電子書籍のサービス終了で買った本が“消滅”する? 「我々が買っているのはコンテンツではなく読む権利である」と小飼弾が言及

電子書籍のサービス終了で買った本が“消滅”する? 「我々が買っているのはコンテンツではなく読む権利である」と小飼弾が言及

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 2010年、iPadの登場とともに普及を続けてきた「電子書籍」について、サービスが終了した場合、「購入したコンテンツが閲覧できなくなる」と問題視する声が消費者により挙げられ、話題になっています。

 これを受けて、5月7日の『小飼弾のニコ論壇時評』で、プログラマーの小飼弾氏山路達也氏が、「電子書籍で買っているのはコンテンツではなく読む権利である」と解説しました。

左から小飼弾氏山路達也氏

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山路:
 正規のサービスで、その会社が潰れてしまったりすると、その電子書籍が読めなくなるという問題が、話題になっています。

小飼:
 これは、ずっとつきまとっている問題ですよね。

山路:
 今までにも、日本の電子書籍でも、いくつサイトが潰れてきたんだ? みたいな話はありますよね(笑)。

小飼:
 はいはい。

山路: 
 その度に(笑)。

小飼:
 いくつ残るんだろうね? 逆に。

山路:
 というかKindleくらいしか、残らないんじゃないかみたいな。

小飼:
 でも、あのショボいインターフェイスで読み放題というのは。1冊とか2冊とか、頑張って数百冊、だいたい僕が持っているKindle本がそんなもんなんですけれども。

山路: 
 千とか万とか?

小飼:
 例えば『こち亀』を頭から終わりまで読みたいかと言われたら、絶対に嫌です。

山路:
 (笑)。最近ようやくシリーズものがまとめられるようになったり、多少の改良はされてきてはいますけれどもね。

小飼:
 それはさておき、ひとつ重要なことがあって、電子書籍というのは、データそのものを買うのではなく、あくまでも「読む権利」を買っているんですよ。なので、これは実際に起こったことですけれども、Kindleの中から、自分が買ったはずの書籍が削除されていたり。

山路:
 オーウェルの『1984年』の時でしたっけ。

小飼:
 アップデートされていたり、あったじゃないですか?

山路: 
 ユーザーは、自分としては本を買ったつもりでいるわけですよね。著者なんかも本を売ったというつもりでいるのに、サービス側の都合で読めなくなっちゃったり、というのはどうなのかと。

適切な価格でユーザーに届けることの難しさ

小飼:
 DRMフリーにした場合というのは、コピーを手元に置いておけるので、実際に買ったと言えるんですけど、その場合の問題というのは、劣化なしにコピー出来ちゃうわけですよね。

 ほとんどの人は、そういうことをしないわけですけれども。いわゆる海賊版サイトなどの養分になるわけですよ。だからそのへんはちょっと気をつけなければいけないです。

 SpotifyもApple Musicも、聴き放題という部分というのはDRMがかかっています。DRMフリーのものというのは、要はストアから買ったものです。

山路:
 Appleだったら、iTunesストアから1曲ずつアルバムとかを買う。

小飼:
 買ったものはDRMフリーになっています。一応ここから買ったというメタデータがつくんですけども。普通にそのメタデータとかを加工するソフトであれば、それは省こうと思えば省けます。

山路:
 しかし、今回の電子書店が潰れて読めなくなったところというのは、ユーザー、消費者保護の観点からすると、一応由々しき事態ではあるわけじゃないですか?

小飼:
 だけど、音楽とか権利者保護を頑張りすぎたところはありますよね。特に日本の場合は。

山路:
 本来、消費者寄りであるべきだったかもしれない?

小飼:
 寄りであるべきと言うけれども、今回、違法サイトだけでも「ブロッキングをやってくれ」と言った連中には、消費者を代表する立場にある人というのは、1人もいないじゃん。

山路:
 全部、大手出版社だったり。これ、消費者と権利者の関係というのは、どのへんのところで落とし所をつければいいのかというのは、難しい問題じゃないですか? 例えば価格。読み放題にしても、どれくらいの価格にしたら、例えば本を書いた人は食っていけるのか? 本をリーズナブルで買えるのか? そういったバランスは、かなり難しい問題だと思うんですけれども。

小飼:
 かなり難しい問題とはいっても、その一方で動きながら解決していける問題でもあるし、動きながらでないと、なかなか落とし所も探れない。

山路:
 やってみて、どう消費者が反応するかとか、そういうふうなところを見ていくしかない。

消費者の立場に立った販売方法とは?

小飼:
 実際のところは、買い取りモデルと、読み放題モデルとの混ぜこぜになるんじゃないかと。

 今のApple MusicとiTunesストアの組み合わせというのがそうですよね。Apple Musicって、かなりいろいろなものも、その場ですぐ聴き放題できる一方で、新しいものがないのも結構あるんですよね。

山路:
 日本のアーティストには、新作はiTunesストアのダウンロードでしか売らないという傾向が結構ありますよね。

小飼:
 そうそう。なんだけれども、少なくとも1曲買いとかしていいというのは、確実にiTunesストアで買えるようにはなりましたよ。iTunesストアにすら売ってなくて、もう円盤買うしかないという楽曲に関しては、ものすごく減りましたよね。

山路:
 たまに、昔のCDとかで、すごくプレミアがついているのあったりはしますよね。

小飼: 
 そうそう、だから、もちろん例外はあるんですよ。

山路:
 本なんかも、読み放題が基本になっていて、新刊に関しては、例えばプレミアムで1冊ずつ買えるようにするとか。私も本を作る方の立場でもあるので、本当にすべてのものがいきなり読み放題になってしまうというのは、かなり怖いことではありますけれどもね。

 本当に新刊とかが個別に売られないで、全部読み放題になると、さすがにどうなんだろう? みたいな。収益の予想とかも立てられなかったりするから、怖いものは怖いですよね。

小飼: 
 そうなんだよな。Kindle Unlimitedは最初に躓いたからね。

山路:
 なんか出版社に関して、上乗せ分を乗せすぎましたもんね。

小飼:
 というのか、出版社を贔屓しすぎるんだよね。

山路:
 確かKindle Unlimitedの時には、個人で売っている人には、そんなに上乗せなかったですからね。

小飼:
 そうなんですよ。

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