ハライチ岩井が『キャロル&チューズデイ』を春アニメ1位に選んだ理由――「どこがいいの? って聞かれたら“雰囲気”。ストレートにオシャレ」

ハライチ岩井が『キャロル&チューズデイ』を春アニメ1位に選んだ理由――「どこがいいの? って聞かれたら“雰囲気”。ストレートにオシャレ」

ハライチ岩井が『キャロル&チューズデイ』を春アニメ1位に選んだ理由――「どこがいいの? って聞かれたら“雰囲気”。ストレートにオシャレ」の画像

 お笑いコンビ ハライチの岩井勇気氏がお届けする、本音でアニメを語る番組「ハライチ岩井勇気のアニ番」。今期放送中のアニメ50本以上を網羅している岩井氏が、厳選に厳選を重ねたアニメ作品上位10本を“しがらみなし、本音100%”で大発表するという当番組。

 第113回の放送ではラジオパーソナリティーの二ノ宮市丸氏をゲストに迎え、2019年春クールアニメ総合ランキングを発表しました。岩井氏のランキングでは2位に『八十亀ちゃんかんさつにっき』、3位に『鬼滅の刃』がランクイン。

 一方の二ノ宮氏のランキングでは2位に『フルーツバスケット』、3位に『さらざんまい』がランクイン。そして番組初となる文句なしの両者が選ぶ1位には『キャロル&チューズデイ』が輝きました。

左から二ノ宮市丸氏岩井勇気氏

※本記事はニコニコ生放送での出演者の発言を書き起こしたものであり、公開にあたり最低限の編集をしています。また、記事中には『キャロル&チューズデイ』、『フルーツバスケット』、『さらざんまい』のネタバレを一部含みます。ご了承の上で御覧ください。

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第3位は二ノ宮『さらざんまい』、岩井『鬼滅の刃』

岩井:
 『さらざんまい』の評価は両極端ですね。

番組スタッフ:
 わかる人にはわかる。

二ノ宮:
 でしょうね(笑)。

岩井:
 「『さらざんまい』大好き、最高だ! ストーリー最高、泣けた!」って言っている人には何を言っても無駄(笑)。

二ノ宮:
 『ワンパンマン』が陽キャ向けの作品なら、『さらざんまい』は完全に陰キャ向けの作品ですよ。

【初回放送日時決定】
TVアニメ『さらざんまい』の初回放送日が決定!4月11日よりフジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜24時55分〜放送開始!
アニマックスほか各局でも放送開始! #さらざんまい pic.twitter.com/J7OyH2yBZl

? さらざんまい (@sarazanmai) March 14, 2019

岩井:
 俺、中学の頃にライトノベルをすごく読んでいたんですよ。今となっては、「みんながわからない世界を俺は楽しめる」という感じがあったことを認めるんですけれども、それと同じでしょう?

番組スタッフ:
 ちょっとアンケートで聞いてみますか?

岩井:
 『さらざんまい』を見た人に「これ、わかんないの?」って言われちゃう感じ?

二ノ宮:
 それは第三者目線ありきじゃないですか。そんなことないんですよ。

番組スタッフ:
 確かに幾原邦彦監督【※】作品の優越感とかあるじゃないですか。それはわからなくもないですけど。

※幾原邦彦
アニメ監督、音楽プロデューサー。1997年、テレビアニメ『少女革命ウテナ』の監督を務め、以降『のだめカンタービレ』のOP映像演出、『輪るピングドラム』の監督などを歴任。

二ノ宮:
 別に「俺、わかるんですよ」とかじゃなくて、もうね、第三者とかどうでもいいの! ひとりで部屋で見ていて「はぁ〜おもしろ〜い!」ってなっている陰キャ感(笑)。

番組スタッフ:
 アンケート結果出しますか。どん!

二ノ宮:
 半々ということは、バランスとしていいんじゃないですか。

岩井:
 アニメ全体で見たら、『さらざんまい』は残るかと言われたら微妙なところだと思う。

二ノ宮:
 アーティストってちょっと尖っていたほうがいいし、量産作品よりも好き嫌いははっきり分かれる。たぶん人種が違う。みんなが嫌いなところが僕は好き。たぶん僕が好きなところはみんな嫌いなんですよ。

岩井:
 『輪るピングドラム』を見たときは、おもしろかったんですけれども、なんかね……。

『輪るピングドラム』
(画像は輪るピングドラム | Amazonより)

 アニソンの電波ソングを聞いたときの気持ち悪い感じ、あるじゃないですか? 気持ち悪いけど、すっごいハマっちゃう! あの感覚はわかりますか?

