死を覚悟した肝臓の腫瘍 実は10年超も潜伏した寄生虫だった(カナダ)

死を覚悟した肝臓の腫瘍 実は10年超も潜伏した寄生虫だった(カナダ)

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カナダ西部アルバータ州エドモントン在住のキャシディ・アームストロングさん(Cassidy Armstrong、36)は昨秋、肝臓がんで余命2〜5年と医師から告げられた。

キャシディさんは2年前、右胸郭の鈍い痛みで一度検査を受けていたが、血液検査やレントゲンで異常は見られず、痛みも酷くなかったことからそのまま放置していた。しかしキャシディさんの体重はここ1年で11キロ強も落ち、不眠や貧血にも悩まされ、右胸郭部に鋭い痛みを感じるようになっていた。

胆石だと信じて訪れた病院で、キャシディさんは医師から「肝臓にグレープフルーツ大の腫瘍があります。40代以下に発生する極めて珍しい『原発性肝臓がん』と思われます」と宣告されショックを受けた。死を覚悟しながらもキャシディさんは昨年11月27日、腫瘍の摘出手術に臨んだ。

手術では腫瘍が肝臓以外にも広がっていることが判明し、医師は肝臓の65%と胆嚢を摘出、また肺や横隔膜にできていた嚢胞を切除した。キャシディさんの胸にはL字型に35センチもの傷痕が残ったが、手術から2日後にショッキングな事実が明らかになった。キャシディさんは、医師から「あなたはがんではなく、非常に珍しい寄生虫に感染しています。多包性エキノコックス症で身体の中に10〜15年ほど寄生していたと思われます」と告げられたのだ。キャシディさんは、その時のことをこのように振り返る。

「突然の告知で、頭の中が真っ白になりました。それで医師に『それって良いことなのですか?』と聞いたのです。すると『最初の診断に比べたら、ずっといいですよ。肝臓がんで命を落としてしまうことはなくなったんだからね』と返事がありました。寄生虫への感染という衝撃的な事実と、生きることができるという嬉しさと、とても複雑な気持ちに襲われました。」

感染症専門家で多包性エキノコックス症に詳しいアルバータ大学のスタン・ヒューストン医師は、この珍しい感染症について次のように述べている。

「カナダで多包性エキノコックス症の人間への感染が初めて確認されたのは2013年で、アルバータ州ではキャシディさんが16番目の患者です。キツネや犬が多包条虫という寄生虫に感染し、糞便と一緒に排泄された虫卵が人間の体内に入ることで重い肝機能障害を起こすのです。いったん多包条虫が身体に入ると、嚢胞を作って次々に全身の臓器に転移します。キャシディさんの病巣は今まで見た中で最も大きなものの1つです。手術で全て摘出できたかはわからないため、一生抗駆除薬を飲み続けなければならないかもしれません。今後は月に1回の血液検査と6か月毎のCTスキャンを行い、経過観察をしていく必要があるでしょう。」

キャシディさんは感染経路について「犬を飼ったことはないので、農機具の修理の仕事をしていた時に感染したか、マーケットで購入した野菜に虫卵がついていたものを口にしたか…。思い当たるのはそれくらいです」と話しているが、一方でヒューストン医師は「感染を予防するには手をよく洗い、飼い犬は放し飼いにせずに清潔にすること、生水は飲まないこと、野菜はよく洗うことなどが大切です」と語った。

なお『CBC.ca』によると、毎年約1800人が多包性エキノコックス症を発症し、そのほとんどが中国とチベットで報告されているということだ。

画像は『TODAY 2020年2月14日付「Woman’s grapefruit-size ‘liver cancer’ tumor was actually a parasite」(Courtesy Dr. Stan Houston)(Courtesy Cassidy Armstrong)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)