警察が証拠を隠蔽し無実の青年が有罪に…奇跡の逆転無罪のキッカケは「実話ナックルズ」だった? 裁判ウォッチャー・阿曽山大噴火が法廷で目撃した“衝撃の裁判”を語る

警察が証拠を隠蔽し無実の青年が有罪に…奇跡の逆転無罪のキッカケは「実話ナックルズ」だった? 裁判ウォッチャー・阿曽山大噴火が法廷で目撃した“衝撃の裁判”を語る

警察が証拠を隠蔽し無実の青年が有罪に…奇跡の逆転無罪のキッカケは「実話ナックルズ」だった? 裁判ウォッチャー・阿曽山大噴火が法廷で目撃した“衝撃の裁判”を語るの画像

 久田将義氏吉田豪氏がパーソナリティをつとめるニコニコ生放送「タブーなワイドショー」。今回の特集は「平成ヤバイ裁判」です。

 ゲストには傍聴歴10年の筋金入りの裁判ウォッチャーとしても知られる、お笑い芸人の阿曽山大噴火氏を迎え、2009年に新宿歌舞伎町で起きた公務執行妨害事件について語りました。当初は有罪判決が出ましたが、ある雑誌の決定的な証拠により警察の口裏を合わせや隠蔽が発覚し、逆転無罪判決に。阿曽山大噴火氏は1年に及んだ裁判を通じて「警察官の話がひとつも信用できない」と語りました。

左から久田将義氏阿曽山大噴火氏吉田豪氏

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阿曽山大噴火が傍聴席から見届けた“ある事件”の真実

阿曽山大噴火:
 2009年4月18日午前3時33分の事件なんですが、罪名が公務執行妨害。

 被告人が21歳の会社員だったかな、なにかの仕事をやってる男の子なんです。起訴状の内容が、新宿歌舞伎町の路上で友達が逮捕されそうだというのを妨害するために、警察官に体当たりした。そして職務の執行を妨害したと。よくあるなと思って。罪状認否、やったかやってないかを聞いたら被告人は「やってません」って言う。

 俺も傍聴席で見ていて、現場にいないからわかりませんよ。ただ歌舞伎町って2009年には防犯カメラがいっぱいあったと思うんですよ。

吉田:
 ああ、そういう時期ですよね。

阿曽山大噴火:
 ゴジラタワーはなくて、まだコマ劇場が残っていた時代なんですけど。

吉田:
 いまよりも、もうちょっと歌舞伎町が荒れている頃。

阿曽山大噴火:
 現場とされていた場所の近くには絶対防犯カメラがあるので、それを見ればやったかやっていないかは一発でわかるはずなんです。被告人は「やってません」と言っていて、弁護人も結構おじいちゃんの弁護人だったんですけれども、これも「無罪です」「被告人はやっていないどころか、警察官に投げ飛ばされて全治2ヶ月の怪我を負っているんです」「むしろ被害者なんです」と。

 それはいいとして防犯カメラを見れば一発じゃんと思っていたんですけれど。刑事裁判で否認するとものすごい長引くんですよ。認めたら警察の用意した証拠をそのままやるだけだから。認めていないとそれを立証するために別の人を法廷に呼ばないといけない。

 ということで一ヶ月後、被害者である警察官を呼ぶわけですよ。いろいろ質問があって、「とにかく被告人がドーンとやってきて」と。「私がかぶっていた制帽もバーンと飛んだり」とか。「あと左手に持っていたファイルも下に落ちた。すごい勢いだったんです」と。

 実際は被告人は10人くらいで誕生日パーティをやっていたらしいんですよ。それが夜中の3時半に終わってビルから降りてきたら、外で友達が警察にゴニョゴニョ言われてたと。警察も援護がやってきたから、10対20くらい。コマ劇場の真横で大乱闘なんですよ。

久田:
 3時ころに。

阿曽山大噴火:
 そう。これすげえ面白いなと思って。警察は「やられた」って言うわけですよ。また一ヶ月後くらいに2、3人警察がやってきて「私見てました」と。当然周りにいたから。「ドーンとやってきて、帽子も飛んだしファイルも落ちたし」。みんな見たって言うんです。でも被告人は「やっていない」と。弁護人がとにかく「当時の映像を出してくれ」って言うんですけれども警察が出さないんですよ。

