。

 たとえば10時00分00秒発の列車は、10時00分00秒に動き始めるので、「10時00分」になる前にドアが閉まりますが、10時00分50秒発の列車は「10時00分」を過ぎてからドアが閉まります。

直感的に分かりやすい案内へ 列車の位置情報をアプリで配信

 さらに、都心の駅間距離が短い区間では、運転計画において発車時刻が決められた「採時駅」と、発車時刻が決まっていない「非採時駅」が存在する路線もあります。こうした路線の時刻表は「標準時刻表」と呼ばれ、通常の「発車時刻表」とは異なり、運行状況によって発車時刻が前後することもあり得る「目安」に過ぎません。

 このように様々なややこしいルールが盛り込まれた時刻表は、運転本数が多い都心の鉄道では必ずしも使い勝手が良いものではありませんでした。そこで、直感的に分かりやすい、次の列車の到着までの時間が案内されるようになったというわけです。

 それではこうした表示は普及していくのでしょうか。近年は各鉄道事業者が公式アプリで列車の在線位置の案内を開始しており、列車のリアルタイムな位置情報を活用した案内が強化される方向に進むのは間違いなさそうです。

 一方、列車間隔が10分を超える路線や、行先や種別が複雑な路線、あるいは通過待ちなどで到着時刻と発車時刻が異なる駅では、かえって分かりにくくなる懸念もあります。JR東日本は、利用者の反応を見つつ今後、他路線にも展開するかを検討したいとしていますが、路線や駅によっては発車時刻の案内が引き続き用いられることになるでしょう。

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