電動キックボード規制緩和「自転車レーン走行OK」実験へ 「キックボードだけ」なわけがない影響

電動キックボード規制緩和「自転車レーン走行OK」実験へ 「キックボードだけ」なわけがない影響

欧米ではシェアリングサービスが普及している電動キックボード(画像:tktktk/123RF)。

本来は原付に区分される電動キックボードについて、自転車レーンの走行を認める実証実験が行われる見込みです。今後、キックボードに限らず様々な電動モビリティの規制緩和につながる可能性があります。

電動キックボードのシェアリング実験に特例

 電動キックボードのシェアリングサービス実証実験において、自転車レーンを走行できるという特例が認められる見通しです。警察庁は2020年8月3日(月)、その規制の特例措置内容を公表し、パブリックコメント(国民からの意見募集)を開始しました。実験は10月から一部地域で実施される予定です。

 今回は、シェアリングサービス提供事業者の求めに国家公安委員会と警察庁が応じた形です。電動キックボードで公道を走行する場合、50cc原付の保安基準に適合させた車両でナンバープレートを取得したうえで、ヘルメットを着用し、電源オフの状態であっても車道を走行する必要がありますが、それが一部緩和されます。

 特例の適用にあたり、車両のサイズや重量のほか、「20km/h以上の速度を出せないこと」といった条件が明示されています。そのうえで、該当するシェアリング事業で貸し渡される電動キックボードが、自転車通行帯を通行できるよう、道路標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)の適用に関する特例を定める、とされています。

 シェアリング事業の実証実験においての適用で、かつ、原付の区分そのものを見直すわけではありませんが、電動モビリティの業界関係者は、「新たな乗りものとして広く社会に認めてもらう機運になる」と期待感をにじませます。

 電動キックボードをめぐっては、自民党の「MaaS議員連盟」も、現行の規制がこうした新たな交通手段にそぐわず、欧米などと比べて普及を妨げているとして、規制緩和を国へ働きかけてきました。また、シェアリングサービスの提供事業者であるLuup(東京都渋谷区)やmobby ride(福岡市中央区)も、国の制度を活用して関係機関との対話を重ねており、こうした動きが今回の規制緩和に結実したといえるでしょう。

「シェアリングだけ」「キックボードだけ」の特例にはならない!

 Luupは2020年6月のプレスリリースで、「直近の新型コロナ感染症拡大の影響を受けて、各国ではマイクロモビリティ専用レーンの整備が進められており、三密を避ける手段として電動キックボードを含むマイクロモビリティが注目されています。日本においても公共交通機関を補完できる移動手段は求められており、マイクロモビリティの社会実装が急務であると考えています」とコメントしています。

 一方で、こうした電動モビリティを販売する事業者は、現行ルールにのっとり、原付の保安基準に当てはめる形で公道走行を可能にしてきました。たとえば自転車にも電動バイクにもなるタイプのモビリティの場合、自転車モードであっても免許を携帯し、ヘルメット着用で車道を走行する必要があります。このタイプを販売するglafit(和歌山市)も、Luupなどと同じ国の制度を活用し、「自転車モードなら自転車として走れる」よう規制緩和を求めています。

 またインターネットの通販サイトでは、類似する商品が無数に販売されていますが、なかには日本の基準に適合せず「公道は走れません」と注意書きがあるのみで、こうした商品による違法走行も増えているのが現状です。

 だからこそ今回の規制緩和の動きは、「『シェアリング事業だけ』『キックボードだけ』という話には当然ならないでしょう」と、前出の電動モビリティの業界関係者は、様々なタイプの電動モビリティへの影響を指摘します。

 また今回は前出のとおり道路標識令の適用に関する特例を定める形ですが、「いずれは原付の区分や、電動モビリティそのものの区分も見直されるべき」とのこと。

 というのも、自転車レーンがないところではどう扱うかも明確ではないうえ、「一律で20km/h以下というのは、むしろ危ないという声も出るでしょう」といいます。電動であればエンジンよりもスピードをきっちり調整できるものの、乗る人の体重や路面状況によっても必要なパワーは異なってくるのだそうです。

 なお、Luupは近々、今回の決定と実証実験の内容について発表するとしています。

【動画】グイんと動く電動キックボード 乗ってみた

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