吉田:
 それだけ否定しているのに。

阿曽山大噴火:
 一番重要な証拠じゃないですか。防犯カメラ見れば一発だから。今はもうないんですけども、コマ劇場の横にマクドナルドがあって、その入り口にドーム型の防犯カメラが置いてあったんですよ。でもその映像を出さないんです。

恣意的にカットされた“33秒”。一審は有罪に

阿曽山大噴火:
 裁判官もいい加減に「なんで映像はないんですか」みたいに言ってて、初公判から4回目くらいかな、3ヶ月くらい経ってやっと防犯カメラの映像を焼いたDVDが出てきたんですよ。それを、当時は裁判員裁判がはじまっていましたから、法廷にもでっかいモニターがあって、傍聴人にもわかるように上映したんです。

久田:
 そうしたら?

阿曽山大噴火:
 今のドーム型のカメラはどうなっているかは知らないですけれど、昔の当時のやつはゆっくり左右に首を振るんです。1分くらい止まったらまたゆっくり動いて、みたいな。提出された映像では、最初コマで劇場の反対側が映っているんです。ゆっくり動くと警察とその被告人たちがざわざわしていて。画面の左上に時間とかも出ているんですよ。

 そしてそれが……なんと途中でいきなりカットされていて。30秒進んで、みんなで乱闘までではないですけど、言い合いをしているみたいな。

久田:
 本当に10対20くらいですか、人数は。

阿曽山大噴火:
 だいたい30人くらい。大騒ぎなんですよ。野次馬もいるし。

久田:
 でしょうね。そんなのあるんだ。

阿曽山大噴火:
 カットされているので、33秒間が抜け落ちてしまっていると。

吉田:
 明らかにおかしいわけですね。

阿曽山大噴火:
 33秒間が被告人が体当たりしたっていう重要なところなんです。それで今度は、これを編集した人を呼ぼうと。

久田:
 他は平和だったんですか。

阿曽山大噴火:
 平和というか、大騒ぎではあるんですよ。その33秒間がないことが、俺にとっては「証拠じゃん!」と思うんですけれども、ないわけだから。その編集した人曰く、2009年の時点では渋谷や歌舞伎町、池袋なんかの街中には防犯カメラがたくさんあったと。

 10年前のルールでは、その映像はいちど全部警視庁に来て、1週間は保存したらしいです。そして事件があった時は、担当の警察が来て編集担当の人に「何番のカメラ、何時何分からDVDに焼いてくれ」って言うらしいんですよ。編集する人は事件については何も知らないんですけれど、本件の担当の人が来て「そこの30秒くらいはカットしていいから」って(笑)。それってつまり重要な映像があるということですよね。

吉田:
 ということは、該当箇所はすでに消去されちゃっているということなんですか。

阿曽山大噴火:
 ないんですよ。一週間経っているから存在していないわけです。すごいでしょう?

久田:
 それは警察の恣意的な……。

阿曽山大噴火:
 でしょう? その当時は「防犯カメラあります」っていう立て看板があった頃なんです。今は普通ですけれど。

久田:
 歌舞伎町にはいっぱいありますよね。ドーム型もあれば駐車場を写すようなものもありましたからね。

阿曽山大噴火:
 そして被告人の弁護人は無罪主張ですから、歌舞伎町の現場に行って当時目撃していた人がいないかとかのチラシやビラをまいていたらしくて。見つけてきたんですよ。コマ劇場のチケット売り場の下で、終電逃したからってくっちゃべっていた若者を連れてきたんです。「見てました」と。

 たださっき言ったとおり10対20くらいの30人の大乱闘だから、見てはいるんですけれど、被告人と被害者である警察官がどうなったかなんてピンポイントで見ていないんですよ。だから曖昧といえば曖昧。初公判から半年経って、2009年11月に判決が出たんですけれども、結局懲役10ヶ月の有罪になってしまったんです。

吉田:
 警察側の主張が認められて。

久田:
 執行猶予は?

