意識高い系寿司ブリトー 【辛酸なめ子の東京アラカルト#25】

意識高い系寿司ブリトー 【辛酸なめ子の東京アラカルト#25】

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未来を感じさせる店が秋葉原にオープンしました。キャッシュレスでオンライン決済でAIが値段を決める、というコンセプトの「寿司ブリトー東京」。寿司ブリトー自体、未知の食べ物です。気になることだらけなので行ってみました。

「寿司レボリューション2.0」とは...

といっても気軽に買いに行ける感じではなく、平日の11時から15時という営業時間で、いくつか前準備が必要です。

オフィシャルサイトに行き、「order」ボタンを押し、注文サイトへ。電話番号とニックネームを入力して登録をします。この時、携帯番号に認証番号が2段階送られてきてちょっと手間取りました。そのあと、クレジットカードの情報も入力しなければなりません。

商品を選んでカゴに入れます。ラインナップはマグロのブリトー「マグアボ・トーキョーロード」、サーモンの入った「サーモン・イン・ブルーム」、フライドチキン入りの「フライドチキン・アーマゲドン」、ハンバーグ入りの「ハンバーグ・スティル・ラヴィン・ユー」など......。野菜もたくさん入ってボリューミーです。

寿司ブリトーの説明も書かれていました。「日本の巻きずしとメキシコのブリトーのスタイルを融合した、アメリカ西海岸発のフォストフード」とのことで、片手で手軽に食べられるので、ヨーロッパやオーストラリア中東などでも広まっており、「グローバリズムやダイバーシティの象徴となるフード」だそう。

「寿司レボリューション2.0」とか「テックforコンフォタビリティ」とか「フューチャーエクスペリエンス」とか、意識高い系ワードが並んでいます。ベンチャー企業に投資する感覚でオーダーしたくなります。

キャッシュレスなので多少高くなっても気にならず......

寿司ブリトーのお値段は......1200円前後。メニューには「サーモン・イン・ブルーム」価格\1087〜、「マグアボ・トーキョーロード」価格\1177〜などと表記され、時価によってAIが価格を設定するそうですが、これだと値上がりはあっても値下がりはない感じです。

ためしに注文をクリックしたら「サーモン・イン・ブルーム」1,173、「マグアボ・トーキョーロード」1,271円とちょっと高くなりました。まあ許容範囲でしょうか......。クレジットカード決済なので、財布からお金を出す時よりも金銭感覚がゆるくなっています。

「マグアボ・トーキョーロード」と、1200円固定の「バレンタイン・ホワイトデー限定ブリトー」(ポーク味)をオーダーし、合計\ 2,567に。おにぎりとかと比べるとお高いですが、物価が高いアメリカ西海岸発らしいので妥当なのでしょうか。先日LA帰りの知人がランチ代に5000円くらいかかったと言っていたし......と頭の中で逡巡し、自分を納得させます。

注文して時間を指定。この時間に30分以上遅れると商品は破棄されてしまうらしいので時間厳守です。この日は寿司ブリトー中心に。

定められた時間に店舗へ。中にはテイクアウトした人が食べられるテーブルとペンチもあり、外国人観光客がランチしていました。日本人でも注文に手間取ったのに、ITに強い方々なのでしょうか。LEDで光る棚が未来っぽいです。

ここに自分が注文したブリトーが置かれていました。とくにQRコードで扉を開けるとかもなく、誰でも取れるオープンな棚です。このお店は性善説に基づいているのかもしれません。

ただ取っていって良いのかわからなくて、棚の隙間から見える厨房のスタッフさんに「これは持って行っていいんですか?」と確認しました。公式サイトには、スタッフは接客を行わないので業務に専念できる、と書かれていたので、話しかけて余計な労働をさせてしまい申し訳なかったです。

店内に流れる店舗紹介映像では「店員とのコミュニケーションが苦手でも注文できるよ!」と言われていました。たしかにコミュニケーション苦手ですが、そこまででは......。

肝心の寿司ブリトーは、ずっしりしていて野菜もたくさん入っていておいしかったです。断面がきれいで見応えあるので断面フェチにもおすすめ。意識の高い店が今後も続くよう、また注文したいです。

辛酸なめ子

1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。

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