欧米から大きく遅れている日本の障害者環境

ニッポン放送「須田慎一郎のOK! Cozy up!」(8月27日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。障害者雇用水増し問題について、海外の雇用状況と対比させながら問題の本質を解説した。

中央省庁 障害者雇用 水増し 問題 不祥事 障害者 雇用 バリアフリー 支援 福祉

中央省庁の障害者雇用数が水増しされていた問題を巡り、国会内で開かれた野党合同ヒアリング。手前は関係府省庁の担当者=2018年8月21日午後 写真提供:産経新聞社

障害者雇用問題〜3,000人水増し

中央省庁が、雇用する障害者数を水増ししていた問題で、去年の雇用者数6,900人のうち、3,000人の障害者手帳などを確認しておらず、これにより半数近く水増しされていた可能性が明らかになった。厚生労働省は明日、調査結果を公表することになっている。

須田)障害者雇用に関して旗振り役としての中央省庁。「官もやるから、民もやれ」という形で進めてきたこの政策ですが、「官の側は何もやってこなかったじゃないか!」ということになってきています。

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バスに装備された車椅子スロープの例(神奈川中央交通)(バリアフリー – Wikipediaより)

そもそも障害者を雇用できる環境が整っていない

須田)ただ、現実問題として見ていくと、目標は設定するけれど、はたしてそれをクリアできるだけの環境が整備されていたのだろうかと思います。

新行)バリアフリーですとか。

須田)特に財務省などを見ると、まったくと言っていいほどに障害者が働けるような環境ではない。バリアフリーにしても、玄関口から入れないような状況です。そういう環境を整えていくことが、1つ必要だと思います。
もう1つは、そもそも中央省庁は人手不足なのです。あれだけ長時間残業しているところを見ても、やはり少ない人員で多くの仕事を回している状況になってくる。やはり「障害者を雇用する」ということは、それをフォローアップするスタッフも必要なわけです。その余力がない状況下で、はたして本当に障害者を雇用できるような環境にあったのか。所管官庁である厚生労働省は、その辺りをきちんと見極めた上で、ルールや予算付けなどを求めていくべきだったと思います。

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低床車乗降口のWheelchair rampの例:メルセデス・ベンツ・シターロ(低床バス – Wikipediaより)

精神面でも物理面でも日本は障害者が働ける環境整備が不十分

須田)そしてもう1つ。メンタルというか、意識の問題です。アメリカでは、障害者の方は相当権利を主張するのですよ。車椅子の方が「私はバスに乗りたい!」と言って、周囲の方がそれを暖かく見守り手助けする。そんな環境が世のなかにあるのです。しかし、はたして日本はどうなのでしょうか。

新行)私はパラスポーツの取材をずっと続けていますが、海外でシーズンを過ごしている選手に話を聞くと、向こうで生活していて困ったことがあったときに、すぐに人が飛んできて「何か手伝おうか」と声をかけてくれるそうです。
一方、日本だとチラチラ見て、「声をかけてもいいのかな?」というような。「良くも悪くも、障害者との付き合い方に関して不器用な面があるのではないか?」という話は聞きますよね。

須田)バスについてだけでも、バス停に着くと油圧で床が下がってくる低床型バスがあるのですが、日本ではまだ普及率が5%に達していません。その点を考えると障害者の方が働こうと思っても、実際に働けるような環境に、社会がなっていない。その辺りも国がお金をかけて整備していくべきではないかと思います。

新行)ソフト面とハード面、どちらもですね。どちらかだけではない。

須田)それが両方とも、車の両輪として必要ですよね。

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今回の出来事は将来に大きな禍根を残す

新行)人事の方とお話ししたとき、「障害者雇用に関して提出する書類などが、いろいろ細かくある。1つでも不備があるともう1度やり直しになる。そういう手間暇があったなかで、こういうことが出てきてやりきれない思いがある」という話は聞きました。

須田)欧米などを見ていくと、適材適所ではないですが、やはり障害者の方が戦力になっているのです。働く場面で戦力になっている。だから、そういう状況を作っていく、あるいは「この人にはどのような仕事が向いているか?」を企業や役所が考える。つまり、「健常者と同じように働け」と言われても無理ですが、「健常者以上に能力が発揮できる場面」はあるのです。そうした場面を用意する、あるいは考えることも必要だと思うのです。

新行)例えばテレワークとかもそうですよね。メールをいただいています、横須賀市のノゾミさんから。「障害者雇用問題についてです。六本木のIT会社が集まる飲食店で働いていますが、IT会社では大勢雇われています。健常者と車椅子の方が、みんなでランチに来てくださるから、よく分かります。民間は相当努力していますよね」といただいています。

須田)そういう点でも、やはり今回の3,000人水増しについて、官の側がそれに対してまったく後ろ向きなのは、将来大きな禍根を残すと思います。

新行)民間がこれだけ進んでいるなかで、官がまだ進んでいない。逆転しているようにも感じますよね。

須田)海外の例ばかり出すわけではないですが、欧米ではやはり官の側が進んでいますからね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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