「アルコール除菌」は「結膜炎」の原因であるアデノウイルスやエンテロウイルスには効かない 必ずせっけんで手洗いを

東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が7月19日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。結膜炎の治療法について解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

「感染する結膜炎」と「感染しない結膜炎」のそれぞれの症状

飯田浩司アナウンサー)今回は結膜炎についてのお話ですが、結膜炎には、感染するものと感染しないもの、大きく分けて2種類あるということです。感染しないのはアレルギー性。感染する方はウイルス性、細菌性でまた分かれるわけですが、症状は種類によって違うのですか?

佐々木)アレルギー性であれば痒みが主体になり、目やには少ない。一方、細菌性の場合は充血も起きるのですが、膿のような目やにが多いというのが特徴的だと思います。

飯田)ウイルス性はいかがですか?

佐々木)ウイルス性の場合は、まず発症が急性です。それから充血が非常に強く、目やにも多い。「耳前リンパ節」という耳のところのリンパ腺が腫れることもあります。また、ウイルスによっては喉が痛くなる、発熱して全身症状が出るというような、さまざまな症状を起こします。

飯田)喉が痛かったり熱が出たりというと、風邪を疑うけれど、診察の結果、結膜炎だったということがあるのですか?

佐々木)あります。皆さんも知っているプール熱(咽頭結膜熱)があります。名前の通り、喉と結膜に熱を引き起こし、その全部が揃うのがプール熱です。

それぞれの治療法

新行市佳アナウンサー)どのような治療法になるのでしょうか?

佐々木)アレルギー性であることがはっきりすれば、いわゆる抗アレルギー剤を処方する。それから、痒みを抑える抗ヒスタミン剤という目薬を使います。細菌性であれば、名前の通り菌ですので、抗菌剤や抗生物質が効きます。

飯田)なるほど。

佐々木)ただ、ウイルス性の場合は抗ウイルス剤がほとんどないのです。ですので、対症療法を行います。充血していれば炎症を抑えたり、目の表面が爛れてきますので、爛れを抑えるなど。また、これは菌ではないので抗菌剤は効かないのですが、痛んだ粘膜から菌が合併感染を起こす可能性があるので、抗菌剤を併用することもあります。

新行市佳アナウンサー、佐々木聡氏、飯田浩司アナウンサー

アルコールは結膜炎の原因であるアデノウイルスやエンテロウイルスには効かない 〜せっけんを使った手洗いが必要

飯田)いろいろな原因があるということは、いろいろな予防をしなければいけないということですか?

佐々木)そうですね。アレルギー性結膜炎の予防は難しいでしょうけれども、感染性結膜炎の場合は、目に接触する病原体を入れてしまうのが原因ですので、とにかく「目に触らない」ということが大事だと思います。

飯田)子どもは掻いたりして、触ってしまうのですよね。

佐々木)そこで気をつけていただきたいのが、新型コロナ対策で使われているアルコール消毒です。実は、結膜炎の原因であるアデノウイルスやエンテロウイルスには、アルコールが効かないのです。

飯田)効かないのですか。

アルコールが効く「エンベロープウイルス」と、アルコールが効かない「ノンエンベロープウイルス」

佐々木)ウイルスには、殻を持った「エンベロープウイルス」と、殻を持たない「ノンエンべロープウイルス」があるのです。アルコールはエンベロープを壊す効果がありますので、エンベロープウイルスには効くのです。そのエンベロープウイルスの代表が、コロナウイルスとインフルエンザウイルスです。

飯田)効くのが。

佐々木)ところが、ノンエンベロープウイルスのアデノウイルスや、下痢を起こすノロウイルスには、アルコールが効かないのです。アルコール消毒をすれば、何でもウイルスが綺麗になると思うのは間違いです。そこで大事なのは手洗いです。せっけんでよく手を洗う。アルコールだけではダメだということは覚えていただきたいと思います。

プールに入る際の洗眼器の使用は推奨されていない

新行)子どものころ、プールに行くと洗眼器がありましたが、あれはやはり必要なのでしょうか?

佐々木)いまは洗眼器を置いているプールは少ないと思いますが、いまから十数年前、強い水流の水道水で目を洗うと目の表面が傷つき、かえって菌に対する抵抗力が弱くなってしまうということがわかったのです。それ以来、目を洗うことは推奨されていません。現在、洗眼器は基本的に設置しなくてもいいということになっています。

飯田)なるほど。

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