噴火後の何もない「西之島」に棲み始めた海鳥  生態系はどうなるのか

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(3月25日放送)に鳥類学者の川上和人が出演。今後の研究の目標について語った。

西之島

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。3月21日(月)〜3月25日(金)のゲストは鳥類学者の川上和人。5日目は、今後の研究について—

黒木)今後はどのような研究をして行かれるのですか?

川上)主に小笠原諸島で鳥の研究をしていますが、「島という環境のなかで鳥がどういう役割を果たしているか」ということに興味を持っています。そのなかでいま注目しているのが西之島という島です。

黒木)遠いですね。

川上)そうですね、遠いところですけれども。西之島という島は最近、大きく噴火して、島全体が溶岩と火山灰で覆われてしまい、まったく新しい島になったのです。何もない場所なのですけれども、そこに海鳥たちが棲み始めています。

黒木)海鳥が。

川上)海鳥は海で魚を食べるので、陸上に何もいなくても生きて行くことができるのです。そこに棲むことによって、海鳥はいろいろな役割を果たすのです。その役割のおかげで、新しい生態系ができて来ると思うので、その調査をやりたいですね。

黒木)西之島はまだ入れないのですか?

川上)去年(2021年)も調査に行ったのですが、上陸はできませんでした。そのときは船の上からドローンを飛ばして研究をしました。噴火が落ち着いたら、上陸して調べたいと思います。まったく何もない島に鳥が入ることで、どのように生態系が変化して行くのかということが明らかになるだろうと思います。

黒木)生態系を研究なさるなかで、どのようなことを学ばれて、どのようなことを発信されて行きたいですか?

川上)何よりも、「生物の研究は面白いのだ」ということを発信して行きたいですね。新しいことを知るというのは人間にとって、とても刺激になりますし、喜びになると思います。

黒木)そうですね。

川上)新しいことを知る材料は、自然のなかにたくさんありますが、我々が知っているのはそのほんの一部です。それを少しでも発見したいというのが研究者なのです。それをみんなで一緒に楽しんで欲しいと思います。

黒木)みんなで。

川上)何しろ自分がとても楽しいので、「こんなに楽しいことが世の中にまだまだあるのだよ」ということを知ってもらえると嬉しいですね。研究を続けて新しいことを知って、より多くの人と一緒に楽しみたいですね。

黒木)無人島に調査に行く場合、現地にはどれくらいの期間いられるものなのですか?

川上)食べ物や水が十分にあれば、何ヵ月でもいられると思います。通常、調査に行くと2週間くらい現地にいます。

黒木)テント生活なのですか?

川上)場合によっては、船に泊まって船から仕事場に行くようなこともします。

黒木)無人島に働きに行くと。

川上)水などは重いので、全部持って無人島に入るとなると大変なのです。その場合は、船に泊まることもあります。

黒木)怖い目に遭ったことはありますか?

川上)崖のようなところを登らなければいけないこともありますので、上から落石が落ちて来ることもあります。桟橋がない場合は、泳いで上陸するのですが、上陸の前日の夜にサメの姿を見たりするとドキドキすることもありますね。

黒木)冒険ですね。

川上)大変なのですけれども、大変だからこそ、そこには、私たちの知らない魅力的なことが残されているのです。

川上和人

川上和人(かわかみ・かずと)/ 森林総合研究所 鳥類学者

■1973年生まれ。東京大学農学部林学科卒、同大学院農学生命科学研究科中退。
■国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所チーム長。
■NHK子ども科学電話相談室では「バード川上」先生としても知られる。
■小笠原諸島にすむ鳥類の進化と保全に関する研究が専門。特に無人島での研究が得意。
■1年のおよそ4分の1を小笠原諸島で過ごす。
■2015年に希少な海鳥「オガサワラヒメミズナギドリ」の生きた個体を小笠原諸島で
発見。世界で初めて営巣も確認した。
■図鑑なども多数監修を務め、著書に『鳥類学者・無謀にも恐竜を語る』、『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』、監修に『鳥になるのはどんな感じ?〜見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』など多数出版。

関連記事(外部サイト)