阿曽山大噴火:
 執行猶予はつきました。初犯というのもあって。あと、毎回見ていたのは俺だけだったので、被告人と親しくなりまして。

吉田:
 なるものなんですか(笑)。

阿曽山大噴火:
 うん。メアドとか交換して(笑)。

吉田:
 へえ(笑)。

阿曽山大噴火:
 結局刑務所に行くわけじゃないけれどやっていないし、しかも怪我も負わされていて有罪って納得いかないんですよ、みたいな。 だって俺も無罪判決が出ると思っていたから。

吉田:
 あの空白はおかしいですよね、みたいな話で。

アウトロー系雑誌が決定的な証拠を押さえていた

阿曽山大噴火:
 別に俺は応援とかはないけれど、納得いかないなら弁護士さんと相談して控訴したらいいんじゃないって言ったんです。事件は2009年なんですけれど、2010年の3月に控訴審があったんですよ。弁護人としては同じ証拠で戦ってもしょうがないじゃないですか。ということで、新しい証拠を見つけてきたんです。

吉田:
 証拠になるような歌舞伎町の資料があったってことですか?

阿曽山大噴火:
 そう。その資料っていうのが……「実話ナックルズ」という雑誌なんですよ。警視庁24時とか歌舞伎町24時みたいなページで。

吉田:
 はいはい、歌舞伎町の喧嘩とエロみたいなカラーページ。

阿曽山大噴火:
 そう、女の子がパンツを出して寝ているだとか。

吉田:
 ホストがボコボコにしているとかね。

阿曽山大噴火:
 そうそうホスト同士が喧嘩している写真をいっぱい載せているグラビアページがあったじゃないですか。それを見たら、なんと被告人が写っていたんですよ

吉田:
 へえ! そのバイオレントなシーンが。

阿曽山大噴火:
 何枚か写っていて。それを証拠で出したら採用されたんですよ。

久田:
 そうなんですか(笑)。

阿曽山大噴火:
 たまんないでしょう? 俺、1年がかりで見てきたから、やった! と思って(笑)。

久田:
 どんな感じの写真だったんですか?

阿曽山大噴火:
 そこにいたライターさんが撮ったんじゃないんですか。

吉田:
 ちょっと聞いたことがあるのが、「実話ナックルズ」で歌舞伎町で写真を撮っている人は本業がちゃんとあって……みたいな話でしたよね。

久田:
 主に3人が撮っていて、そのうちのひとりはヤクザとも親しくなっちゃうほどすごく歌舞伎町に行っている人なんですけど、韓国人で兵役にも行っているから強い人なんですよね。

吉田:
 どこまで言っていいかわからないですけれども、●●●(とある朝の早い自由業)の人が朝が早いから歌舞伎町で暴力とエロみたいな写真を撮って、そこから真面目に本業の仕事をするって話を聞いたことがあります(笑)。

久田:
 それは篝一光さんという人なんですけれど、歌舞伎町の近くに住んでいらっしゃって。仕入れの前に撮ってます(笑)。歌舞伎町って朝方がいちばん怖いので。でもこれは篝さんじゃないと思うけれど……。

阿曽山大噴火:
 時期的に久田さんが編集長かなって思ってた。弁護人は雑誌も証拠で出したんですけれど、「ネガがあるはずだ」って言って「編集長のところまで行った」って言って。他の写真も持ってきたんです。

久田:
 10年前は僕、局次長か何かになっていたから、編集長は部下がやっていたかもしれませんね。僕は違う管理職的な感じでした。でも面白いですね。

阿曽山大噴火:
 そう。被告人の友達が「載ってるじゃん!」って言ってネガをもらったら他の写真もあって。第一審では「警察の帽子が飛んで、ファイルが落ちた」と警察官がみんな同じ証言をしているわけですが、それがもう完全に嘘だ、って。

吉田:
 警察怖いなー(笑)。

久田:
 すごい怖い! 警察怖い! ドラマみたいですね。

阿曽山大噴火:
 判決が出たのが2010年の事件から1年3、4ヶ月後の8月17日。原判決を破棄、逆転無罪と。

久田:
 逆転無罪!? めずらしいですね。

阿曽山大噴火:
 よしきた! と思いましたよ。

久田:
 逆転無罪はめずらしいですよ。

阿曽山大噴火:
 そのときに動画の配信をやっていたんですよ、Ustreamとか。被告人をゲストに呼んで。

一同:
 (笑)

阿曽山大噴火:
 無罪が出たからやろうよって(笑)。

隠蔽に口裏を合わせ……「警察官の話がひとつも信用できない」

吉田:
 その被害者の人もちょっとアウトローな感じの人だったんですか?

