陸上自衛隊も採用するティルトローター機V-22オスプレイ生産400機を達成

陸上自衛隊も採用するティルトローター機V-22オスプレイ生産400機を達成

生産400機目となったアメリカ空軍向けCV-22(Image:Bell-Boeing)

 ベルとボーイングは2020年6月10日(アメリカ東部時間)、生産400機目となるV-22オスプレイを6月2日付でアメリカ国防総省に納入したと発表しました。記念すべき400機目は、アメリカ空軍特殊作戦コマンド向けのCV-22。世界初の量産ティルトローター機であるV-22は、すでに陸上自衛隊向けの機体も日本に到着しています。

 ヘリコプター(回転翼機)のような垂直離着陸能力と、通常の飛行機(固定翼機)と同じような高速性と航続距離を兼ね備えたティルトローター機は、1930年代から世界各国で構想されてきましたが、実際の飛行に成功したのは1954年のこと。アメリカ空軍からの資金援助を受けて開発された、トランセンデンタル・モデル1-Gというものですが、のちに事故で失われてしまい、実機は現存しません。

 この翌年に初飛行したのが、ベルの開発したXV-3。以来ベルでは、アメリカ軍やNASAからの資金援助を受けつつ、ティルトローターの研究開発を続けてきました。長年の研究開発が実り、世界初の量産ティルトローター機としてアメリカ軍に採用されたのがV-22オスプレイです。

 1990年から導入が始まったアメリカ軍では、海兵隊用の輸送型MV-22Bと海軍の空母輸送任務用のCMV-22B、そして空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)が強襲任務で使用するCV-22が採用されています。海兵隊用のMV-22は日本でも運用されているほか、大統領専用ヘリ「マリーンワン」を運用する飛行隊HMX-1でも人員・物資輸送用(大統領は搭乗しない)として使用中。



 日本の陸上自衛隊でも、アメリカ海兵隊仕様に準じた輸送機としてMV-22を採用。第1陣が2020年5月に日本へ到着しました。


 通算400機目のV-22オスプレイ納入を受け、ベル側のV-22プログラム・ディレクタを務めるカート・フラー副社長は「ティルトローターという、このプラットホームが持つユニークな機能に対する需要を表すものです。400機生産達成というのは、ベル、ボーイングはじめサプライチェーン全体で働く人々の勤勉さの証でもあります。この30年あまりにわたって、V-22をサポートする人々は、ティルトローターという航空機の能力を世界にもたらす基盤となってくれました」とのコメントを発表しています。

 ボーイング側のV-22プログラム・ディレクタ、シェーン・オープンショウ副社長は「勤勉な仕事ぶりでV-22の生産に従事し、また運用に携わってくれているすべての人々に感謝します。私たちはこの素晴らしい航空機が今後も陸海空の任務で活躍できるよう、生産やサポートに注力していく所存です」とのコメントを発表しました。

 アメリカ軍でV-22統合開発計画のプログラム・マネージャを務める、マシュー・ケリー大佐(海兵隊)は「量産1号機を受領して20年以上が経ちますが、400機生産達成を誇りに思います。V-22は世界中での戦闘任務における高い信頼性で、我が国や同盟諸国の防衛に寄与し、また国際的な人道支援や訓練に役立ってきました。このティルトローターというプラットホームがもたらしたインパクトの強さは、誇張でも何でもありません」と、これまでオスプレイが果たしてきた役割を称賛しています。


 ティルトローターという、これまでになかった新しい航空機のため、開発期間中は運用の不慣れさに起因する事故もたびたび発生しました。しかし運用法が確立された現在は、ヘリコプター(回転翼機)などと比較しても突出して危険なものではなくなっています。

 今後は、陸上自衛隊用のMV-22も日本の空を飛ぶことになります。ほぼ同規模のCH-47輸送ヘリコプターに比べて飛行速度が速く、航続距離も長いため、災害派遣での物資輸送にも迅速に対応することが可能になるでしょう。

<出典・引用>
ベル プレスリリース
ボーイング ニュースリリース
Image:Bell-Boeing/USMC/USAF/NASA

(咲村珠樹)

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