「近鉄バファローズ」の栄光を語り継ぎたい! 野球専門酒場を開いた店主のストーリー

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今年は、近鉄があと一歩のところで優勝を逃した伝説のゲーム「1988.10.19 川崎球場ダブルヘッダー」からちょうど30周年。
きょうは、14年前に消滅したプロ野球チーム「近鉄バファローズ」を語り継ごうと、今年春に、野球ファンが集うお店を開店した近鉄ファンのグッとストーリーです。

野球専門酒場「B-CRAZY」外観

今年の春、近鉄奈良線・富雄駅から歩いてすぐの場所に、一軒のお店がオープンしました。野球専門酒場「B-CRAZY」(ビー・クレイジー)。

「B-CRAZY」店主の 浅川悟 さん

「『B-CRAZY』の『B』は、ベースボールの『B』であり、近鉄バファローズの『B』なんです」と語るのは、店主の 浅川悟さん・46歳。
店内には、近鉄のグッズを中心に、選手のフィギュア、サインボール、懐かしいユニフォームなどが所狭しと展示され、野球ファンならずっと居たくなる空間です。

お客さんと野球談義を交わす浅川さん

近鉄時代の高村祐選手・ローズ選手のユニフォーム

浅川さんによると、「開店以来、懐かしいと言って来られる年配の方から、お子さんを連れて家族でいらっしゃる方まで、お客さんは幅広いですね。近鉄の元選手も来てくださいますよ」

年配から親子連れまで、幅広い客層の方々が集う

浅川さんは、奈良県・大和郡山市出身。両親が、近鉄を2度優勝に導いた名将・西本幸雄監督のファンで、子供の頃から自然と近鉄ファンになりました。
「球場に行くと、内野でいつも近鉄を応援しているおっちゃんやおばちゃんがおって、僕に優しくしてくれたのが、野球を好きになったきっかけですね」と言う浅川さん。

毎日、球場に行くか、ラジオで中継を聴いて、その日の試合結果を確認。まさに生活のすべてがバファローズ一色でした。2001年、大阪ドームで北川選手が「代打逆転満塁サヨナラホームラン」を打って12年ぶりの優勝を決めるという劇的なシーンがありましたが、浅川さんはその瞬間を、球場でビデオを回しながら観ていました。
「何をやらかすか分からない破天荒なところが、近鉄の魅力でしたね。あんなマンガのような優勝は、バファローズにしかできません」

近鉄線の駅に設置されていた試合速報ボードも展示している

ところが、歓喜の優勝からわずか3年後……2004年のシーズン中、近鉄球団が経営危機に陥り、同じ関西のオリックス・ブルーウェーブとの合併を発表。この年限りで球団が消滅するというニュースが飛び込んできました。
「子供の頃から、近鉄は僕にとって生活の中心だったんです。チームがなくなると聞いて、ショックで頭が真っ白になりました」と言う浅川さん。

当時、業務用スーパーの店長でしたが、仕事を辞めて残りのシーズン、近鉄の応援に専念しようと決意しました。
「会社には強く引き止められましたが、意思を通させてもらいました。仕事はいろいろありますが、近鉄という球団は1つしかありませんから」

近鉄マスコット「バッファくん」のフィギュアが並ぶ

ファンによる合併反対の署名活動も行われましたが、願いもむなしく、この年限りで近鉄球団は消滅。大阪ドームでの最終戦、浅川さんたちファンはドームの照明が消えるまで、応援歌を歌い続けました。

「近鉄がなくなって半年ぐらいは、野球を見られなかったですね……」
心にぽっかり穴が開いたようだったという浅川さん。近鉄を心から愛していた浅川さんの両親も、チームの最期を見届けるように翌2005年、相次いで亡くなりました。
さらに浅川さん自身も大ケガをするアクシデントに見舞われましたが、「近鉄という魅力的な球団があったことを、決して風化させてはならない。いつか、自分が持っている近鉄グッズを展示して、ファンが訪れる聖地を作りたい」という思いが、浅川さんを勇気づけました。

野球専門酒場らしい割引キャンペーンも

その後5年間にわたって、睡眠時間わずか2時間で昼夜ダブルワークを続け、資金を貯めた浅川さんは今年4月、ついに念願の自分のお店「B-CRAZY」を開店。半年経って、近鉄ファンの聖地を越え、いまや全国の野球ファンが集まる場になりつつあります。浅川さんは言います。

「まだまだ大変なことも多いですが、小学生の子供さんと、70代のおじいさんが、野球というスポーツを通じて語り合ったり、違うチームのファン同士が野球談義に花を咲かせているのを見ると、この店を始めてよかったと、心から思いますね」

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

八木亜希子 LOVE & MELODY

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