新型コロナと闘う―バンクーバー編 自宅待機で閑散とする都心部、人が溢れる郊外のショッピングセンター

新型コロナと闘う―バンクーバー編 自宅待機で閑散とする都心部、人が溢れる郊外のショッピングセンター

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カナダの西海岸に位置するバンクーバーは、雑誌『エコノミスト』の調査部門が毎年発表する“世界で最も住みやすい都市”ランキングで2018年に引き続き2019年も世界140都市中第6位を誇る。そんな人気の都市も新型コロナウイルスの影響で、先月18日にバンクーバーを含むブリティッシュ・コロンビア州全域に緊急事態宣言が出された。


カナダ政府の発表によると、現地時間16日19時時点で新型コロナウイルスの感染者数は30,092人にも上るという。日本が今年2月、横浜沖に停泊しているダイヤモンド・プリンセス号の対応をしている頃、約3790万人のカナダ国民のほとんどは今の状況を想像していなかったことだろう。

カナダでは今年1月にトロントで、中国武漢から帰国した50歳の男性が新型コロナウイルスの初の感染者として確認されたことを皮切りに、国内全域で感染者が相次いで報告され、バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州でも武漢から帰国した40代男性が感染していたことが発覚。その後も感染者の報告が相次いだ。

バンクーバーは中国系移民が多いこともあり、旧正月の時期に中国を訪れる人が多かったようだ。以降はあっという間に感染者が増え、オンタリオ州に次いでブリティッシュ・コロンビア州も先月18日に緊急事態宣言が出された。この頃からスーパーマーケットでは人々のパニック買いが始まり、トイレットペーパー、パスタ、缶詰類が商品棚から一気に消えてしまった。

筆者も当時、トイレットペーパーを購入するためバンクーバー近郊にあるコストコへ午前中に向かったが、既に売り切れていた。レジのスタッフに話を聞くと、午前6時半にはトイレットペーパー購入目的の買い物客がカートを用意してコストコの前で列をなし、開店するのを待っているそうだ。

またブリティッシュ・コロンビア州保健省は、全てのレストランに対して一時閉店するか、またはテイクアウトやデリバリー形態にするよう命じており、普段は観光客や買い物客で賑わうバンクーバーのロブソン・ストリートでは盗難防止のため合板で店の周りを囲み、一時閉店するレストランが目につく状況になった。

市街地は商業施設・公共施設が閉鎖され、今まで安全だと思われていた地域でも犯罪が起きる可能性が高くなっているうえにアジア人への暴行事件が報じられたことから、在バンクーバー日本国総領事館では「遠回りであっても交通量が多い大通りを通り、裏通りには立ち入らないように」と注意喚起している。

ところがバンクーバー市街から離れると、一気に緊張感のない光景を目にすることになる。バンクーバーの市街地から車で30分ほどの距離にあるリッチモンドでは、スーパーマーケットやファストフード店などが集まる複合施設の駐車場に人が溢れかえっているのだ。彼らはドラッグストアやスーパーマーケットでは社会的距離をきちんと守るものの、そのほとんどがマスクをしていない。

また筆者が立ち寄った同エリアにあるデリバリーのみのハンバーガー店では、英語で「レジスタッフと距離を取るように」と書かれた貼り紙があるにもかかわらず、スタッフの目の前に近寄りマスクもせずに注文する女性がいた。言葉の壁で注文に手間取っている様子だったが、移民の中には英語を理解できない人もいることから店内の注意書きに目を通さない人も多いようだ。

それだけではなく、住宅地を流れる川沿いの遊歩道ではサイクリストや散歩する人達の姿があり、緊急事態宣言の前と変わらない風景がそこにある。この状況に、きちんと自宅待機を守っている人から不満の声があがっており、このエリアに住むカナダ人のご主人を持つ日本人女性Yさんは次のように苦言を呈している。

「きちんと自宅待機してコロナ収束を願う人からすると腹立たしい気持ちです。本当に収束させる気があるなら自宅できちんと待機してほしい。自転車での外出であってもウイルスが飛ぶってニュースで言ってたので、本当にやめてほしいです。」

Yさん以外にも自宅待機を守らない人に不満を感じ、行政に苦情を入れた人もいたようだ。なおブリティッシュ・コロンビア州による「自己隔離」命令に反した場合、最高で75万カナダドル(約5800万円)の罰金か禁固6か月の刑に処せられることがある。

新型コロナウイルスの収束が見えない国は他にもあるが、筆者としてはカナダ、そして日本の皆さんに緊急事態宣言による規則を守って、早く収束に向かって欲しいと願うばかりである。
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)