「僕はもう長くはない」19歳男性、がんの6歳男児に貯金を寄付し「最期にこの子を助けたい」(英)

「僕はもう長くはない」19歳男性、がんの6歳男児に貯金を寄付し「最期にこの子を助けたい」(英)

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骨肉腫が再発、転移し、医師に「もう治療の施しようがない」と言われた余命数か月の19歳男性が、「僕が助からないのなら、小児がんの6歳の男児を助けたい」と自分の預金のほとんどを寄付し、クラウドファンディングサイトを立ち上げて募金を呼びかけている。『WalesOnline』などが伝えた。


英ウェールズのエブブ・ベール(Ebbw Vale)に住むリース・ラングフォードさん(Rhys Langford、19)は2020年10月、骨にできる悪性腫瘍のひとつである骨肉腫と診断された。

リースさんはイスラエルで生まれた格闘術「クラブマガ」の黒帯を16歳で取得したり、何度も山登りに挑戦するなど非常に活発だったが、友人らと短距離競走中にバランスを崩して転び、脚を引きずるようになった。当時、水の供給事業会社で働いていたリースさんの脚は2か月経ってもよくならず、そのうち仕事用のトラックから降りることさえ困難になった。

その後、バーミンガムにある王立整形外科病院(Royal Orthopaedic Hospital)で検査を受けたところ、リースさんの右臀部には約18センチの腫瘍があることが判明、家族は医師に「骨肉腫で、生存率は50/50」と告げられた。

母キャサリンさん(Catherine、38)は「骨肉腫と聞いて、息子がこの病気で重度の障害を持つだろうということは予測できました。でも心の底ではいつも『あの子ならきっと克服するだろう』と信じていたのです」と当時を振り返り、父ポールさん(Paul、45)も「がんという言葉を聞くと通常は取り乱してしまうでしょう。でもリースは当初、『父さん、僕はただのがん。なんてことないよ』と言っていました」と気丈にふるまっていたことを明かした。

しかし骨髄腫は思った以上に手強く、リースさんはその後何度も輸血を繰り返し、10週間の集中的な化学療法で免疫系が疲労し始めた。また薬の副作用で髪の毛が抜けて食事が全くできなくなり、76キロあった体重が52.6キロにまで減った。身体が思うように動かなくなったリースさんは、両親に「僕が人生の中で一体どんな悪いことをしたっていうんだ! このままではもう2度とボールを蹴ることもできないし、車の運転だってできないだろうね!」と言って苛立ちをぶつけた。

そしてつらい化学療法が終わると今度は3週間入院し、右の膝小僧から臀部までの全ての骨を切除する「患肢温存手術」を受け、手術後は再び20週間の化学療法に耐えた。

ポールさんは「たとえ松葉杖が必要になろうとも、息子の命が助かってくれればそれでいい。ただそれだけを願っていました」と明かし、このように続けた。

「息子にはやりたいことがたくさんあって、『なんで友達が車で出かけたり、サッカーをしている最中に、自分は病院のベッドでコンピューターゲームをしているんだろう』とか『男友達と一緒に休暇を楽しむことなんて一度もなかったし、ビーチを駆けまわることもできなかった』と悔しい思いをしていたと思うのです。」

「だから私たちは常に息子を元気づけ、励ましの言葉をかけ続けました。『君はまだここにいるじゃないか。まだ死んではいない。君には君の人生があるんだよ』とね。」

そうして昨年8月、リースさんは全ての治療が終わったと信じ「がんに打ち勝った」と友達を呼んでパーティを開いた。しかしその2か月後に右脚が腫れ始め、11月になると通常の3倍の太さにまで膨れ上がった。リースさんは敗血症と血栓症を起こしており、約5週間を病院で過ごすと検査で右太腿に大きな腫瘍があることが判明した。

