NATOのAWACSが全機改修されグラスコクピット化

NATOのAWACSが全機改修されグラスコクピット化

飛行するNATOのAWACS(画像:NATO)

 2018年12月18日(アメリカ中部時間)、ボーイングはNATOの保有するAWACS(E-3セントリー)の近代化改修の最終号機をオクラホマ州にある工場でNATO側に引き渡し、2016年11月にシアトル工場で改修1号機を引き渡して以来、14機の近代化改修プログラムを完了したと発表しました。NATOのAWACSはこの近代化改修の完了で、2035年まで現役にとどまる予定としています。

 AWACSは「空中警戒管制システム(Airborne Warning And Control System)」の頭文字をとった略称。実は狭義においては、E-3セントリーに搭載されたシステム(航空自衛隊のE-767にも搭載)の名称であり、通常の「早期警戒管制機」を指す言葉は「AEW&C(Airborne Early Warning & Control)」といいます。E-3セントリーは、それまでアメリカ空軍で使用していた早期警戒管制機、EC-121ウォーニングスター(ロッキードの旅客機L-1049スーパーコンステレーションがベース)を置換える目的で、AWACSを搭載した飛行機として旅客機のボーイング707(B707)をベースに開発されたものです。

 見かけが似ているので誤解されがちですが、空中給油機KC-135をはじめとするC-135シリーズは、B707の母体となったボーイング367-80(通称:ダッシュ80)をベースに作られたもの。このためC-135シリーズとE-3は「おじと甥」のような関係です。なかなか並んで見る機会はありませんが、KC-135からE-3が空中給油を受ける場面では、似ているものの機体規模が違う(E-3の方が胴体も太く全長も長い)ことが判ります。ボーイング707をアメリカ空軍で輸送機として採用した際には、C-137と別の番号が付されています。

 1977年3月からアメリカ空軍で就役したのを皮切りに、E-3はイギリスやフランス、サウジアラビアでも採用されました。NATOでは1982年2月から1985年5月にかけて18機が導入され、現在は全14機がドイツのガイレンキルヒェン基地で運用されています。このほか、前進基地としてギリシャのアクシオン基地(アクシオン空港)、イタリアのトラパニ基地、ノルウェーのオルランド基地、トルコのコンヤ基地が指定されています。機体の国籍はルクセンブルク大公国で、2018年12月現在でNATOのAWACSプログラムに参加しているNATO加盟国は17、そのうちルクセンブルクを除く16か国から搭乗員が参加しています。

 今回の近代化改修では、コクピット周りのアビオニクス機器が大きく刷新されました。1970年当時のダイヤルやアナログメーターが並ぶ正面計器パネルは、5つのフルカラーデジタルディスプレイに換装。必要な時に必要な情報を大きく表示することができ、視認性が向上しました。また通信機器や航法装置も現代のレベルに合わせたアップデートがなされ、現用機、そして将来に採用されるであろう新しい航空機とデータ連携し、管制することが可能になっています。


 NATOの早期警戒管制(AEW&C)プログラムのゼネラルマネージャ、マイク・ヘイン准将は「この通信・航法・索敵・航空管制(CNS/ATM)近代化改修プログラムによって、NATOのE-3は現在、そして将来のヨーロッパにおける航空管制需要に応えることができるようになります」と、AWACS近代化改修の意義について語っています。


 現在、NATOのAWACSは中東における「テロとの戦い」や、クリミア半島のある黒海地域において、上空からの警戒監視活動や、作戦機の航空管制任務に当たっています。中東や黒海・バルト海沿岸、そしてバルカン半島(コソボが現在保有する自衛隊的な治安維持組織を軍に再編する決議をしたことで、セルビアなど周辺国に緊張が走り、NATO事務総長が懸念を表明している)の情勢が緊迫化する中、NATOのAWACSが果たす役割は大きくなってきています。

Image:Boeing/NATO

(咲村珠樹)

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