 『輪るピングドラム』を見たときに、その感覚に近かったんじゃないのかなって思います。

二ノ宮:
 なるほど。「こんなのを見ちゃう、聞いちゃう俺って……」みたいな感覚は自分にはないんですよ。周りが別におもしろいって言ってなくてもいい。俺はおもしろかった。

岩井:
 「雰囲気がおもしろかった」っていう意見は、わかるんだけどストーリーは……。

二ノ宮:
 そんなトリッキーなテーマじゃないんですよ。メインは、外のつながりとか絆はすごく大事だけど絶対なものではないし、簡単に切れたりするものだけど、いつでもつなぎ直そうと思ったらつなぎ直せるものだし、一生巡ってくるみたいなことだと思うんです。

 それをわかりやすく「俺たち仲間じゃないか!」みたいな感じで描くこともできるじゃないですか? でも、それはみんなやっているから。そこを違う表現で工夫をしてみましたっていう作品だと思う。

岩井:
 でも、その工夫って『輪るピングドラム』でやっていたことじゃない?

二ノ宮:
 『輪るピングドラム』は自己犠牲の話で、表現方法はひねくれた描写をしてくる。そのひねくれた描写が好き。どうやってくるのかなと。

岩井:
 でも、さほど手法は変わってないんじゃないんですか?

二ノ宮:
 でもほら、おいしいものはおいしかったら食うじゃん(笑)。

番組スタッフ:
 たとえが合っているかわからないけど、こんなにラーメンブームなのに台湾まぜそば? みたいな。それ食うんだったら普通のつけ麺でよくね? みたいな。ちょっと変わったまぜそばが出て、ファンはめっちゃ好き。一発食ったら確かにまあまあ……と。

 第二弾でパクチーまぜそばが出て、「これパクチー入れただけやん!」って言う人はいるんだけど、でも「パクチーが全然違う香りで麺として最高ですよ」って言っている人もいる。これをめちゃくちゃ自慢したい人もいる。でも二ノ宮係長の場合はテイクアウトして家でこっそり「ウホホホ!」って言いながらズルズル食べてる。

 だから王道ではない。『輪るピングドラム』が岩井くんに一発刺さったんだけど、「結局味付けが変わっただけでしょう?」ってなっちゃうとハマらない。だけどファンとか好きな人は「出た!」って。ハマる人は好きなんですよ。

岩井:
 『輪るピングドラム』を見て、新しい! と思ったんですよ。だから、俺は新しいと思わせてよ! って思っちゃう。やっぱり表現方法が似ていると……。今度はこういうことをやるんだ! みたいな。全然違うことをやっていたら俺はすごい好きになれた。

二ノ宮:
 ベテランのアーティストのライブに行って、新曲をやってほしい気持ちもあれば往年の名曲をやってほしい気持ちもあるしみたいな。

岩井:
 最初にいいと思った部分が違ったんでしょう。二ノ宮係長はあの表現方法がすごいと思ったけど、俺はあの表現方法が新しいと思った。こんなアニメなかった! くらいに思っちゃったから、そこを求めちゃっている。

二ノ宮:
 好きな監督だと、どうしてもその人っぽさを求めちゃうからね。富野由悠季監督には富野監督っぽさを求めちゃうし。幾原監督には幾原監督っぽさ。庵野秀明監督には庵野監督っぽさ。

番組スタッフ:
 これがすごいのが、久々にふたりの意見が真っぷたつに分かれた。

二ノ宮:
 『さらざんまい』は絶対に岩井さんは入っていないだろうなと思いましたもん。

岩井:
 なんか違う気がするんだよな……。新海誠監督は同じ味付けというか、この手法が受けたからこうやるみたいな。

二ノ宮:
 新海誠監督は結構濃い目のスープでずっと出していたけど『君の名は。』のときに「薄味にしないとチェーン店出せないぞ」って言われて「なんだよ!」ってスープを薄くして大ヒットした感じじゃないですか(笑)。

『君の名は。』
(画像は君の名は。 | Amazonより)