恐れていた再発で先月4日、医師はリースさんにこう告げた。

「率直に言いますが、骨肉腫が再発し両肺、右脚、股間、背中、臀部、リンパ系などに転移しています。もうこれ以上、私たちにできることはありません。」

19歳のリースさんにとっては非情すぎる言葉だった。

ポールさんは「熱心にケアしてくれた医師らを責めるつもりはありません」と述べたうえで、こう続けた。

「親ならばたとえ1%の望みであっても、チャンスがあるのならしがみついていると思います。でも彼らは『もう何もできない。ただ化学療法を再開すれば、生きる時間を少しだけ延ばすことは可能だ』と言ってきたのです。」

「リースは『医師は僕を助けてくれるって言ったのに、嘘つきだ』と怒り狂い、『化学療法なんて二度とやるもんか』と私たちに伝えてきました。ベッドから起き上がることもできず、衣装戸棚に怒りをぶつけていました。」

「そんなリースを救ったのはホスピスで働く聖職者と聖書の言葉で、リースは1月半ば頃、自宅で洗礼を受けました。」

こうして心に少しだけ平静が戻ってきたリースさんは、オンラインニュースで同じ町に住む6歳のジェイコブ・ジョーンズ君(Jacob Jones)の存在を知ったという。

ジェイコブ君は2017年、2歳の誕生日直前に神経の組織にできる悪性腫瘍である「神経芽腫」と診断されたが、化学療法や手術、臨床試験などで2019年に寛解していた。さらに寛解後はアメリカでがんの再発を予防する特別な治療を受けてきたが、今年に入り肝臓に病変が見つかり、両親は適用外の治療代を補うためにFacebookを通して寄付を呼びかけていた。

リースさんはジェイコブ君の記事を読むと、キャサリンさんを2階の寝室に呼び、泣きながら「この子のことを救いたい。この子に僕のお金を寄付したい」と懇願、自分の貯金のほとんどの約155000円(1000ポンド)を寄付した。そして父に依頼して、ジェイコブ君のためにクラウドファンディングサイト『GoFundMe』を立ち上げた。

リースさんはその中で、このように綴っている。

「僕はもう長くはない! ジェイコブ君のがんが再発したと知って、とても悲しくなったんだ。」

「医師はもう僕を助けることはできないけど、それなら僕はジェイコブ君を助けて病気と闘う力になりたい。これは僕の最期の望みの一つだよ。」

「僕はがんの治療や薬がどんなにつらいか知っている。それは地獄だよ。ジェイコブ君は6歳だけど、生涯のほとんどをこの病気と闘っている。そんなことはあってはいけないんだ…。どうかジェイコブ君を助けてあげて!」

なお1月16日に約310万円(20000ポンド)を目標にスタートした『GoFundMe』には、日本時間2月1日時点で約898万円(58000ポンド)を超える寄付が集まっており、人々は次のようなメッセージを残している。

「リースさんのことを考えると心が痛む。君はヒーローだよ。」
「きっと私たちの想像を超えるような苦しみの中にいるに違いないのに、リースさんの芯の強さ、思いやり、勇気に心打たれた。君はインスピレーションだ。」
「治療のしようがないなんて…。本当はリースさんにも諦めて欲しくはない。」
「リースさんのためにもジェイコブ君をサポートするよ。」
「このニュースを見て正直つらくて腹が立った。運命を変えることができるなら変えてあげたい。ジェイコブ君、リースさんの分まで頑張れよ。」
「2人とも強くあれ!」
「言葉がない。神様、どうかリースさんを救ってあげて! 私は1994年に白血病で15歳の子を亡くしているんだ。君のために毎日祈りを捧げるよ。」
「私は奇跡が起きるのを信じたい。」

ちなみにリースさんが住んでいる地域のコミュニティの人々は1月末、2人のための募金活動を開始している。

画像は『The Mirror 2022年1月25日付「Terminally-ill teen donates his life savings to help six-year-old beat cancer」(Image: Triangle News)』『WalesOnline 2022年1月21日付「Dying teenager gives almost all his savings to six-year-old boy he’s never met」(Image: Langford family)(Image: Jones family)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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