どんな少数民族でも「やればできる」ことを証明したかった 〜マザーハウス代表取締役兼デザイナー・山口絵理子

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月1日放送)に株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子が出演。起業家としての理念と今後の課題について語った。

MOTHERHOUSE – マザーハウス

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月30日(月)〜9月3日(金)のゲストは株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子。3日目は、起業家としての理念と今後の課題について—

 

黒木)「最後は面白いものがつくれるかどうかということをいつも思っている」ということを(山口さんの著書で)読みました。だからこそデザイナーという肩書は外せないのですね。

山口)はい。

黒木)経営者とデザイナーを自分はやっていくのだという。その「面白いものをつくれるかどうか」イコール「何」なのですか?

山口)イコール、「できる」ということを証明したいのです。人は「貧しいから貧しいものしかつくれない」と言うのですが、やればできると思うのです。自分自身も小学校のときにいじめられて学校に行けなかったときがあるのですが、マイノリティや少数派の人たちは世の中にたくさんいて、その人たちにスポットライトを当てる会社や人がいてもいいと私は思います。ネパールに行くと、バングラデシュの人たちよりもっと少数民族のみんながストールなどをつくってくれているのですが、彼らは素晴らしい価値を持っています。でも、大きなものに圧倒されて、国際社会のなかで存在感がまったくない。私は彼らに「こういうオプションもあるんだよ」とテーブルに乗せたいのです。

黒木)その思いは、ずいぶん叶って来たのではないですか。

山口)そうですね。いまでは、大丸さんなどの百貨店のなかにお店を構えられるようになりました。当然、フルラさんがいくら、ロンシャンさんがいくら、マザーハウスがいくらという感じで、フロアの売り上げも全部公開されます。

黒木)そうですね。

山口)競い合って、「いい勝負ができるようになって来たな」と思ってはいるのですが、いよいよここからメゾンのブランドさんと、歴史のない私たちがどうやって日本というものを消化して、どのようにアジアのエッセンスを取り込みながら戦って行くのか……エキサイティングだなと思っています。

黒木)パリにもサロンを出されたということなのですが、パリというのは1つの目標でもあったのですか?

山口)目標でした。クラフトマンシップが素晴らしいし、素材ももちろんいいですけれども、いつかこういうところで勝負してみたいなと思っていました。

黒木)途上国から世界に通用するブランドにする、パリでも通用しているという。SDGsなどが推進されているなかで、ご自分の理念も高くなっていらっしゃるのですか?

山口)昔に比べると、バングラデシュでつくるということも当たり前な感じになっています。おそらく中国が高くなって、単純に「ネクストチャイナ」ということで工場進出される方が多くなっているのでしょう。失敗される方もたくさんいらっしゃるけれど、日系企業も多くなりました。

黒木)以前よりも。

山口)だからこそ、ここでしかつくれない「ベストオブバングラデシュをつくろう」とみんなに声をかけています。彼らの自己ベストを更新するようなプロダクト。例えば手縫いで全部バッグを仕上げるという技術開発など、手仕事の領域をさらに高めるようなものづくりに私たちはトライしています。

黒木)バングラデシュでつくったものというのは、「メイド・イン・バングラデシュ」で。

山口)はい。もちろん。

黒木)で、デザイナーは日本人。

山口)ミックスですね。

黒木)でも、デザイナーは山口さんお1人ではないですよね?

山口)私1人でやっています。

黒木)え?

山口)そこが私たちの問題なのです。過去に何回かデザイナーを採用しましたが、マザーハウスのデザインは「工場のみんなをモチベートして、輪をつくりながら盛り上げて行く」というものが求められるのです。異国の人とのコミュニケーション能力がスキルとして必要になるのですが、そこでみんな失敗してしまいます。私1人でジュエリーもストールもアパレルもバッグもやってしまっているので、これをどうにか分散させなければならないという課題があります。

山口絵理子

山口絵理子(やまぐち・えりこ)/ マザーハウス代表取締役兼デザイナー

■1981年・埼玉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。
■ワシントンの国際機関でのインターンを経て、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程終了。
■2年後に帰国し「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をミッションとして、2006年に株式会社マザーハウスを設立。
■世界経済フォーラム「Young Global Leader (YGL) 2008」選出。
■ハーバードビジネススクールクラブ・オブ・ジャパン アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2012を受賞。著書に『裸でも生きる』シリーズ3作などがある。

【マザーハウスとは】
■『途上国から世界に通用するブランドをつくる』という理念を掲げ、2006年に設立。
■バングラデシュをはじめ、ネパール・インドネシア・スリランカ・インド・ミャンマーの計6ヵ国で、それぞれの地域の素材や文化を活かしたモノづくりを展開。バッグ・ストール・ジュエリー・アパレル等のデザイン・生産を行い、素材開発から店舗運営までを一貫で手掛けている。
■生産地は6ヵ国。販売は国内外でおよそ40店舗。世界のスタッフはおよそ700人。

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