有名Pにとっても“ここでしか得られない言葉”を貰える場所になる…OSTER projectが語る匿名投稿企画・無色透名祭の大きな意義とは

有名Pにとっても“ここでしか得られない言葉”を貰える場所になる…OSTER projectが語る匿名投稿企画・無色透名祭の大きな意義とは

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 今年11月初旬に開催を控えるVOCALOID楽曲の投稿祭「無色透名祭2」。
 2022年夏に開催された第一回では、「参加者全員が完全匿名で新曲を投稿する」というユニークな規定が話題を集めた投稿祭だ。
 ネームバリューや目を引くサムネイルといった外的要素を一切排除し、曲の純粋なサウンドのみで勝負できる本イベント。新人や大御所Pというラベリングも一切ない状態で音楽を聴ける場として、当時非常に大きな反響を呼んだ。

 投稿参加のメリットとして一番大きいのは、やはり活動歴に関係なくある程度平等に楽曲を大勢に聴いてもらえるチャンスがある点だろう。
 ゆえに前回は新人ボカロPや、あるいはこの無色透名祭の投稿がボカロPデビューとなった参加者も多い。今回の11月開催も、界隈では貴重な機会としてすでに注目を集めている。

 一方で知名度のあるボカロPにとっても、イベントへの参加は新人Pとはまた違った角度で非常に意義深いものとなる。そう語ったのは、前回の無色透名祭でも楽曲「やみやみガール」で参加していたOSTER progjectだ。

 初音ミク登場から間もない2007年から今日に至るまでVOCALOID楽曲を作り続ける、最古参と言っても過言ないボカロPの一人。そんなOSTER progjectは、前回の無色透名祭へどのような心境で参加を決め、盛り上がるイベントの中で何を思ったのか?
 今回本人にインタビューを敢行し、無色透名祭に対する見解や当時の心情などについても伺った。ここでしか語られない貴重なトークも、ぜひ一読してもらいたい。

──前回もOSTERさんは参加されていましたが、イベントのことを知った際率直にどう思いましたか?

OSTER:
 めちゃくちゃいいなと思いました。最近ってクオリティの高い曲もすごく多くて、新人の方でも全然注目されなかったりするじゃないですか。名前が伴ってないと聴かれない、みたいな。直近で若いミュージシャンの方とお話する機会があって、最近では曲がヒットするまで名前を変えて転生するクリエイターさんもいると聞いて「そんな怖い事してんの!?」って。それだけ名前が売れないと聴いてもらえない世界になってるって考えると、無色透名祭の形式はそんな状況への救済措置にもなるといいな、と思ったんです。

 一方で自分みたいな、有難い事にある程度名前が知れているボカロPの立場からしても面白いな、というのがあって。私たちは私たちで、名前だけ見て「この人ってこういう曲作るよね」「好みじゃないから聴かないでいいや」みたいなバイアスに晒されて、曲を正当に評価されてないのでは、って思いもずっとあったんです。なので私の場合は新人の方々とは少し違う視点で、無色透名祭にすごい興味を持って参加しましたね。

──「ボカロPらしさ」という言葉が枷の方向に働いている、と。

OSTER:
 自分の場合、いろんな依頼の際に「ミラクルペイント」みたいな曲を作ってください、ってすっごい何回も言われていて(笑)そういうイメージを持ってもらって、そういう楽曲を好きだって言ってもらえることもすごく有難いんですけど。ただ「自分、それだけじゃないんだよな」みたいな部分も正直あって…(笑)

──参加当時、“OSTER感のない曲を”というお話をご自身もされていましたもんね。

OSTER:
 最近の流行に寄せるというか「ボカロっぽい」楽曲を作ってみようと思ったんです。自分が曲をアップすると「古い」とか「懐かしい」とか言われるんです、未だに(笑)どうしても2000年代の印象を持たれたままで、だからこそ自分の曲を聴かないリスナー層もいるんだろうな、と感じていて。そんな人たちに訴えかけるにはどういうサウンドを作ったら面白いかな、と考えた結果、今っぽい曲を作って名前を踏み倒していくような存在感を示せたら、と。

──ボカロ曲の“今っぽさ”として、特にどんな部分に注力されたんでしょう。

OSTER:
 早口で同じ言葉を連呼したり、サビでタイトルを連呼したり、意味はわからないけどフックになる言葉がある部分ですかね。リズム感、キャッチーさ。特定の曲というよりいろんな楽曲を聴いて、流行曲の要素を自分なりに分析・集積して、それを「俺が考えた最強の最近っぽいボカロ曲」として作りました。

──重ねてOSTERさんは前回、アフターイベントとして個人的にYouTubeでの生配信でいろんな企画もされていて。

OSTER:
 匿名公開期間中に自分の曲だと思う作品を募集してその答え合わせをしたり、SNSで呟かれた曲の感想を時系列順で拾ったりしてましたね。

──あの生配信の企画はどういった経緯だったんですか?

OSTER:
 イベントを純粋に楽しみたかっただけです。あとはちょっとだけイジワルしたかった (笑)普段曲をアップするたびに「OSTER projectの音がする」ってよく言われるんですけど、お前らホントにわかってんのか?って(笑)そんなに言うなら当ててみろよ、という気持ちもありましたね。

自分らしさがあるってプラスの方向に捉える人が多いと思うんですけど、自分の場合結構天邪鬼で。「キミってこうだよね」って言われると、能力を限定されるような気がして勝手に悔しくなるんですよ。「この人ってこれしかできないよね」って言われてるというか。自分の場合ゲームやVtuberなんかの音楽以外の活動もしているので、それもあるからかもしれませんね。「音楽しかできないよね」って言われて「いやそれ以外にもできますけど」って(笑)

こういう部分を聴いて“OSTER projectっぽい”って言ってくれてるんだな

──そうして参加された無色透名祭ですが、先述の生放送でのお話の通り、楽曲の初速は正直非常に厳しいものでした。実際、その“反響の無さ”はどう受け取っていましたか?

