『消臭力』CM生みの親・鹿毛康司 〜マーケティングは「データ」ではなく「人の心」を知ること

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(8月16日放送)にクリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司が出演。「クリエイティブ・ディレクター」という仕事について、また人がものを買う際の潜在意識について語った。

鹿毛康司

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月16日(月)〜8月20日(金)のゲストはクリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司。1日目は、人がものを買う際の潜在意識について—

黒木)クリエイティブ・ディレクターという肩書、どういうことをなさるのですか。

鹿毛)CMをつくるときの全体の指揮者みたいなものです。

黒木)指揮者?

鹿毛)チームで何10人でやりますので、どうやっていくかというのをリーダーのような形で。

黒木)クリエイティブだからつくる、ディレクターだから撮る、監督であり、製作者でもあるということですよね。

「消臭力」CM“2021西川貴教”編 〜2021年7月12日 エステー株式会社 プレスリリースより

「消臭力」CM“2021西川貴教”編 〜2021年7月12日 エステー株式会社 プレスリリースより

黒木)本当に皆さま、私も含めてですけれど、よくCMで拝見させております、エステーの家庭用消臭剤『消臭力』歌いたくなりますよね。

鹿毛)ありがとうございます。

黒木)「消臭力〜」とか。防虫剤のムシューダ、「むっしっし」とかいうCMですよね。「コラ!」とか言うのですが、笑ってしまって。大好きなCMなのですが、そういった数々のヒットCMを手掛けられて、マーケター、クリエイティブ・ディレクター。現在は独立をされて、「かげこうじ事務所」の代表として活躍されております。

鹿毛)ありがとうございます。

黒木)そんな鹿毛さんですけれども、日経BPから『「心」が分かるとモノは売れる』という本を出版されております。私も読ませていただいたのですが、マーケティングとは心であると。心イコールインサイトであると。その辺りをちょっと鹿毛さんの方から教えていただけますか?

鹿毛)いまデータで分析して、人に聞いたら何でもわかるみたいな。それがマーケティングだと言われているけれど、実はお客様は自分でも知らない潜在意識で行動しているっていうことがあって、これをどうやって見つけるのかというのが「インサイト」とマーケティング用語が使われております。

黒木)そのインサイトを見つける。お客様の潜在意識を見つける。

鹿毛)例えば、大好きな女性に私がプレゼントをしようと思って、本人に「何が欲しい?」「何が足りない?」と聞いて、そしたら「これが足りない」と言われて、それをプレゼントするではないですか。たぶん喜んでくれるのですが、「いい人」で終わりますよね。そこには「ラブ」が出てこない。だから、その人がいったいどんな人生を歩んでいて、どんなことを思っていて、と本人も気がついていない、「これだったらきっと喜ぶだろう」みたいなものを見つけ出して、それをプレゼントすると、「ああ、何でこんなものくれたの」「初めてこんなの見た」「ありがとう」と言って、きっとラブを感じるのです。

「ムシューダ」新CM“感動の再会”編

「ムシューダ」新CM“感動の再会”編

黒木)マーケティングという言葉も、よく聞く言葉ではあるのですが、日本語に直すと何ですか?

鹿毛)「人に向き合って喜んでもらう」。そう思ったらすごくシンプルだなと思ってやっております。

黒木)つまり、お客様の笑顔のためということですか?

鹿毛)そうですね。どうもデータばかりになっている風潮があるのでこの本を書かせてもらったのですが、お客様に喜んでもらって、初めてお客様に代金を支払ってもらう。その循環をしていければいいだろうなと思っております。

黒木)『「心」が分かるとモノが売れる』、モノを売りたい人いっぱいいるでしょうね。

鹿毛)モノを売りたい人はいっぱいいますよね。

黒木)心を知らないと売れないということですか?

鹿毛)心がわからなくても、すごく驚くような商品とか、サービスがあれば大丈夫なのでしょうから、売れると思うのですけれども。

黒木)そんなこと言っていいのですか。

鹿毛)本当ですよね。

『「心」が分るとモノは売れる』(鹿毛康司?著/日経BP)

『「心」が分るとモノは売れる』(鹿毛康司?著/日経BP)

黒木)鹿毛さんがお出しになった『「心」が分かればモノが売れる』これ、糸井重里さんの推薦があるのですが、糸井さんとの対談でものすごく心が動かされたというお話も読みましたけれども。

鹿毛)前職でいろいろな事件が会社であって、私は『NHKスペシャル』(NHK総合 2002年放送)に被写体で出て、1時間出たのです。そのときに糸井さんが、何かネットでコメントを書かれていると(耳にして)。私はそれを、「何を書いたのだろう」と思って、見たけれど(すでに)なかったので、(そのサイトの)事務局に連絡したら、糸井さんから長いメールをいただきました。

黒木)ええ。直接?

鹿毛)直接。そしてそのメールに書いてあることが、「ずっと私たちと一緒に活動していたのか」というくらいに洞察がすごくて……。

黒木)その糸井さんの感動的なメールのお話は明日でもよろしいですか?

鹿毛)ありがとうございます。

 

鹿毛康司

鹿毛康司(かげ・こうじ)/ マーケター・クリエイティブディレクター

■株式会社かげこうじ事務所代表 マーケター、クリエイティブ・ディレクター。「お客様の心に向き合う」をテーマにマーケターとして活動中。同時にクリエイティブ・ディレクターとしてCM監督、プランニング、コピー、作詞作曲を手掛ける。
■早稲田大学商学部卒。ドレクセル大学MBA。
■雪印乳業を経て、2003年にエステー入社。
■エステーを日本有数のコミュニケーション力のある企業に導く。
■エステー執行役を経て、2020年に独立。かげこうじ事務所を設立。
■代表作は「消臭力」CM。2011年震災直後の「ミゲルと西川貴教の消臭力CM」で一大社会現象を起こす。
■現在、グロービス経営大学院教授、エステーコミュニケーションアドバイザー、日経クロストレンド・アドバイザリーボードメンバー/Ad-tech 東京ボードメンバー。
■受賞歴:マーケターオブザイヤー、WEB人貢献賞、ACCゴールド、フジサンケイ広告大賞ほか。
■最新の著書:『「心」が分るとモノは売れる』(日経BP)

 

関連記事(外部サイト)