月と火星に向かうNASAの新宇宙船「Orion」最初の有人モジュールがケネディ宇宙センターに到着

月と火星に向かうNASAの新宇宙船「Orion」最初の有人モジュールがケネディ宇宙センターに到着

輸送用ハ?レットに据え付けられるOrion有人モシ?ュール

 NASAが月、そして火星への有人ミッション用に開発している新型宇宙船「Orion(オリオン)」。最初の有人ミッション(EM-2)に使用される宇宙船の居住モジュールの基本ユニットが、2018年8月24日(アメリカ東部時間)特製のコンテナで、製造するロッキード・マーティンの工場から、ケネディ宇宙センターに納入されました。

 NASAが開発するものとしては、1970年代に開発されたスペースシャトル以来となる有人宇宙船オリオン。月や火星の有人探査計画に使用される予定です。計画では、まず無人の宇宙船を打ち上げ、打ち上げ用ロケット(SLS)と宇宙船の性能確認をして、それから宇宙飛行士を乗せてテスト飛行を行います。

 最初の打ち上げは「EM-1(Exploration Mission-1)」というもので、地球から月周回軌道に入り、グルリと回って地球に帰還する25日半のミッション。これでロケットの性能確認と、宇宙船の基本性能確認、そして軌道制御に関する確認と大気圏再突入時の性能確認を行います。これと同時に、月へ向かう軌道に乗せるための最終加速段(ICPS)に小型衛星13機を相乗りさせ、その軌道投入も行う予定です。大気圏再突入時の速度は、マッハ32を予定しています。

 EM-1での性能確認を終えたのち、2023年に予定されているのが、初の有人ミッションとなるEM-2(Exploration Mission-2)という訳です。EM-2では月の周回軌道には入らず、アポロ13号のような月への往還軌道を使って、地球と月との間を往復する予定です。

 オリオンはアポロ宇宙船同様、底が丸みを帯びた円錐形の宇宙船ですが、内部の構造は大きく7つのパーツに分かれています。月まで行ってしまうため、ミッションの間に不具合が起きても修理をすることは不可能。製造は細心の注意を払って、2016年からおよそ2年がかりで行われました。


 ケネディ宇宙センターに運び込まれたEM-2用の居住モジュールは、内装や各種機器の取り付けを行い、2023年の打ち上げに向けて製造作業が続けられます。

 これとは別に、打ち上げロケットをロケット組立棟(VAB)から射点(39B発射点)へと移動させる、発射台運搬システムの試運転が2018年8月31日に行われました。約5000トンもある上、高さは約116mと高層ビル並み。あまり速く動かすと転倒してしまうので、時速約1.1kmというゆっくりとした速度で移動しました。関西の方しか判らないかもしれませんが、通天閣や神戸ポートタワー(どちらも高さ108m)が移動しているようなもの、といえばスケールの大きさが想像できるでしょうか。




 アポロ計画以来となる、地球の引力圏を脱出して他の天体に向かう有人宇宙計画であるオリオン。徐々にその大きさを実感できるようになってきました。

Image:Lockheed Martin/NASA

(咲村珠樹)

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