横須賀の「第7艦隊」は世界最強? 洋上で戦わない艦隊も 米海軍ナンバー艦隊のトリビア

横須賀の「第7艦隊」は世界最強? 洋上で戦わない艦隊も 米海軍ナンバー艦隊のトリビア

2006年6月、太平洋を並走する3隻のアメリカ海軍空母。手前から「ロナルド・レーガン」「キティホーク」「エイブラハム・リンカーン」(画像:アメリカ海軍)。

日本を事実上の母港として活動するアメリカ海軍第7艦隊ですが、この艦隊はアメリカ海軍で一番や唯一といえるのが複数あります。そして第7艦隊同様、アメリカ海軍で唯一といえる性格の第10艦隊についても見てみます。

世界最大最強のフリート 日本に主要艦を配置する「第7艦隊」

 2020年7月現在、アメリカ海軍には7つの艦隊があります。このなかで、日本を拠点に活動しているのが第7艦隊です。同艦隊はアメリカ海軍の艦隊で最も規模が大きく、また最も強いといわれます。なぜそこまで戦力が集中しているかというと、それは、担当するエリアが最も広大だからです。

 第7艦隊の担当範囲は、西太平洋からインド洋までの、世界の約半分の海域といわれており、守備範囲の広大さに見合う戦力が集められています。

 そもそも第7艦隊が生まれたのは、太平洋戦争中の1943(昭和18)年3月15日です。第7艦隊のまえにも艦隊は存在しましたが、大戦終結後に第4艦隊や第5艦隊などいくつかの艦隊は廃止(その後再編)されたのに対し、第7艦隊は70年以上のあいだ、常に現役であり続け、さらに担任エリアも西太平洋およびアジア海域から変わることはありませんでした。

 誕生以来、廃止されたことのない艦隊は第7艦隊以外には、地中海および大西洋の東半分を担う第6艦隊しかありません。しかし第6艦隊は第7艦隊より数字は若いものの、創設は太平洋戦争後の1950(昭和25)年2月12日です。大戦中に生まれた第7艦隊は、2020年現在、現役のアメリカ艦隊のなかで最も歴史の長い艦隊といえるでしょう。

 また第7艦隊は、7つの艦隊のなかで唯一、アメリカ国外の外国領土に事実上の母港を置き、空母を常時展開させている艦隊でもあります。

 外国に司令部を置くのは第7艦隊以外にも第5艦隊や第6艦隊がありますが、このふたつの艦隊は、アメリカ本土から派遣された空母が随時、各艦隊の指揮下に入っています。横須賀のように大規模修繕まで可能なドックのある事実上の母港に、指定された空母が配置してある艦隊は第7艦隊のみです。

実弾を撃たない「第10艦隊」は目に見えないエリアを担当

 また、第7艦隊同様にアメリカ海軍唯一といえる特徴を持つのが、第10艦隊です。冒頭に述べたように2020年7月現在、アメリカ海軍には7つの艦隊があります。しかし、第1から第7までの連番ではなく、第1が欠番で、第2、第3、第4、第5、第6、第7、そして飛んで第10の各ナンバー艦隊で計7つとなっています。

 最後の第10艦隊は、ほかの艦隊と決定的に異なる点があります。それは担当エリアがサイバー空間であり、将兵が乗り込む軍艦は1隻もないという点です。

 そもそも第10艦隊は、第2次世界大戦中の1943(昭和18)年に、対潜水艦戦術を研究するための部隊として新編されました。指揮下に実戦部隊を持たなかったことから、第2次世界大戦終結直前の1945(昭和20)年6月に廃止されますが、半世紀以上経った2010(平成22)年1月に、今度はサイバー戦を指揮するために再編成されたのです。

 地球上に広がる実在する海ではなく、いわば「ネットの海」で戦うための艦隊というのは、他国の海軍を見渡してみても極めて異例といえるでしょう。

 海上自衛隊にも、サイバー空間に対処するための「保全監査隊」という部隊があります。しかし、規模が異なるうえ、海上自衛隊の保全監査隊は部外からの攻撃に対処する防護、いわゆるセキュリティが主任務なのに対して、アメリカ海軍の第10艦隊は敵の通信ネットワークに対して電子戦攻撃を仕掛けることも任務に入っています。

 当然、人員や予算規模も大きく異なっており、これをフリート(艦隊)として空母や強襲揚陸艦などを指揮する第2から第7までの各艦隊と同列に扱うという点で、アメリカ海軍のサイバー戦に対する本気度が感じられるといえるでしょう。

関連記事(外部サイト)