ロシアのスパイか、亡くなった幼児の名前を使い35年間を過ごした夫婦が逮捕(米)

ロシアのスパイか、亡くなった幼児の名前を使い35年間を過ごした夫婦が逮捕(米)

ロシアのスパイか、亡くなった幼児の名前を使い35年間を過ごした夫婦が逮捕(米)の画像

亡くなった幼児の名前を使って35年間を過ごしたアメリカ人夫婦が、なりすましの罪で起訴された。米政府の行き過ぎた捜査を批判している夫婦だが、彼らはロシアのスパイである可能性も指摘されており、捜査関係者によると「KGBの制服らしい姿の夫婦の写真」など多くの証拠が見つかったという。『CBS News』などが伝えた。


米ハワイ州のカポレイにて現地時間7月22日、ウォルター・プリムローズ(Walter Primrose)とその妻グウィン・モリソン(Gwynn Morrison)が自宅で逮捕された。この地域は昨今、開発が進んでおり住宅価格も爆上がりしているエリアだ。オアフ島の西側に位置するカポレイは一見地味な場所だが、海軍の基地や軍の衛星拠点などに近く軍事的には非常に重要なエリアである。

起訴状によると、ともに1955年生まれの夫婦は1970年代にテキサス州で学生生活を共に過ごし、1980年に結婚。そして1987年、夫婦は何らかの理由で名前を変更した。夫のウォルターはテキサス州バーネットで1967年に死亡した幼児ボビー・エドワード・フォートちゃん(Bobby Edward Fort)の身分を、妻グウィンはこの幼児と同じ病院で1968年に死亡したジュリー・リン・モンタギューちゃん(Julie Lynn Montague)の身分を引き受けた。しかし新しい身分証に記載された生年月日は、夫婦の実年齢より10歳以上も年下だった。夫婦は名前の変更について、周囲に「法律的、経済的な理由で名前を変える必要がある」と話していたそうだ。

そして1988年、夫婦はこの偽名で再婚した。ボビーに成りすました夫は1994年に沿岸警備隊員になり22年間勤務した後、国防省の請負業者に就職した。夫婦は2018年に軍と沿岸警備隊の社会保障制度に登録しようとしたところを発見され、逮捕につながった。

連邦検事補佐のウェイン・マイヤーズさんによれば、夫婦は周囲に「自分たちは法的・財政的問題から逃れている」と話していたという。またウォルターは自ら「写真に撮られてはいけない政府の諜報員」と語っていたそうだ。

ウェインさんは「ボビー、ジュリー、ウォルター、グウィン」以外の名前で被告に宛てられた手紙を押収し、複数の偽名を使用していたことを示唆した。またKGBのような制服を着た写真や透明インクのキット、暗号化された言語の文書、軍事基地を示す地図、そして夫婦の家の中からは「ウォルターがCIAに入ったとか、テロリストになった」という仲間からの通信も発見されたという。

夫婦がスパイであるという疑惑は他にもある。グウィン・モリソンの親族によると、グウィンは共産主義時代のルーマニアに住んでいたそうだ。グウィンは本名で郵便局の私書箱を開設しており、家族に対し自身と連絡する際にはこの私書箱を利用するように伝えていた。しかしグウィンの父親が亡くなった時、家族は彼女と連絡が取れず、地元の警察署に行方を追ってもらうように依頼したという。

夫はというと、アメリカ国防総省の本庁舎であるペンタゴンの契約社員として勤めていたが、全ての海外旅行を報告する義務を怠り、カナダへ数回旅行していたそうだ。

夫婦は米国に対する共謀罪、パスポート申請時の虚偽記載、連邦重罪の実行中およびそれに関連して他人のIDを盗む行為である「加重ID窃盗」の罪で起訴されたが、全ての罪で有罪になれば最高で17年の禁固刑に処される。なお今回の起訴でスパイ活動の容疑はかけられていないが、連邦判事は7月28日に開かれた公聴会で、ウォルターには「逃亡の危険」があると判断し引き続き拘束するように命じている。沿岸警備隊の航空電子工学技術者だったウォルターは、釈放されれば密かに通信する高い技術を持っているためだ。

妻グウィンは保釈の審理が行われる予定だが、グウィンの弁護士ミーガン・カウさんは「依頼人は自身に対する容疑を認めていない。夫婦は名前に関わらず法律を守って生活していた。またKGBと称する制服を着た写真は娯楽目的で撮ったものだ。今回の起訴は大げさな話であり、政府の行き過ぎた行為だ」と述べている。

画像は『Oxygen 2022年7月28日付「Hawaiian Couple With Alleged Ties To Soviet KGB Accused Of Stealing Dead Babies’ Identities」(Photo: AP)(Photo: United States Attorney, District of Hawaii)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)

関連記事(外部サイト)