みんなの防災…台風21号のつめ跡を受けて

【報道部畑中デスクの独り言 第81回】

台風21号 冠水した関西空港の滑走路=2018年9月4日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

9月に入って日本列島を襲った台風21号。コースとしては「伊勢湾台風」とよく似たコースだとか、「非常に強い勢力(中心付近の最大風速44m以上)」の上陸としては25年ぶりと言われました。
西日本では関西国際空港の滑走路が水没し、多くの利用客が一時孤立したほか、タンカーの衝突で連絡橋が破損、このほか高潮による浸水、トラックの横転など大きな被害が出ました。

東京駅の新幹線改札前 座り込む乗客も

首都圏でも台風上陸の日の午後、東海道新幹線が運転を見合わせ、東京駅では乗客がコンコースで座り込み、再開を待つ姿が見られました。

大阪から来た女性客は東京ディズニーランドからの帰りで「夢の国からどん底へ」と一言。「ボケと突っ込み」に慣れている“大阪人”ならではのコメントでしたが、さすがにこの時は大阪がこういう状態になっているは思いもよらなかったと思います。
またある男性客は、新幹線に乗れたとしても、大阪市内の鉄道がストップしており、「どうやって帰ろうか」と不安の表情を見せていました。

台風は日本海に抜けても温帯低気圧の性質をもった寒冷前線の通過により、首都圏は翌日未明から朝にかけて豪雨と強風に見舞われました。自宅の外では「ピューピュー」という風の不気味な音が響いていました。

台風上陸前日、9月3日に行われた気象庁の記者会見

上陸の前日に行われた気象庁の記者会見では、「“顕著な”高潮のおそれ」という表現が使われ、その高さは瀬戸内海で最大2.5mと予想されていました。海抜ゼロメートル地域であれば、単純計算で1階部分がゆうに浸水する高さです。

また、気象庁は猛烈な風にも警戒を呼びかけ、トラックが横転する可能性についても実は言及していました。しかし、こうした表現はやはり実際に目にしたり、体験しないと、なかなか実感はわかないものなのでしょうか。実際に被害を目の当たりにしたことで、情報は決して「お題目」ではない…多くの人が感じたことと思います。

台風上陸の翌日のニッポン放送玄関前 道路には水たまりが残る

ニッポン放送では防災の日の9月1日、特別番組「ラジオで安心 みんなの防災2018」を放送しました。西日本豪雨、大阪府北部地震を踏まえ、水害と地震への備えが中心でしたが、自然はわれわれの盲点を襲ってきます。水害については豪雨や洪水、土砂災害だけでなく、風や高潮についても伝えるべきことが山ほどあります。
この夏は本当にありとあらゆる“災害”が襲いました。悔しがっている暇はない、放送も常に進化させていかなくてはなりません。

東京駅の新幹線改札前 表示板には何も記されず

一方、防災への第一歩は「自分のいる場所を良く知ることが大事」…こう話すのは気象庁の関係者です。この関係者は自宅近くの寺で蔵が開放されて見に行ったところ、蔵の中に古文書がありました。そこには「ここで昔、津波があった」という表記があり、驚いたといいます。
実際には「野分の津波」=台風による高潮…つまり、普通の住宅地のたたずまいを見せるこの街は、かつて浜辺であったことを示していました。気象庁の関係者は仕事柄もありましたが、これを機にウェブサイトや地元の図書館で、自分の街のことを詳しく調べたということです。

新学期が始まったばかり、こうしたことは子供の自由研究の格好の題材になりがちですが、学習が必要なのは実は大人なのかもしれません。家族でいま一度いっしょに調べたり、話し合ったりするのも必要ではないでしょうか。

今回被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。

ニッポン放送防災特別番組「ラジオで安心 みんなの防災2018」
FM93AM1242ニッポン放送 2018年9月1日15:00-16:30

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