超速ピンポイント提供の渋谷駅そば「本家しぶそば」が閉店 その「2つの謎」に迫る

超速ピンポイント提供の渋谷駅そば「本家しぶそば」が閉店 その「2つの謎」に迫る

営業終了後にあいさつする「本家しぶそば」伊達店長(2020年9月13日、恵 知仁撮影)。

渋谷駅で40年にわたり営業してきた東急グループの駅そば「本家しぶそば」が閉店。独特の注文・配膳システムなどが特徴で、どうやってその超速ピンポイント提供を実現していたのか、そして味の秘密を探りました。

40年にわたって渋谷で営業 ファンの拍手で幕

 独特のオペレーションによる迅速な提供などで知られた、渋谷駅にある東急グループの駅そば店「本家しぶそば」が、2020年9月13日(日)20時に閉店しました。

 渋谷駅の再開発事業にともなうもので、同店の前身である店舗が、現在地(東急百貨店東横店南館2F内)とは別場所で1980(昭和55)年に開業して以来、40年にわたって渋谷駅を行き交う人々の空腹を満たしてきました。現在地での営業は2005(平成17)年からです。

 運営する東急グルメフロントによると、通常、同店には1日およそ1800名が来店(コロナ禍前の数字)。最終日の9月13日(日)は、別れを惜しむ人で行列も多くでき、平日より来店者が少ない日曜日ながら、通常の約1.5倍となる1271人が来店。閉店時も、数十人の「本家しぶそばファン」が拍手で見送っています。

「普段、お客さまとじかに接することはあまりありませんでしたが、今回、閉店を知って惜しまれるお客さまの声が多く聞かれました。愛されていることを実感しました」(「本家しぶそば」伊達 翔店長)

 この渋谷駅「本家しぶそば」、ファンが多い理由のひとつに、券売機を使わない独特の注文・配膳システムが挙げられるかもしれません。

独特のシステム「本家しぶそば」ふたつの謎を解明する

 客は「本家しぶそば」店内に入ってまず、入口にあるレジで注文します。同時に、レジ係がその内容をマイクで厨房へ伝達。レジで会計を終えた客が席へ着くころ、ホール係がその席へ注文したメニューを持ってきてくれる、というシステムです。しかも、番号札のような目印を客が持っていないにもかかわらず、早く正確に運んできてくれます。

 東急グルメフロントによると、注文から提供まで平均1〜2分といいますが、私(恵 知仁:鉄道ライター)のこれまでの経験において、席に着くやいなや、頼んだ物が到着することもしばしば。そのため回転が速く、行列ができていてもためらわず並べました。

 なぜそんなに早いのか、そしてなぜピンポイントで配膳できるのか、これらは「本家しぶそば」の大きな特徴であり、謎です。

 この「謎」について東急グルメフロントに聞いたところ、まず「早さ」については、客とレジ係の会話もマイクを通じて厨房へ届いており、レジ係が厨房へ「ひ〜や〜が〜き〜(冷やしかき揚げそばの意味)」と客の注文を伝える前、客が「冷やしかき揚げそば下さい」とレジ係に言った段階で、メニューの用意が始まっているからとのこと。

 ちなみに、レジ係が厨房へオーダーを伝える際、独特の抑揚をつけて行われるのも「本家しぶそば」の特徴ですが、これは「かんだやぶそば」を意識したものだそうです。

 そして配膳については、レジで注文するときから客の動きにホール係が気を配っており、早く確実な提供を実現しているといいます。

「本家しぶそば」の伊達店長は、4年前に他の「しぶそば」店舗から同店へ赴任し、客がそのスピードに価値を感じていることを実感。期待に添えるよう、日々努力してきたと話します。

 この独特の注文・配膳システムを「本家しぶそば」が採用している理由には、百貨店では券売機の使用がNGだったためなど、諸説が存在(同店は渋谷駅隣接の東急百貨店内にある)。ちなみにスタッフは、レジ1名、ホール3〜5名、厨房3〜6名の体制だそうです。

駅そばでも手が込んでいる? 「しぶそば」味の秘密・人気メニューは

「しぶそば」は、早くて手軽ないわゆる「駅そば」「立食いそば」の範疇にも入る店舗ですが、そばは生麺を使用。夏には「新そば祭」も開催しているほか、ソウダカツオ節、カツオ節、サバ節の三種混合節を使い毎日店舗でダシをとっているなど、味の面でも特徴があり、ここもファンが多いポイントのひとつかもしれません。ちなみに、人気メニューは「うどん」より「そば」で、特に「かき揚げそば」だそうです。

 渋谷駅にある「本家しぶそば」は閉店しましたが、東急線駅構内にある蒲田店や長津田店、また池袋店など12店舗の「しぶそば」で、ひきつづきその味を楽しめるとのこと(システムは異なりますが)。

 なお東急グルメフロントによると、渋谷駅・渋谷エリアでの再出店は検討しているものの、現時点で決まっていることはないそうです。ただ同社の山口聡一郎社長は今回、閉店を惜しむ多くの「本家しぶそばファン」に触れ、代替店舗を探さねばならないという思いを強くしたと話していました。

関連記事(外部サイト)

×