久田:
 僕が想像するに絶対にアウトローな人ですよ(笑)。

阿曽山大噴火:
 名前は出さないですけれど、歌舞伎役者が麻布で何かあったじゃないですか。

吉田:
 バリバリにアウトローじゃないですか(笑)。

阿曽山大噴火:
 もろにその人じゃないですよ。ちょっと知り合いがいて、みたいな。たぶん誕生日会の10人のひとりに入っていたのかもしれないです。

久田:
 絶対に間違いないでしょう。だって歌舞伎町で警官20人を相手する人ってだいたい……。

吉田:
 歌舞伎町で深夜にそのレベルの誕生日パーティをやって暴れるといったら、その界隈の人しか。

阿曽山大噴火:
 いや、誕生日パーティなら10人くらいはいるでしょう(笑)。警察が20人くらい来てって。別に殴ったわけじゃないですよ。被告人は抑え込まれて、2ヶ月の怪我を負わされて。だから被害者とされる警察官の話が、その写真を元にすると全然本当だとは思えない。本当だと思える部分を足したとしても、被告人の主張が正しい。

 目撃していた警察官、援護してきた警察官の話がひとつも信用できないっていう判決の内容なんです。

久田:
 本当にドラマになりそう。

阿曽山大噴火:
 単なる無罪判決じゃなくて、警察はとんでもないんですよ。都合よく編集するんですよ。

吉田:
 一週間で証拠が消されるのが前提で。

阿曽山大噴火:
 そう。

久田:
 編集するし、口裏を合わせる。

阿曽山大噴火:
 打ち合わせはどの事件でもやっているだろうけれど、防犯カメラをそんな都合よく使うんだと。すげえ怖いですよ。

久田:
 被告人の方がアウトロー系の方だと思うから、それも含めて有罪にしてしまったというのはあるかもしれないですね。印象で見てって。

阿曽山大噴火:
 一審の裁判官は結構質問しない人で、決めつけの人なんですよ。

久田:
 印象で見ちゃったと思うんですよね。イメージで。

吉田:
 アウトロー雑誌の歌舞伎町の記事も役に立つんですね。

阿曽山大噴火:
 そうですよ。役に立っているということが言いたいんですよ。

吉田:
 あの喧嘩写真を山ほど載せているやつ。

久田:
 いろいろ載せることでトラブルはいっぱいありましたけれどね。

吉田:
 なんで勝手に俺のことを載せてるんだって、絶対にありますよね。アウトロー系。

久田:
 「来い」って言われて大久保の喫茶店に行ったら「これ俺なんだよね」とか言って。「ああそうですか」なんて言いながら金なんだなと思いながら。「ちょっとお金払えないんですけどでも」って、ちょっと謝って帰っていくというのが結構ありましたね。

吉田:
 メンツを立てればいい感じなんですかね。

久田:
 そうですね。編集長が行くと「編集長が来てくれたんだ」っていう感じのメンツがありますよね。

吉田:
 「お金は払えませんけれどもすいません」ぐらいの感じが出れば、まあよしっていう。

阿曽山大噴火:
 そこまでの人が出てきてくれたっていう。

久田:
 そういうふうに思ってくれれば。それもダメな人はもうしょうがないですけれどね。暴れたいだけなんだったら、もうしょうがないけれども被害届を出すしかないですよね。それで一発ですけれどね。

阿曽山大噴火:
 役に立ってるケースもあるっていう。

久田:
 (笑)

阿曽山大噴火:
 ●●●(とある朝の早い自由業)さんが撮ったやつかもしれないし、誰か知りませんけれども、ああいう雑誌も意味があるんですよ。

久田:
 逆転無罪はすごいですね。なかなかないですね。

吉田:
 篝一光さんの写真はしょっちゅう見ていたから。あれが●●●(とある朝の早い自由業)さんだと聞いてびっくりしました。

久田:
 僕もなんでこんなに撮れるのかな? と思った。

吉田:
 なんでこんな時間にいつもいるんだろう(笑)。

久田:
 なるほどな、と思いましたね。

阿曽山大噴火:
 逆転無罪自体がそうそうないですからね。

久田:
 控訴審か。なるほど。

阿曽山大噴火:
 一審が有罪ですから。東京高裁で無罪です。

久田:
 なかなかないケースですね。

阿曽山大噴火:
 警察をちゃんと批判してくれる判決文で。

久田:
 これはすごいですね。いい話です。

▼記事化の箇所は29:00から視聴できます▼

「久田将義×吉田豪のタブーなワイドショー」

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