長寿&短命に地域性!? 47都道府県「死亡率」大公開

長寿&短命に地域性!? 47都道府県「死亡率」大公開

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 日本全国を詳細なデータで検証した結果、驚きの真実が発覚。住んでいる地域と長寿&短命の因果関係は?

 厚生労働省は6月14日、5年ごとに実施している「日本人の都道府県別年齢調整死亡率」の2015年のデータを発表した。「年齢調整死亡率」というのは、各都道府県で年齢構成にバラつきがあるのを是正したという意味。無作為に対象を選ぶと、都会は若い住民が多くなる一方、地方は高齢者が多くなる傾向があるので、その偏りをなくしたということだ。



 そのデータに、1960年と1990年の調査結果を加え、各都道府県の死亡率に順位付けをしたのが、下の表。また、上に掲げた地図は、2015年のデータを可視化したものである(いずれも男性のみ)。厚労省担当の全国紙記者が解説する。「10万人当たりの死亡者数は、2015年のワースト1の青森県の586人に対し、最も低い長野県は434人。なんと152人もの差がついているのです」



 実に1.35倍。同じ日本でなぜ、そこまでの違いが出たのだろうか。上記の日本地図でも分かる通り、まず目を引くのが、真っ黒に塗られた部分だ。青森県を筆頭にして、2位秋田、3位岩手と、本州の北端にワースト県が集中している。

「この3県は、がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患など死因別のデータを見ても、ワーストランキングの上位に入ってきています(下表参照)。その理由としては、この地方の食生活が挙げられます。厳しい冬に備え、塩漬けにした保存食を食べる伝統が、今も残っているからでしょう」(前同)



 塩分過多からくる高血圧が動脈硬化の原因となり、心疾患、脳血管疾患などの循環器系の疾病はむろん、がんも誘発すると考えられるのだ。医療ジャーナリストの牧潤二氏が指摘する。

「厳しい冬の間、家に閉じこもりがちな東北ですが、中でも秋田は昔から自殺率の高さが全国1位です。酒量、喫煙率の高さも全国有数で、こうした要素もいろいろ絡み合っていると考えられます」

 その牧氏が注目するのが医療格差だ。「宮城の死亡率は37位と、東北では段違いに低い。これは、宮城県仙台市には“東北の東大”こと東北大の医学部があり、そこを拠点に、医療体制が東北ではダントツに充実しているというのが要因だと思います」

 優れた医療機関の存在で、死亡率はガクンと減るというのだ。「もちろん、同じ東北でも、青森、岩手、秋田ほど宮城は寒さが厳しくなく、塩分過多の食文化も、その3県ほどではないのも大きいとは思いますが……」(前同)

 死亡率の4〜5位は一転、西日本の和歌山、鳥取と続く。牧氏は、これも医療格差が大きいと見る。「2県とも人口が少なく、医療設備が充実しているとは言い難い。しかも和歌山は紀伊山脈が通り、救急搬送がままならない地域も多い。1990年もワースト3位でしたが、この問題は解決するのが非常に困難なのでしょう」(同)

 1960年の調査では、和歌山は41位と非常に低かったが、これは当時の日本では全体的に医療体制がさほど充実しておらず、たまたま、わずかの差で、その位置につけることができただけと思われるという。

 死亡率が低い「長生き県」にも目を向けてみよう。1990年に引き続き、2015年でも長野県がトップに君臨するのはなぜなのか。

「1960年は22位と、長野は決して優秀ではありませんでした。当時は長野も脳卒中の死亡率の高さがワースト県で、80年代から県を挙げて、減塩運動を始め、積極的に地元野菜を多くとるなど、食生活を改善した結果です。実は、長野の医療体制は全国平均並みで、突出して良いわけではありません。逆に言えば、県が一丸となって意識改革を行えば死亡率は大きく下げられる好例です」(牧氏)

 その逆に、従来の低カロリーの伝統食中心から、高カロリーの欧米食を多くとるように食生活が変わったせいで、死亡率が大きく高まった顕著なケースが沖縄だという。戦前からの食文化がまだまだ残っていた1990年では45位だったが、アメリカ統治時代の影響がジワリジワリと浸透し、現在では若者の多くが欧米式の食生活に。その結果、死亡率ランキングも17位へと急上昇したようだ(1960年は日本復帰前のためデータなし)。

 なお、今回の調査で、有識者が最も注目していたのが福島県。2011年3月の原発事故後、初の調査だったために注目されていたのだが、案の定というべきか、1990年の19位から6位と、かなりワースト順位を上げている。「死因別で見た場合、急性心筋梗塞の死亡率が福島は全国トップなのです。これは多くの県民が避難を余儀なくされ、そのストレスから来ている可能性があります」(牧氏) 今も苦しむ被災者のことを思えば、胸が痛むばかりだ。

 ここでもう一度、記事冒頭の地図を見てほしい。日本列島の中心部、長野から西に岐阜、滋賀、奈良の色が薄い(死亡率が低い)のが、お分かりだろうか。これに関しては、興味深い見方が一部の医学研究者の間である。

「47位の長野、46位の滋賀、45位の奈良に共通するのは、“海なし県”という点。同様の山梨、岐阜だって悪い順位じゃありません。古来、海から遠い地域に住む人は、必要な栄養を野菜からとらざるをえませんでしたが、流通が発達し、新鮮な魚や肉が簡単に手に入るようになった今でも、食卓に野菜が並ぶ食生活が続いているのでしょう」(前出の厚労省担当記者)

 さらに、森林浴効果でストレス解消、それに比較的高地なので紫外線の強さ、酸素の薄さ、気圧の低さがいい影響を与えているとの見方もあるという。前出の牧氏が補足する。

「紫外線を多く浴びると、皮膚がんのリスクが高まるといわれていますが、一方では、逆にビタミンDが合成され、がんこつそしょうや骨粗鬆症を予防するメリットのほうが大きいとの見方もあります。また、スポーツ選手の高地トレーニングのように、細胞内のミトコンドリアの活性化を促し、結果、体が元気になるとの報告もあります」

 これらの自然豊かな地域に比べ、人口が密集する都市部ではどうなのか。医療機関が充実する大都会では、東京が35位、名古屋のある愛知が39位と、いずれも悪い順位ではないが、2015年の大阪は、なんと死亡率ワースト8位という驚きの結果に。1990年は2位だったので、これでもマシになったほうなのだ。

 関連していると思われるのが、意外な所得格差。総務省の最新データ(今年5月。1人当たり所得)によれば、東京は451万円で1位。第2位が愛知の353万円。これに対して大阪は、東京、神奈川に次ぐ日本3位の人口を誇る大都会にもかかわらず、301万円で12位。「残念ながら、医療設備がしっかりしていても、病院にかかれない貧困層もいるのでしょう」(牧氏)

 大阪府民の経済格差は他県以上に大きく、それが所得順位を下げ、死亡率を上げている可能性があると見るのだ。かように、日本の現状が透けて見えたこの調査結果、あなたの住む都道府県は何番目だったろうか。これを機会に、自分の健康に今一度、真剣に向き合ってもらいたいものだ。

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