岩井:
 だいぶ薄まったけどね(笑)。

番組スタッフ:
 岩井くんは本店の元の味を知っているから、もう一回勇気出してこういうのを出そうぜ! ってなるけれど、それは周りが許さないよね。

岩井:
 濃い味のときの味がしなくない? っていうくらい。むしろ違う味のほうが強くなっちゃってない? って。これを新海誠監督のラーメンだっていって食べていいんですかって思う。

番組スタッフ:
 ジブリって作り方を含めて基本一緒じゃないですか。でもジブリは毎回一緒でいい。「よし、ジブリを食いに行こう」って言って食いに行くけど、「この味だ」って決めていなくて尖った味のラーメンを食ったら、それが一般受けしたときの違和感はやっぱり感じる。

岩井:
 なんか業者が入ったなっていう感じがするんですよ(笑)。スーパーアドバイザーが入ったんだな、みたいな。

番組スタッフ:
 なるほど(笑)。看板にはでかでかと監督名が書いてあるわけです。違和感は感じるでしょうね。

岩井:
 好きだった人がかわいそうだなって思ったんです。

二ノ宮:
 それはあるかもしれない。だから『さらざんまい』はこれでいいんです。

岩井:
 なるほどね。

第2位は二ノ宮『フルーツバスケット』、岩井『八十亀ちゃんかんさつにっき』

岩井:
 私は『八十亀ちゃんかんさつにっき』が2位。二ノ宮係長は『フルーツバスケット』が2位?

【重大発表!】
TVアニメ『八十亀ちゃんかんさつにっき』2期の製作が最終話終了後のスペシャルCMにて発表になりました!???
続報は公式サイトや当アカウントにて発信予定!
2期も楽しみにしてちょ〜よ!!??#八十亀ちゃん pic.twitter.com/RrUBKlYmCX

? アニメ2期決定!?八十亀ちゃんかんさつにっき (@yatogame_chan) June 20, 2019

?

二ノ宮:
 『フルーツバスケット』よくなかったですか?

【?キービジュアル解禁!!?】
本日イベント内で、ついにキービジュアルを解禁しました!

紫呉の家から飛び出す透、由希、夾の後ろで紫呉と魚ちゃん、花ちゃんが見守っており、これから放送が始まることに期待が高まるビジュアルとなっています!#フルーツバスケット #フルバ #高屋奈月 pic.twitter.com/Txq7HEHTPD

? TVアニメ「フルーツバスケット」公式 (@fruba_PR) March 16, 2019

岩井:
 いや、よかったですよ。

二ノ宮:
 僕は昔の『フルーツバスケット』に触れていないんですよ。アニメを放送していたのは知っているんですけど。

岩井:
 そうですか。うちは妹が見ていたから。

二ノ宮:
 女の子の友達で世代が近い子とかは、「昔の方が好きだったからキャストが変わったりすると、思い出として受け入れられないところがある」みたいなことは言ってた。でも声優さんが変わるとそうだよな。

 僕は前を見ていないから、フラットな気持ちで見ておもしろかったですけどね。主人公も嫌味な感じがしないし。先入観もあるんですけれども、確かに話の作りとか設定とかが一昔前っぽいなって。

岩井:
 “新・フルーツバスケット”みたいに現代に迎合した感じにするのもちょっと違うだろうし。

二ノ宮:
 そうなんですよね。それは誰も求めてない。

番組スタッフ:
 キャラクターの声もできる限り頑張っていると思うんだけれど、これターゲットはどっち? って。草摩綾女役の櫻井孝宏さんの、ああいう声は僕は櫻井さんを知っているけど、正直言って違和感はありましたよ。

 でも、今はじめて『フルーツバスケット』を見た人が、これが『フルーツバスケット』だと思ったら、たぶんすんなり喉を通ると思うんです。前を知っているぶん、おもしろいけど違和感を感じずにはいられない。

二ノ宮:
 そこはしょうがないですよ。リメイクされる『AKIRA』の金田役が岩田光央じゃないくらい。違和感がすごい人はいっぱいると思いますよ。

岩井:
 『AKIRA』はどうなるんだろうね。なんであんなきれいにおさまった作品をほじくり回すんだろう。

番組スタッフ:
 『カードキャプターさくら』の新作は元々の声優じゃないですか。それはファンがめちゃくちゃ喜ぶし、声優陣も当時の演技を取り戻すために頑張っていると思うんです。でもこれって絶対に通用しなくなるときが来る。

