クルマのフラットワイパーなぜ増えた トーナメント型より単純で高性能 意外な理由も

クルマのフラットワイパーなぜ増えた トーナメント型より単純で高性能 意外な理由も

フラットワイパーは1本の芯材とゴムで構成される(画像:Konstantin Malkov/123RF)。

クルマのフロントガラスのワイパーは近年、フラットワイパーと呼ばれるタイプが主流になりつつあります。複数の部材で構成した従来のトーナメント型に対し、フラット型は構造も単純ですが、その実現には、「工場の変化」もありました。

トーナメント型からフラット型へ ワイパー進化

 クルマのフロントガラスのワイパーは、長年、トーナメントワイパーと呼ばれる形状が一般的でしたが、2020年現在、より単純なフラットワイパーが増えています。ドイツに拠点を置く、ワイパー含む自動車部品や電動工具などのメーカー、ボッシュによると、2020年現在、日本における新車輸入車のフラットワイパー搭載率はすでに80%に達しているほか、国産車でも15%だそうです。

 トーナメントワイパーは、フレームから複数の金属パーツが枝分かれしてワイパーゴムを支える構造で、いわゆるトーナメント表に見立ててそう呼ばれます。いくつもの「点」でワイパーゴムを支え、ゴム全体に均一な力が掛かるようにしているのです。これに対しフラットワイパーは、1本の芯材でゴムを固定しており、これがしなるため、フロントガラスのカーブに合わせてフィットするという特徴があります。

 ボッシュによると、トーナメントワイパーは、それぞれの金属の枝がゴムを支える支点の圧力が高くなり、フロントガラスにかかる圧力にバラつきが生じるとのこと。対してフラットワイパーは、フロントガラスにかかる圧力がより均一に伝わり、クリアで安定した拭き取りを実現するといいます。

「欧州は200km/hもの速度で走行するドイツのアウトバーンなどもあり、高速走行時のワイパーの浮き上がりが日本以上に重要視されています。フラットワイパーは風力を確実に逃がす構造であるため、モータースポーツでも採用されているものです」(ボッシュ)

 加えて、トーナメントワイパーの場合はワイパーアームや支点部の錆びなどが原因で、部分的に圧力が変わり、拭き取り時の「グゴゴ……」という、いわゆるビビり音が発生することもあります。

「単純で高性能」だけじゃない普及の意外な理由

 フラットワイパーは、1999(平成11)年にボッシュが初めて開発したものです。トーナメント型よりも構造が単純で、かつ拭き取り能力も高いというフラットワイパー、もっと早く普及してもよさそうな気もしますが、増加の背景には、製造工場における人件費と原材料費の高騰があるといいます。

「以前は人件費や原材料が安価であったため、約80%の製造工程を手作業に頼るトーナメント型の方が、製造ラインを自動化するよりも負担が少なかったため、主流となっていました。しかし人件費や原材料の高騰によってそれが逆転し始め、製造ラインを自動化した方が10年、20年先も製品価格を安定させる事ができる、ということになりました」(ボッシュ)

 こうした製造工程の変化において、手作業がほとんどなく、自動化に最も適した製品が、フラットワイパーだったといいます。

 現在のところ、フラットワイパーのデメリットとしては、トーナメント型より価格が高いことだそうですが、今後、流通量が増えれば価格を抑えられるようになるとのことです。

 ちなみに、ワイパーはもっと進化しており、ワイパーからウインドウウォッシャー液を噴出して、液ムラを抑えつつ拭き取るというものもあります。これもボッシュが開発したもので、ボルボの高級モデル「XC90」などに採用されています。

※一部修正しました(6月21日12時00分)。

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