落雷を受けて才能が開花 ピアニストになった整形外科医の男性(米)<動画あり>

落雷を受けて才能が開花したピアニスト YouTubeで「後天性のサヴァン症候群」と紹介

記事まとめ

  • トニー・チコリアさんは落雷で才能が開花したピアニストとして取り上げられてきた
  • 94年に落雷を受けて一命を取り留めた後、ピアノの音色を聴きたい欲求が増したという
  • トニーさんは中枢神経系の怪我などで能力を発揮する「後天性のサヴァン症候群」と紹介

落雷を受けて才能が開花 ピアニストになった整形外科医の男性(米)<動画あり>

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過去に脳卒中に見舞われた後、母国語を話せなくなる代わりに英語でコミュニケーションを取るようになった中国人女性がいたが、アメリカではピアニストの男性がピアノの才能が開花したのは自分が落雷を受けたショックによるものと明かして注目を集めている。『VICE』『Daily Mail Online』などが伝えた。


アメリカ在住で整形外科医のアンソニー・チコリアさん(Anthony Cicoria)は、現在「トニー・チコリア(Tony Cicoria)」という名前で現役のピアニストとしても活躍している。彼は落雷によって才能が開花したピアニストとして、度々科学系や医療系のメディアなどに取り上げられてきた。

そんなトニーさんがこのほど米ニュースメディア『VICE』のポッドキャストに出演し、自らの言葉でピアニストになったきっかけを語った。今回ポッドキャストが投稿された『Spotify』には2億7000万人以上のリスナーがいることもあり、多くの人が彼のピアニストとしての才能が開花したきっかけについて注目したようだ。

トニーさんは1952年にニューヨーク州で生まれ、音楽より釣りが好きな少年だった。そして大学の医学部を卒業し整形外科医として一生懸命働き、結婚して子供をもうけた。

1994年のある日のこと、家族でピクニックに出かけたトニーさんはしばらく自分の母親と話をしていないことを思い出し、バーベキューグリルで肉を焼いている合間に公衆電話へ向かった。

当時、空には厚い雲が立ち込めており、トニーさんが公衆電話の受話器を取った時、突然雲から稲妻が走って電話線を直撃した。その瞬間に電流が受話器を通じてトニーさんの頭を打ち、彼はそのショックで吹き飛んで地面に倒れてしまった。通りがかりの人が倒れているトニーさんを発見し、家族によって車ですぐに病院へと運ばれ一命を取り留めることができた。

落雷を受けてからの2週間、トニーさんの頭には靄がかかったような状態が続き、後にそれが晴れたようになると彼の頭の中で変化が起きた。なぜかクラシック・ピアノの音色を聴きたくなり、その欲求は日増しに強くなっていったという。

なおトニーさんは7歳の頃に母親の勧めでピアノを習ったが、興味がなかったため1年でレッスンをやめてしまったそうだ。そのうえ今まではクラシックよりロック系の音楽を好んでいたが、落雷をうけてからは、時間が空きさえすれば有名ピアニストのウラディーミル・アシュケナージが奏でるショパンをずっと聴いていた。

そしてトニーさんは、とうとう自分でピアノを弾きたいという思いに駆られ始めた。当時幸いにもベビーシッターが古いピアノをトニーさん宅に一時保管して欲しいと申し出たことにより、トニーさんはピアノを弾くことができた。それから数か月後に、トニーさんは自分がコンサートホールでピアノを演奏する夢を見た。

夢の中でトニーさんが弾いた曲は、今まで聞いたことのない曲だった。彼はベッドから飛び起きると、夢で弾いた曲をピアノで弾いて音符に書き記そうとしたが、その術を知らなかったことで後に初心者向けのピアノの本と楽譜を購入したという。

不思議なことに、その日から毎日のように夢で演奏した曲がトニーさんの頭の中に流れていた。彼はその曲を楽譜に書き留め「稲妻のソナタ(The Lightning Sonata)」とタイトルを付け、音楽研究家の友人に聞かせた。そのトニーさんのピアノ演奏は素晴らしいものだったそうだ。

トニーさんのことを知ったイギリスの神経学者オリバー・サックス氏から、執筆中の著書のなかでトニーさんについて紹介させて欲しいと連絡があった。これをきっかけにトニーさんが落雷を受けてからピアノを弾くようになったことが知れ渡り、後にニューヨーク州立大学音楽部の部長から「ニューヨークのパフォーミング・アーツセンターでピアノのリサイタルをして欲しい」と依頼があった。

トニーさんはリサイタルに備えるため、ピアノの先生に連絡を入れ毎日4時間以上練習した。そして2008年1月29日のリサイタルの当日、トニーさんは見事なピアノ演奏を披露したのだ。この時、会場には英メディア『BBC』、『Granada plc』やドイツの国営テレビ局『ZDF』が来て彼の演奏を撮影していた。トニーさんのピアノの腕前は世界に知れ渡り、プロのピアニストとしてデビューすることとなったのだ。

トニーさんはYouTubeチャンネルのプロフィールの中で、サヴァン症候群について触れている。生まれつき自閉症やその他の発達障害のある人が、その障害とは対照的に優れた能力を発揮する人がサヴァン症候群であるのに対し、彼の場合は中枢神経系の怪我や病気によって並外れた能力を発揮する「後天性のサヴァン症候群」と紹介している。

画像は『VICE 2020年5月13日付「This Guy Got Hit By Lightning and Became a Concert Pianist」(IMAGE COURTESY OF TONY CICORIA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)