世界で約38例、2つの顔を持ち「長くは生きられない」と言われた男性、愛されて18歳に(米)

世界で約38例、2つの顔を持ち「長くは生きられない」と言われた男性、愛されて18歳に(米)

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世界で約38例という非常に珍しい顔面重複奇形(二顔体)で誕生した男性が今年3月、18歳を迎えた。両親は医師に「長くは生きられない」と告げられるも、できる限りの愛情を注ぎ支えてきたそうで、母親がこれまでの苦悩や現在の心境を語った。『LADbible』などが伝えた。


米ミズーリ州出身のトレス・ジョンソンさん(Tres Johnson、18)は2004年3月、世界で約38例という非常に稀な「顔面重複奇形(二顔体)」で誕生した。これは胎生期の形態形成に重要な働きを担うタンパク質「ソニック・ヘッジホッグ(SHH)」遺伝子が原因の一つとされる疾患で、母ブランディさん(Brandy、40)と父ジョシュアさん(Joshua)は当時、医師に「生き抜く可能性は極めて低い」と告げられた。

トレスさんは誕生時、目が極端に離れ、上唇から鼻孔まで縦に大きく裂ける重度の口蓋裂で、鼻孔が顔の中心で2つに分かれ、まるで顔が2つあるように見えた。また頭が大きく、頭蓋骨の形が異常で、ブランディさんは3人目となった息子を初めて見た時のことを「可愛いと思う反面、ショックに襲われた。二つの顔の片側は長男に、もう片方は次男によく似ていた」と振り返る。

そんなトレスさんに医師は当初、亡くなるまで治療を行わない方針でいたが、ジョシュアさんが「生きているのに諦めることはできない。息子にはとにかく生きて欲しい」と猛反対、これまでに口蓋裂や鼻の治療、頭蓋骨の形成など多数の手術に耐え、なんとか今に至っている。

ただトレスさんの脳には嚢胞があり、精神や運動に発達遅滞が見られるそうで、医師には「一生歩くことはできない」と言われており、ブランディさんの付きっきりのケアが欠かせない。また認知能力に遅れがあるだけでなく、生後4か月頃になるとてんかん発作に悩まされるようになり、10歳を目前にした2013年11月には医師に「もうこれ以上できることはない」と告げられた。

しかしブランディさんは諦めきれず、その後独自にリサーチを続けた結果、医療用大麻がてんかん発作に有効であることを知った。そしてアサの花穂の有効成分を抽出したカンナビス・オイル(Cannabis oil)を使うようになると、トレスさんの発作は劇的に減少、ブランディさんは「最初の1週間で、多くて1日400回起きていた発作が40回以下に減った。また認知機能に進歩が見られ、18キロだった体重が34キロまで増加した」と明かしている。

こうして一家は2018年、医療用大麻の治療をより受けやすくするために、2014年に娯楽用大麻を合法化していたコロラド州へと引っ越した。トレスさんは今でも、発作の頻度が90%減少した状態を保っており、ブランディさんは「医療用大麻があの子の命を繋いでいる」と述べている。しかしここ最近は発作が激しさを増しており、ブランディさんはInstagramにこう記している。

「発作が起きたあの子に私ができることは、祈ること。酸素が不足して顔を真っ青にしたあの子のそばにいて、『ママはここにいるよ。愛しているよ。あなたを誇りに思っているよ』と伝えてあげること。なぜならもしかしたら、これが最期になってしまうのでは…と思うから。てんかん発作を起こすたび、私は死の脅威を感じるの。」

さらにコロラド州がここにきて、18~20歳のテトラヒドロカンナビノール(向精神作用を有する大麻、以下THC)の使用規制に乗り出したことから、「トレスの発作には効力が高いTHCが必要なの。でも医療用大麻を買うには医師の診察や推薦状、医療メディカルカードが必要で、手間もお金もかかるのよ」と心労が絶えないことを明かしている。

ブランディさんは他にも「トレスの顔の奇形を見て怖がったり、ジッと見てきたり、酷いことを言ってくる人が後を絶たない。それに息子を生かしたことで『自分勝手』『安楽死させるべきだった』と言われたこともあるし、『なぜ死なせてやらなかったのか』と聞かれることもある」とネガティブな反応を並べると、こんな願いを語った。

「本当は陰でコソコソ言われるより、病気について質問したり、『ハロー』と挨拶してくれるだけで嬉しいの。でも現実はなかなかそうはいかないわ。」

「私は外見よりも、トレスが生きていて、安全で快適であることを最優先している。トレスを研究対象としてしか見ない医者もいるし、ある医者からは『トレスの顔が普通に見えるように奇跡の手術をする』と申し出があったけど、大切なのは外見ではないの。だからこれまでに受けたのは最低限の形成手術だけ。あの子がこの先何年生きるかは分からないけど、私のゴールは息子が“愛されている”と感じることよ。」

ちなみに今年3月で18歳になったトレスさんは最近、自分の名前を書くことができるようになり、Instagramで誇らしそうな笑顔を見せている。トレスさんが好きなことはおもちゃを投げて遊んだり、車で外出することだそうで、家族に愛されながら日々精一杯生きる姿には「その笑顔を忘れないで!」「私にできることがあればいつでも力になるわ」「応援しているよ」といったエールが多数届いている。

画像2~9枚目は『The Sun 2017年6月6日付「THE BOY WITH TWO FACES ‘Miracle’ boy born with extremely rare condition that gave him ‘two faces’ defies odds to celebrate 13th birthday」(Credit: Caters News Agency)』『Tres Ma’ 2022年8月6日付Instagarm「Once upon a time…」、2021年12月26日付Instagarm「Merry Christmas to ALL,」、2022年3月26日付Instagarm「Things to Do & Places to Go.」、2022年2月3日付Instagarm「Tres has extremely hard convulsive seizures during the..」、2022年8月5日付Instagarm「Yesterday we practiced writing our name…」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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