 じゃあどうする? となったときに、『フルーツバスケット』のパターンって声優を変えるひとつのいいパターンだと思うんです。こういう変わり方もあるよと。

二ノ宮:
 キャスト変えた作品でよかったものって『ルパン三世』と『ドラえもん』くらいですね。あと『クレヨンしんちゃん』も変わったといえば変わりましたね。

番組スタッフ:
 人気のある作品だったらどんどんキャストを変えてやるというのも。正直作品力が強いから大人たちはやりたがるんですよ。

第1位は両者絶賛の『キャロル&チューズデイ』

岩井:
 1位はふたりとも『キャロル&チューズデイ』。

Episodes 1-12 of CAROLE & TUESDAY will be available worldwide on Netflix from August 30? pic.twitter.com/ouZrQJZ9aa

? TVアニメ「キャロル&チューズデイ」(公式) (@carole_tuesday) July 7, 2019

二ノ宮:
 僕は、これは細マッチョのような作品だと思うんですよ。無駄が一切ないのに詰まっている。蓋を開けてみたら登場人物って実はすごく少ないんですよ。だけどチューズデイの家出の話とか、決勝で当たったアンジェラの家庭環境の話とか、本当だったらもっとねっとり描いちゃうと思うんです。

 なぜ飛び出すことになったのかとか、キャロルにも実はこんなことがあったとか、そういうエピソードを入れがちなんですけれど、そこは一切排除してしまう。それでもキャロルのバックボーンとかを僕は勝手に補完してる。空いた尺でオーディション番組のキャロル&チューズデイと当たらない人たちにふる、歌わせる。すごく取捨選択がうまいです。

岩井:
 すごいですね。全部を雰囲気に注いでいますよね。『キャロル&チューズデイ』って、「どこがおもしろいの?」って聞かれたら、俺はまず「雰囲気」と言いますよね。音楽も全部よかったし、アメリカ感があったじゃないですか。戦後のアメリカってかっこいいな〜みたいな感じがしなかったですか(笑)? 先を行っている国への憧れというか……。

二ノ宮:
 わかりますよ(笑)。舞台は火星なんですけどね。海外かっこいいな〜みたいな。アンジェラとやりとりしているAIのエンジニアの話とか、なぜAIしか信用しなくなったのかみたいな話とか、じめっとした話を本当なら入れがち。

 でもそこはない。安い展開だとAIが作った曲とキャロル&チューズデイのふたり同居生活の中で作った人間味のある曲が対決して、結局人間が作ったほうが心がこもっていてすばらしいっていう間抜けな展開にしちゃうんですよ。

 でもどちらも表現力がすばらしかったっていうオチに持っていくのは、本当にすばらしい。

岩井:
 いやもう、すごい。これはやられましたね。本当に海外ドラマみたいだったね。そう考えてみたら海外ドラマとかって日本ほど過去をしっかり描いてドロドロやらないじゃないですか。本当に海外に向けてやっているんだなって。日本人って、ここはどうなんだ? とか、うるさいじゃないですか。そういうのを排除するっていう。

二ノ宮:
 見ているほうはちゃんと立ち位置も把握していますもんね。

岩井:
 すごくいい音楽制作費をかけているらしいです。オシャレですよね。

二ノ宮:
 主人公グループと当たらないやつの歌は本当なら飛ばして、じめっとした話に持っていきますよ。ただあそこでしっかり他の参加者がクオリティ高い曲を歌っているということをやることで、大会全体がすごいものなんだって見ていて思うよ。あれを勝ち抜いていくと、いよいよこのふたりが……! という気分になるじゃないですか。だからうまいなと。

岩井:
 曲がよすぎましたよ。ヨガをやっていた女の子の曲が本当によかった。今の時代、ファッションでアニメを見る人がいるじゃないですか? それってオタク系のアニメを見て、サブカルかじってますみたいなことがちょっとオシャレという感じが存在しているんだと思うんですよね。このアニメってしっかり、真っ向から、ストレートにオシャレ。すごいよかった。

二ノ宮:
 どこに出しても恥ずかしくない。一緒に見ていたお母さんがハマりましたみたいな感じの。

番組スタッフ:
 7月31日に『VOCAL COLLECTION Vol.1』が発売されます。

二ノ宮:
 これは売れるでしょう。

岩井:
 私の誕生日なので誰か買ってください(笑)。

▼次回の「ハライチ岩井勇気のアニ番」は
7月19日(金)19:00から始まります▼

「第114回ハライチ岩井勇気のアニ番」

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