OSTER:
 おもしれー、と思ってました(笑)でも私の曲以外にも、なんでこんなに伸びてないの?という曲も山ほどあって。あれも結局、どうしても再生数の人気ランキングにはなるじゃないですか。だから結局、再生数の高い曲が一点集中で注目を集めるんだな、とは感じました。ネームバリューを取っ払っても再生数というラベルがあって。とは言え、数字が見えるのもひとつの楽しみですし、それがあるから盛り上がる部分もあるんですけど。

──そこから楽曲の転換点になったのは、きくおさんの言及だったようにも思います(注:きくおさんのTwitterにて「その再生数(の低さ)はおかしい部門」として該当曲がピックアップされていた)。

OSTER:
 いや~、正直マジでありがたかったですね。心の中で「ああ!きくおさんありがとう!」って(笑)

──無色透名祭は楽曲の判断基準がかなり制限されますから、知名度のある方の発言の影響力もかなり大きいでしょうね。楽曲制作者とはまた別のネームバリューによるブーストというか。イベントの盛り上がりや本当に無名な方を拾うためには、ぜひ知名度のある方にどんどん良いと思った曲を発信して欲しい、とも思いつつ。

OSTER:
 ただ、自分が発信した曲は制作してないって察される部分もあるので難しいな、と。自分の曲を紹介するわけにはいかないし(笑)本当は好きな曲の話もしたいので、そこは参加者としてもどかしい部分でした。まあ、イベントが終わった後に話せばいいんですけど。

──生放送でも話されていましたね。リスナーから募った“OSTER projectだと思う曲”に、OSTERさん好みの曲がたくさん集まるという(笑)

OSTER:
 おかげで、こういう部分を聴いて“OSTER projectっぽい”って言ってくれてるんだな、っていうのは結構わかりました。生放送は自分ってどう思われてるんだろう、という疑問を解消するためにやった所もあるので。

──イベント終了時には、楽曲は結果としてかなり再生数が伸びた部類の作品になっていました。きくおさんの言及があったとはいえ、当然曲の完成度あっての結果だと思います。

OSTER:
 いやー、ホッとしましたよ。ちゃんとわかってもらえてよかった (笑)

──当初の狙い通り、制作者が明かされた時「意外だった」というお声も多かったと思います。反応を見ていかがでしたか?

OSTER:
 気持ちよかったですねえ。こんなに世の中を騙すのって楽しいんだなって(笑)一方で、私の曲を当てて下さった方も本当に数人いたんです。私の配信にずっと来て下さってるコアなリスナーさんもいて、そんなに自分の曲を聴いてくれている人がいることも本当に嬉しくて。大半の方は騙せても、そういう人のことは騙せないなって思いましたね。

──生配信で「この曲を知れた収穫はでかい、ボカロPさんの名前早く知りたい」という旨のコメントに「普段こんな言葉を貰えることってない、すごく嬉しい」と仰られていたのも印象的で。

OSTER:
 キャリアが長くなればなるほど、褒めてくれる人っていなくなるんですよ。忌憚なく意見を言ってくれる人もどんどんいなくなっちゃって。新人の方とも対等な立場で「おめーすげーじゃん!」って言い合いたい、ただそれだけなんです。何者でもなく、純粋に曲へのコメントを貰いたいという願いを叶えるのが今は本当に難しくて。それを叶えてくれる最高の場所だと思いましたね、無色透名祭は。

今回もすでに最強の曲を用意している

──先述の生放送しかり、OSTERさんの企画力やクリエイティビティが、無色透名祭では遺憾なく発揮されていた印象です。

OSTER:
 イベントを楽しみたい、っていう思いだけなんです。あとはさっきの発言にも繋がるんですけど、とにかく制限されたくないんですよ。枠組みを壊したり、他の人がやってないことをやると楽しい、みたいな。

──そんな意味でも無色透名祭はとてもユニークなイベントですよね。楽曲投稿規定自体は非常に厳しいものの、イベントの楽しみ方はいくらでも創造力を働かせていいというか。

OSTER:
 やっぱり20年も曲作ってると、自分で何かしらの面白さを開拓していかないと音楽作るの辞めちゃいますよ。ずっと同じことしてても飽きるし。そういうのを見つけられる人が長く楽しめるんでしょうね。ちなみに、次の無色透名祭の開催も一日千秋の思いで待ってましたので。今回もすでに最強の曲を用意していますよ(笑)

──SNSも拝見しました。早いなと思って(笑)(※取材は9月上旬に敢行)

OSTER:
 今回はかなり面白い仕掛けを用意してるので。当然詳しくは言えないんですけど(笑)祭りを全力で楽しむとはどういうことか、ぜひ楽しみにしてもらえたらと思います。

──前回の無色透名祭が初投稿だった新人ボカロPもかなり多く、中にはまだ次回開催時の参加を悩んでいる方もいるかと思います。そんな方々へのメッセージなど最後に頂ければ。

OSTER:
 結局出しても伸びない時は伸びないし、伸びる時は伸びるんです。ただでも、単純に出した方が伸びる確率は高いですよ(笑)匿名投稿のハードルの低さは大きな魅力ですし、極論その曲が伸びなかったからって死ぬわけでもないですから。失敗を恐れずなんでも挑戦した方がいいです、人生は。ぜひ投稿しましょう。対戦よろしくお願いします!(笑)

■Infomation

「ボカロ曲匿名投稿イベント 無色透名祭2」 公式サイトはコチラ

OSTER progjectさんのTwitterアカウントはこちら

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