自殺を望むような言葉を口にする相手の支えになってあげられる話の聞き方 精神科医師が解説

東京都医師会副会長で八王子の精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が2020年12月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。昨今の自殺者が増加している問題を受けて、周りがつらそうにしている場合の話の聞き方について語った。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

飯田浩司アナウンサー)自殺者、あるいはつらそうな方が増えているということですが、他人事ではなく、そういった方は周りにもいらっしゃるかも知れません。そういったとき、どうすればいいでしょうか?

平川)ご家族やご友人につらそうな方がいらっしゃったら、まずはお話を聞くことだと思います。自殺を後押しすることになってしまうのではないか、立ち入ったら悪いのではないかと考え、遠慮しがちなのですが、やはり相手がつらそうであれば、お話を聞いてあげることが大切だと思います。

新行市佳アナウンサー)お話の聞き方としては、どのようにすればいいでしょうか?

平川)率直に言うべきですね。「いまのあなたの姿を見ていて、私はとても心配です」と、まず言葉にしてみることがいいと思います。

飯田)何か相談をされると、ついアドバイスをしようとしてしまいますよね。

平川)相手の方が自殺を望むような言葉を口にすると、こちらも動揺してしまいますよね。どうにか思いとどまってもらおうと、躍起になりがちです。その結果、相手の発言を遮ったり、簡単に否定したり、逆に頑張ろうと励ましたりしたくなりますが、それは必ずしもいい対応とは言えません。

その方が自殺を望むような言葉を口にするということは、これまで散々悩み抜いて、とことん考えた結果であることが多いでしょう。その考えを、いともたやすく否定されたり、よく聞かずに遮られて「間違った考え方だ」と決めつけられたりするのは、ご本人にとって、とてもつらいことです。ですので、まずはしっかりとお話を聞くことに専念していただければと思います。

新行市佳アナウンサー、平川博之氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)相手のお話を聞いていると、こちらとしても何か言わなければならないと思ってしまうのですが、そういったときは、どうしたらいいでしょうか?

平川)お話の聞き方ですが、大事なことは、ご本人のお話を否定も肯定もしないことです。内容が内容ですので、相手の話を聞き続けるというのは慣れていないと結構つらく、つい自分の意見を言いたくなります。そういったときに役立つのが、相手の話される言葉を、そのまま繰り返してなぞるという方法です。

例えば、「私の夫は本当に話を聞いてくれない。子どももわがまま放題で、私を苦しませるばかり。みんなは私のことが嫌いなのです」と言われたときに、ついつい「そんなことはありませんよ」とか、「確かにそういう雰囲気ですね」などと否定したり肯定したりしがちですが、そういった反応は避けてください。お話を聞く側としてやるべきことは、相手の言葉をそのまま引用して、「そうですか。ご主人が話を聞いてくれなくて、お子さんもわがまま放題なのですね。それはあなたにとって、つらく苦しいことですよね」と、相手の気持ちに寄り添って共感することです。

飯田)相手と話していて注意すべき兆候や、専門家を紹介したほうがいい場合など、判断基準のようなものはありますでしょうか?

平川)自責の念が強いときには、注意が必要です。「自分の力が足りないからこうなった」「全て自分の責任だ」というように、内向きに自分を責め続けているような言葉が増えたときは、非常に心配です。また、好きなことすらやる気になれず、そのエネルギーもないといった場合は要注意です。そういうときには、ぜひ専門の医療機関にご相談ください。最近は精神科も非常に敷居が低くなり、行きやすくなっています。心のかかりつけ医を持つことはいいことだと、私は思います。

★行政もさまざまな窓口を設けて対応しています。「こころの健康相談統一ダイヤル」は、0570-064-556です。その他、「いのちの電話」や「よりそいホットライン」など、さまざまな窓口があります。東京都では、「東京都自殺相談ダイヤル こころといのちのホットライン」0570-087478で、14時〜翌朝5時30分までお悩みを受けつけています。また、LINEでも相談することができます。詳しい相談窓口については、厚生労働省のホームページにも記載されておりますので、ご確認ください

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