川崎の癒しの水辺にプチトリップ【辛酸なめ子の東京アラカルト#58】

川崎に2020年に水族館がオープンしたという話は聞いていましたが,コロナで県境移動できない時期が続いたりして、なかなか行くことが叶わず、今回はじめて訪問することができました。

(カワスイのエントランス。ビルの中に意外と広いスペースが)

「カワスイ 川崎水族館」の立地は川崎駅の近くの商業施設「川崎ルフロン」の9〜10F。世界から集まってきた魚たちも、このような場所に落ち着くことになるとは驚いたかもしれません。

でも都会の人にとっては癒しの施設になっていそうです。

■祖先は4億年前のデボン紀

10Fから入って、まずは多摩川の魚たちのコーナーが。かつて死の川と呼ばれていた多摩川も水質改善によってアユが生息するまでになったそうです。

(花柄のような模様がおしゃれなオセレイトスネークヘッド。魚界のマリメッコかもしれません)

(パーカーホやオスフロネムスグラミーなど世界最大級の淡水魚が集まる水槽。人間を認識してくれそうです)

ヤマメ、カワムツ、ナマズなど日本の魚たちはそこまで派手な見た目ではなく奥ゆかしいです。ニホンウナギが静かに縄張り争いをしていました。

続いてオセアニア・アジアゾーン。スマホをQRコードにかざすと、魚の詳しい説明が表示されます。

真っ赤で鮮やかなコームスケールレインボー、オレンジとブルーのバイカラーがおしゃれなハーフオレンジレインボー、見る角度によって色が変わるニューギリアスリーパーなど一気に華やかな印象に。

(カメレオンシクリッド、ゴールデンゼブラシクリッドなど鮮やかな魚たちの水槽に癒されます)

(岩の上で休憩しているようなライオンヘッド・シクリッド。休みたければ休んでいい、というメッセージを受け取りました)

アフリカゾーンにも、ピコックシクリッド、ラビドクロミス・カエルレ、カメレオンシクリッド、レインボーコンゴテトラなど派手な魚たちが。レオパード・クテノポマという豹柄の魚もいてパーティ会場のような華やかさです。本気を出すと450ボルトの電流を放つデンキナマズもいました。

(肺呼吸もできるアフリカハイギョ。過酷な環境にも臨機応変に対応できるスペックです)

そして地味だけれど威厳を漂わせているのがハイギョです。祖先は4億年前のデボン紀に現れたそうで......そんな大先輩を観賞させていただいても良いものでしょうか。人類の危機について相談したくなります。

■魚以外にもかわいい動物たちがいて、癒しの多様性

9Fにもアマゾンゾーン、南アメリカゾーンと、遠い外国の魚たちが展示されています。

(カメラ目線のナイルテラピア。生まれた稚魚はメスの口の中で育てられるそうです)

(ピラニアの水槽。実は臆病だそうで、だからこそ攻撃的になってしまうのかもしれません)

生きた化石と呼ばれるシルバーアロワナ、ナマズの一種でトラ柄が2022年の干支を感じさせるタイガーショベルノーズキャットフィッシュ、メタリックがきらめくナンナカラ・アメノン、しりびれがピンクでおしゃれなピンクテールカラシンなど、珍しい魚だらけです。

(カップルで飼われているコモンマーモセット。小鳥のような声で会話するそうです)

9Fには魚ではないですが、コモンマーモセットとグリーンイグアナなどがいる展示ケースがあり、注目を集めていました。

コモンマーモセットは小型のサルで、オスとメスがペアで飼育。見ていたら、オスがメスに近付き、交尾をしようとしていました。

メスはサッと身をかわし、遠くの枝に逃げていって、しょんぼりするオス。でもしばらく見ていたらメスの方から寄り添ってきて、毛繕いしたり仲良くしていました。拒んだあとのフォローが大切だと同じ霊長類のコモンマーモセットに教えられました。

その様子を静かに見守るグリーンイグアナ。 カワスイの優しい生態系に心温まりました。

(環境破壊の写真を見て悲しそうなアマゾンカワイルカのイニア。地球人としてなんとかしなければという思いになります)

最後、9Fのパノラマスクリーンゾーンで「アマゾンカワイルカの秘密」というプログラムがあり、ビンク色のカワイルカが登場するというので見に行きました。もちろん アマゾンカワイルカ本体はいなくて、CGでした......。

この水族館の人気キャラ、アマゾンカワイルカのイニアが、自分の生態について説明したり、地球の環境保全の大切さについて語っていました。CGの水族館ならなんでもアリだと可能性を感じました。

出口近くのアマゾンゾーンの暗い展示室にはナマケモノやカピバラなどもいて、限られたスペースで多様性を感じられます。

カピバラの排泄物を利用した循環型水耕栽培も行っているようで、エコロジーな水族館です。

魚たちを見たあとは、別料金の猫カフェも施設内にあって、魚では叶わないスキンシップ欲を満たせます。猫たちは近くにこんなに魚たちが泳いでいると知ったら大興奮かもしれません。

人間としても、カワスイの近くにはラゾーナ川崎などショッピングモールがあったりして、癒されたあとに買物欲も満たせます。

そこまで広すぎずコンパクトな都会型水族館では、歩き疲れることもなく、省エネで人体的にもエコロジーです。

辛酸なめ子

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。

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